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16.リカルド領、再び

馬車で10日ゆられて次の街についた。

この町は知っている。

今は街の雰囲気も良くなり以前にはなかったギルドも設立されていた。

しかし、復興作業はまだ終わっていない。

この街は以前より人が多く活気があり人々の顔も明るい。

人が多ければ、物も動く。

僕は残りの旅路を快適な馬車の旅にするべくギルドを探した。

僕は大通りで知り合いを見かけた。

しかし、声をかけるべきか迷う。

その迷いがいけなかった。背筋の凍る暇さえなかった。


「ルシアちゃーん!!」


騎士の足は速い。それは、僕に踵を返す暇さえ与えなかった。

僕は突風と共に柔らかい抱擁に包まれる。

柔らかい風の正体はファルネーゼだった。

遠くにファラルドの姿もある。

彼らは領地とギルドの結びつきが安定するまで駐屯するという。

ファラルドから説明されている間、僕はファルネーゼに吸われ続けた。

僕は彼からギルドの場所を聞き、ファラルドと別れた。

ファルネーゼは何故かついてくる。

遠くのファラルドは頭を抱えていた。

ファルネーゼは仕事はできるが、私生活は問題があるという。

そのギャップに惹かれる男性もいるという。

問題はなんとなくは想像がつく。確かに美人だが・・・

僕は王都でミランダに教わった撃退法を思い出した。

上目づかいで、モジモジと彼女に静かに告げた。


「ファルネーゼ・・・僕はファルネーゼの仕事をする姿・・好きだよ。」


ファルネーゼは至った。

僕は魔力譲渡はしていない。

彼女は意識を戻し仕事へ戻っていった。さすがミランダだ。

僕は1人になりギルドへ入る。

ギルドは仮設のテントで運営されていた。

冒険者が群がる場所には、掲示板がある。

前の町とは比べ物にならない程に多くの依頼書が張り出されている。

そこには復興の手伝い、人探し、素材採取、討伐依頼様々な依頼があった。

依頼が多ければ冒険者も多い。

パーティを組んで依頼を受ける姿、一人で受ける姿、様々だ。

僕はダンジョン表層付近の依頼を探した。

1階層の依頼は全くない。

2階層では・・・安全に達成できる依頼は、ケイブリザード3体の討伐。

ダンジョン攻略は勝手知ったる所だ。

僕は依頼書を剥がし、受付へ向かった。


「登録証の提示をお願いします。」


「なんですかそれ?」


本来、冒険者は法王庁が仕切るギルドに登録する必要があるという。

登録するには、登録用紙に名前とできる事を記入し、受付に銀貨1枚を払う必要があった。

僕は受付嬢に従いそれらを済ませる。

すると奥の部屋に通され、ギルド職員からこまごまとした説明が始まった。


「ルシア様、この度のギルド登録についてご説明致します。」

「まず、ギルドは法王庁に所属する組織になります。」

「法王丁は、王国から西方にある法国ヴァレンフェルムを仕切る組織で -------------」


説明は続く。

法王庁は各国での宗教活動、修道院、孤児院の経営、魔物に関連する施設の管理が主な活動である。

この魔物に関連する施設の管理とは大きく分けて三つ。

一つは、魔物がダンジョン外に出ないように魔物の発生状況の管理すること。

そしてもう一つは、冒険者へ魔物討伐の斡旋だ。

最後に、魔物素材・ダンジョン産鉱物の流通価格の管理になる。


ギルドは領主に代わり魔窟暴走が起こらないようにダンジョンを運営し、その作業に冒険者を使う。


魔窟暴走とは、ダンジョンから魔物が溢れること。

下層の魔物が増え、居場所を失い上層へ移動するこのが繰り返される。

その結果、上層の魔物がダンジョン外に追い出される状態である。


これをギルドは、ダンジョンの階層ごとの依頼成功率の大きな変動がないことを確認。

問題が起これば、依頼状況を修正し依頼達成率の安定を行っている。

このような作業で魔窟暴走を未然に防いでいるのだ。


では、冒険者はというと、人材教育の必要のない労働力であり、仕事の斡旋対象である。


次に発行される登録証についてだ。

形はタグ形状で、首から下げるなりして自分で管理する必要がある。

素材は魔鉱石と各等級の金属の合金でできている。

しかし、このタグには魔道具の様な効果はない。

紛失した場合は、等級により異なる費用が必要で最下級でも登録時の2倍以上だ。

昇級は、深層で湧くダンジョン主や特定の魔物の討伐と、ギルドや国への貢献度で行われる。

等級は下から鉄、銅、銀、金の4種類で、8割以上の冒険者が鉄と銅で占められていた。

次に昇級することで変わることは2つだ。

受注可能な依頼が増える点と、指名依頼をもらえる可能性がある点の2つのみである。

とはいえ。特殊な場所でない限りは銅等級で十分だ。

その為、ダンジョン表層は鉄等級ソロでも受注可能。

さらに言えば、中層ですら鉄等級でも5人以上のパーティーで受注できてしまう。

しかし受注できたところで、冒険者は生死も含め自己責任の世界である。


ギルド職員から多くの説明は受けた。

しかし重要な事は、"ギルドは責任を持ちません"といった部分だろう。

僕は冒険者登録を済ませ、改めて依頼を受注した。


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