第2話 あかいろ 記録者 マスコットキャラクター ビッグテディベアのティム
続きです〜
いた! おきゃくさま〜!
『対象は両手を前に突き出し、口を大きく吊り上げて男の元へ走っていく。』
ようこそ!たのしみとわくわくのまち、トイランドへ! ぼくはあかいいろをぬるのがとくいなんです! み〜んなよろこんでくれたんですよ? おきゃくさまもぬってほしいでしょ?ね?ね!
『対象は大きな声で男に話しかけるともふもふとした腕を振り上げ、その爪で皮を剥ごうとする。しかしその凶行は男が腕を掴んだことによって止められる。』
なにするの!おきゃくさま!ぼくはおもてなしをしたいんです!あかいろになってください!
『対象は剥き出しの爪を振り回し男の牽制を試みる。彼はしゃがみ、跳び、時には攻撃をその太い腕でいなしている。』
あああ、おきゃくさま!あかいろにさせて!うごかなくなって!もういたいのはいやなの!あかくなってくれたら アトラクションをめいっぱいあんないしますから!
『男は何事かを呟くと対象の懐に入った。腰を入れ、掌を当てた。対象は吹き飛び尻餅をつく。』
いたい!いたい!あなたもぼくをいじめるの?そうなんだね!ぜったいにあかくしてやる!
『対象は先程よりも好戦的になり男に向けての攻撃をより活発に行った。先程までの切り裂きに加え、噛みつき、体当たりを行うようになった。男は体当たりは躱したものの切り裂きによって頰に薄い傷がついてしまった。赤い血が流れる。』
やっとあかくなったね!そうそう、それでいいの!もっともっとあかくなって!そしたらぼくと あそぼう!
『男はその場に落ちていた赤い水の入ったバケツを対象の顔にかけた。対象は視覚が封じられたため先程よりも乱雑に腕を振り回している。男は先程と同じように懐に入り先程よりも力を込めて対象を吹き飛ばした。体を強く打ち付けたことにより対象の骨組みは曲がり苦悶の声をあげる。』
はぁ、はぁ、あなたもぼくをいじめるの?いたくするの?もう、いやだな。せっかく いたくなくなったのに。 ここからどっか行きたいな でも、おきゃくさまはあかくできないよね なら、ぼくがあかくなろうかな。
『対象は爪を自身の顔に当てて自決を試みる。男はその腕を掴み強引に阻んだ。』
なんで?なんでとめるの? ぼくは ただ、あかくなりたいだけなのに・・・
「俺は救うだけだ。この世界、この場所に飛ばされたものとしてお前たちをな。」