第三話「お皿は大切にしましょう」
「次にラップなんかしたら破門だ」ハンバーグの厳しい声が響く。
エリザベートは軽く肩をすくめた。
「わかったわ。でも、それは私が決めることよ」
エリザベートの豪華な別荘に着く二人。最新設備の整ったキッチンで、彼女は真剣な眼差しでハンバーグの指導を受けていた。
「君がここまで本気だとは」ハンバーグの声には感心の色が滲んでいた。
エリザベートは自信に満ちた笑みを浮かべる。
「私は何でもできるの。特に、ロバートを見返すためならね」
◇
一方、ロバートのレストランの厨房では。
「料理対決、大丈夫ですか?エリザベートさんはハンバーグ師匠の指導を受けてますが…」
部下の心配そうな声。
「何だと!?それが何だっていうんだ!?」ロバートの怒声が厨房に響き渡る。
ロバートが皿を床に投げつけた。
カアアアアアン♪
「ハンバーグ…ダニエル・ハンバーグ」その名を吐き出すように言う。
かつての師への複雑な思いが、ロバートの心を掻き乱す。
「心配するな!私が勝つのは確定事項だ。ハンバーグ師匠の弟子だからって、何も変わらない。お前たちは自分の仕事に集中しろ!」
強がりの言葉の裏に、不安が垣間見える。
◇
エリザベートの問いかけが、静かな夜のキッチンに響く。
「なぜ小さなレストランなの?あなたならもっと…」
ハンバーグは穏やかに微笑んだ。
「大きな店も悪くない。でも、俺は料理の本当の喜びを大切にしたいんだ」
彼の言葉に、エリザベートの目が少し潤んだ。
「お客さん一人一人への感謝、心のこもった料理。それが俺の幸せさ」
エリザベートはつぶやいた。
「そういう考え方もあるのね…」
彼女の中で、何かが少しずつ変わり始めていた。