親馬鹿に姉馬鹿
その後ボブさんに くれぐれもナディをよろしくとお願いし
私達は町へ向かった。
せっかく2人で出掛けたのだし、お茶でも飲んで帰ろうかと思ったのよ。
ついでにマリーさんに教えて貰った美味しいパン屋さんにも寄りたいし。
お肉屋さんの新作ソーゼージも美味しいって言ってたなぁ。
「ロゼ、食べ物の事考えてる?」
不意に聞かれたけど何で解ったんだろう?
「目がキラキラしてた」
うっ そんなに解り易かった?・・・ 恥ずかしいなぁもぅ。
「いつも食べ物の事ばかり考えてる訳じゃないからね!」(たぶん)
だって毎回食事の事とか考えてたら・・・ねぇ?
そう思うと 母や祖母も毎回メニュー考えるの大変だったんだろうなぁと思った。
「そう言えば 明日からしばらくディアの見合い相手が屋敷に滞在するそうだ」
なんですってぇ?! ちょっとその話詳しく!!
「俺も詳しくは聞いてない」
えぇぇ、もぉ!こうなったらお屋敷に行くわよ!
アルテイシアさんとディアに聞かなきゃ!!
「ロゼ、買い物はよいのか?」
あ、そうだった。パンとソーセージだけは勝って帰らなきゃ。
と、急いで買い物を終えて屋敷に向かった。
「お母さん!ディア!明日のお見合い詳しく!」
バァンと勢いよく扉を開けたらディアが机に突っ伏していた。
あ、ごめん。勢い良すぎちゃった。
「ロゼ姉様、扉はもっと静かに開けるものでしょう?」
「ごめんごめん、つい・・・。 で?どうなの?!」
「ロゼ 落ち着け。まずは座ろう」
あ、そうだよね。アハハ・・・
ルシェに促されてソファに座ったけど
もぉ気持ちは早く話を聞きたくてウズウズしている。
「それで? お相手はどなた?」
「海を隔てた隣国の第三王子殿下よ」
王子!! 殿下!!
はっ、そうだった 忘れがちだけど3兄弟も 王子王女だった。
「あれ?と言う事はお見合い成立したらディアは海の向こうに嫁ぐの?」
「行かないわよぉ?うちからの条件は近くに住む事ですもの。
そうじゃないとバルドが泣くわよきっと」
あー・・・なんか想像がつくかも・・・
詳しく聞けば お相手はディアの1つ上で15歳。
とにかく動植物が好きでのんびりとした性格なんだとか。
男ばかりの4兄弟で一番上の兄王子はすでに結婚して第一子も居るんだって。
なるほどなるほど、王位継承権がどうこうとかってお家騒動の心配もないのね。
これまで手紙のやり取りはしていたけど
会うのは初めてだからドキドキしてるのね、うんうん解るよぉ~。
写真はないから・・・なんていうんだっけ? 絵姿? 姿絵?
「その・・・絵姿とかは見た事無いの?」
「無いのよ、ほら海を渡るじゃない? 万が一にも波を被ったりしたらね?」
あー・・・海水被ったらホラーチックになっちゃうね・・・
「王子殿下はお一人でいらっしゃるのかな?」
「お母様である王妃殿下とご一緒だそうよ」
へ? いやまぁお見合いに母親がついては来るだろうけども。
でも王妃様が国から出てもいいのかな?・・・外遊と考えればいいのか。
「心配はいらないよハイディア。
甘い蜂蜜色の柔らかく滑らかな髪、深い海の様な輝く瞳
ベリーのように艶やかな唇
アルテイシアをそのまま小さくしたような私の天使!」
バルドさん・・・ 親馬鹿なのかノロケなのか・・・
そりゃハイデアは可愛い。すごく可愛い。
ゆるふわウェーブのハニーブロンドにエメラルドグリーンの瞳
微笑む姿は天使か妖精。成人すれば美人さん間違いなしだと思う。
あれ?私も姉馬鹿?・・・。
可愛いから、美人だからって必ずしも気に入るかどうかは解らないと思うのよね。
それに相手が気に入ってもディアが気に入らなかったらどうにもならないし。
「ハイディアならきっと向こうも気に入ってくれるさ」
「そうかなぁ、そうならいいんだけど」
「ディアの気持ちも大事だからね?
気に入らなかったらお断りしてもいいんだからね?」
「う、うん・・・ お手紙だとね。凄く優しい方なの。
だから緊張はしているけど楽しみではあるのよ?」
と顔を赤らめるディア。うん可愛い。
「じゃぁさ。まずは会って話をしてみてさお互いを知って見ればいいんじゃない?
別にすぐすぐ返事をって訳でもないんだろうしね?」
「そうよね、まずお話してみなければわからないわよね」
滞在期間は1週間もあると言うので
十分とはいかなくともそれなりに交流も持てるだろうしね。
ならばここは私が一肌脱ごうじゃないの!
「よぉし、お姉ちゃんに任せなさい!
可愛いロゼの為にとびきり美味しいお茶菓子作っちゃうよぉ~♪」
「本当?ロゼ姉様大好き!」
と抱き着いて来るディアはもぉ可愛い。可愛すぎてうちの妹マジ天使!
そんな私達を見つめながらルシェが呟いた言葉は小さすぎて
私には届かなかったのだけど。
「俺のロゼなのに・・・」ボソッ
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