手の温もり
まったく幾ら暖房がある部屋の中でも真冬に裸踊りするとか・・・
風邪ひいて当たり前じゃないよね。肺炎にならなくてよかったわよ。
精霊でも風邪ひくのねぇなんで一瞬思ってしまったけども!
それでも1日で治ってたからよかったよ。
もうすぐ年の瀬、こっちでいう精霊祭。
精霊や妖精に贈るお菓子の用意もしなきゃだねぇ。
料理のメニューも考えないとだね。いつもよりちょっと豪華にしたいなぁ。
グラタンとか? 鳥の丸焼きはちょっと大変だから腿焼き?
そう言えばラダさんから貰った南瓜もまだあるし、南瓜のグラタンでもいいな。
なんて考えてたら寝付けなくなってしまった。
チャイでも作って飲もうかなぁ。
キッチンで作って居たら
「眠れないのか?」
ルシェがやってきた。
「ルシェも眠れないの?」
「俺は・・・少し話したいと思ってな」
「そっか、ルシェも飲む? チャイって言うシナモンの効いたミルクティ」
「貰おう」
チャイを手渡し2人でソファに座る。
「こういったのんびりした生活もよいものだな」
「うん、そうだね」
「父上を見ていると毎日が仕事に追われて・・・ないな。
いつも視察だなんだとトマスを困らせている気がする。
代わりに母上と叔父上が忙しそうだ」
「確かにトマスさんは気苦労が多そうよね。
アルテ・・・お母さんはうん、やり手な気がする。ふふっ
叔父さんは・・・そう言えば会った事ないような」
「父上の年の離れた弟で凄く頭の良い方でな。
書類仕事が苦手な父上の代わりに頑張っていらっしゃる。
母上や俺達とも仲がいい。
ロゼと会えないのを気にしているんだがな・・・
父上が・・・」
「お父さんが? どうしたの?」
「ロゼに会わせて嫁に欲しいと言われたら嫌だと・・・」
ぶほっ・・・ 何考えてるのよバルドさん!!
「母上が叱りつけていたからな、春には会えるだろう」
「そっかぁ、楽しみにしておくね」
「ああ。 新年を迎え成人したら俺は父上の仕事を手伝う事になる」
「うん、忙しくなっちゃうね」
「だからと言う訳ではないが、春までにロゼの気持ちを知りたい」
ん?・・・ 私の気持ち? どういう気持ち?・・・
『 ほらやっぱり 主 ニブちん 』
『 まさか忘れてるんじゃニャいよね? 』
ぶっ、2人共いつのまに・・・ 忘れてるって何を?
『 お互いの事をよく知って・・・て言ってたニャ 』
あぁぁぁ!! 確かにそんな事言った気がする、うん言ったね!
私の気持ちかぁ・・・そうだね。
「わかった、ちゃんと考えてみる」
「ああ」
そう言ってそっと手を重ねてくるルシェはなんだか照れ臭そうだった。
やめて照れないで、こっちまで照れ臭くなっちゃう。
でもその手の温もりが心地よくて しばらくそのままでいた。
読んで下さりありがとうございます。