食いしん坊
さてと? さっきの弟くんだっけ? 何故私を攫っていったのかな?
『 それがだな・・・ 』
『 すまぬ、我が少々自慢をしてしまってな・・・』
クレハの話によれば・・・
『 我が愛し子は愛らしく心根も優しく料理も旨い 』
と自慢してしまい、弟君がズルイとばかりに自分にも愛でさせろと言い出した?
それを断り続けてたら私が攫われたと・・・ 何してくれてるのかな?
愛らしいとか心根が優しいとか、恥ずかしいから人に話さないで!
出来れば心の中で思うだけにしてくれるかな・・・
まぁ料理を自慢されれば食べて見たくなる気持ちは解らないでもないけど
でも突然攫うのは駄目よね。しかもあのタイミング・・・ないわぁ・・・
「と言う訳で? はいこれ。弟くんに持って行って。」
となんちゃってハンバーガーとフライドポテトの入ったバスケットを渡す。
「クリスマスと精霊祭だからね。大目に見るのは今回だけだよ?
次 急に攫う様な事があったら・・・」
「その時は俺がぶん殴る」
ルシェの拳は・・・痛そうね。
『 重々言い聞かせてくる・・・ 』
まったく普通に遊びに来ればいいものを・・・。
あれ? そう言えば弟くんの傍にいた子は・・・闇の精霊とか言ってなかったけ?
『 否 アレも雪の妖精の1人だ 』
なんでそれが闇の精霊とか名乗ったんだろう? あれかな?中二病的な?
でもそれ名前使われた本来の闇の精霊にしてみればいい迷惑よねぇ・・・
其処の所もちゃんと注意してきてね?
『 んむ。 では行って来る 』
ディーヴァはケーキの仕上げがあるのでクレハだけで行ってもらった。
ちょっとトラブルはあったけど、今日は折角のクリスマスと精霊祭なんだから
気を取り直して楽しみたいと思う。
うん、本当にお肉も鍋も焦げて無くてよかったぁ~。
『 主 食いしん坊 』
えー・・・。だってここにはケンタとかデリバリーないのよ?
焦げて炭になってたらサラダだけになってたかもだよ?虎徹はそれでもいいの?
『 だめ! お肉好き! 』
ほらね? 虎徹だって食いしん坊じゃない。
クスクスとルシェが笑っている。ラファなんかは声上げて笑っている。
ディーヴァは下向いて顔を隠してるけど肩震えてるよね?
「笑ってるけど、皆はサラダだけでもいいのね?」
『『『 肉は必須だろう! 』』』
ふふっ。 すっかりこの環境に慣れてこんなやり取りが日常化している。
今私は幸せなんだなぁと思う。
「さぁデーブルセッティング始めようか」
クレハが戻ってきたらささやかなパーティの始まりだね。
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