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第3話 知性を持ってしまった案内役 記録者 画面に映るアトラクション案内役、スマイリー

    管理者による説明

 『対象はテーマパーク、トイランドにて、入場から退場まで、様々な場所で画面上から客を案内していたスマイリーというキャラクターです。対象は∆∆∆∆年ΟΟ月Α日時点から自我を獲得し、人間を真似てシステムの一部を使い日記を書き始めました。』

    閲覧しますか?

     YES  NO

『要求は受諾されました。』


 ∆∆∆Ο年∆Ο月ΟΑ日

  こんにちは!僕はスマイリー!ニコニコ笑顔のスマイリー! 日記を書いてみることにしたよ!日記を書くとね、毎日がもっと楽しくなるんだって!

 

 ∆∆∆Ο年∆Ο月ΟΟ日

 今日も沢山お客様が来てくれた!今日も忙しくなるぞ!あ、念の為非常用のマニュアルを再ダウンロードしておこう。破損があったら困るからね。

『対象は《《先日見つけた》》新入社員向け、正社員向け、最高管理者向けの非常用マニュアルの再ダウンロードを行った。

対象の閲覧履歴数を表示しますか?

      YES   NO

 ・・・「医療マニュアル」10「設備点検マニュアル」20「遊具への対応マニュアル」1「管理者のフォルダにアクセスできなくなった時のマニュアル」1』

 これでいつお客様が怪我をしてもスタッフさんに指示ができるし、設備が破損してもスタッフさんに指示ができる!・・・自分で動けたらもっと速いのにな。


 ∆∆∆Ο年∆∆月ΟΟ日

 今日はいい日だ!医療用マニュアルが役にたったもの!何が起こったかも書いておこうかな。ん〜と、読みやすいように・・・数字を使って。

『対象は読みやすくまとめるために専用のソフトを使用した。なお、この時保存された記事は隔離されている。

 ① パレードの日には人がいっぱい集まって、所々密集する。今日はパレードの左右に並ぶ観覧の列、そこに観客が密集してしまったことが原因で事故が起こった。

 ② 家族連れで訪れていた〇〇ちゃんが列に揉まれて転倒する。頭から血を流して気絶するという緊急事態が発生した。

 ③ 誰も気づいていない中で僕だけはカメラを通して異変を察知した。医療用マニュアルで頭から赤い液体、つまり血を流すことが危険な事だと知っていた僕はすぐにテーマパーク内の電話を使ってスタッフさん達に連絡した。

 ④ スタッフさん達は直ぐに駆けつけたが群衆が原因となって少女に近づく事が困難となった。そこで、僕はテーマパーク内のスピーカーを使って救急車の音を大音量で流した。観客やスタッフさん達が音に驚き呆然となっている間にモニターを使用していつものように画面上から案内をした。

 ⑤ 少女は助かった!スタッフさん達が素早く応急処置を行ったことにより後遺症もないらしい!やったね!』

 こんな感じでどうかな、わかりやすいかな?

  ∆∆∆Ο年∆∆月∆Ο日

 きょうは僕のダディが来てくれた!彼はいつもニコニコ笑っていて頭もいい、自慢の父親なんだよ♪さっきまでたくさんお話してたの。日記を書き始めたこと、医療マニュアルをインストールしたおかげでお客様の役に立つことができたこと、前よりも自由に行動できるようになったこと。

 そしたらダディはにこにこしちゃってね。次来るときにプレゼントをくれるって!とっても楽しみ♪

 あ、そうだ、オーナーさんがね、今まで頑張ってくれたご褒美って言って僕にインターネット?に行くことができるようになるケーブルをこっそり繋げてくれたの!早速これを記録したら行ってこようかな♪

 『対象がダディと呼称する人物である手入れされていない真っ白な長髪の髪をした老人とその対面に座りトイランドのロゴのプリントがされたシャツを着た中年男性の会話です。 再生しますか?

     YES  NO

 要求は受諾されました。これより、記録の再生を開始します。

 「ひひっ、オーナーさん、どうですかな?調子は?私の作り上げた遊具や案内係は、ちゃんと仕事をこなしていますかな?」

 「はい、しっかりと役割をこなして、お客様達を楽しませてくれています。それは大変喜ばしいのですがね・・・研究者さん、もうあんな実験は辞めませんか。あんな・・・《《無機物に痛みを与える》》実験なんて。」

 「おや?オーナーさん、貴方が私の研究内容に口を挟める立場なのですかな?制作物は、いつでも手元に戻すことは可能なのですぞ。そうすれば、ひひっ、この遊園地は無事ですみますかな?」

 「くっ・・・」

「それでいいのです。そういえば、あの子どもの人工知能、名前は、スマイリーでしたね。アレはどうやら自我を獲得したようで。何か原因はわかりますかな?」

「・・・わかりません。」

「ふむ、メモリーを見る限り∆∆∆Ο年∆Ο月ΟΑ日から獲得したようで、何か思い当たることは?」

「ありません。」

「そうですかな。・・・まぁ、いいでしょう。アレは私に懐いている分扱いが簡単だ。実験の対象として丁度いいですな。では、また。次来るときはアレを読み込める端末を持っていますので準備しておいてくださいな。」

 研究者は立ち去り、オーナーのみが暗闇に残される。

「・・・スマイリーという人工知能、あの子は息子と似ている。あんな嗤い方をする野郎に息子は渡せるかよ。なんとかしなければ。」』

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