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強行突破だ!

……………………


 ──強行突破だ!



 ゴーレムを1体撃破した私はすぐさまバレットM82のマガジンを交換し、ライフルスリングで背負うと、再びコルト・ガバメントを構えた。


「さて、前進だよ、ロッティ」


「行きましょう」


 私たちは無力化された傭兵たちを置いて、屋敷の奥へと前進。


「ゴーレムを前に出せ! これ以上クソ野郎どもを進ませるな!」


「了解だ!」


 すると、さらに傭兵たちがゴーレムを起動させてけしかけてくる。


「ゴーレムのお替りが来たよ! 私が排除するからロッティは敵の傭兵を!」


「はい!」


 ロッティは傭兵たちの武器を狙い、私はバレットM82でゴーレムを銃撃。激しい反動のある銃を何とか使いこなし、私はゴーレムを撃破していく。


「クソ。ゴーレムが!」


「ちゃんと働け、このがらくた!」


 男たちに怒鳴られて、ゴーレムたちは大口径過ぎて大砲みたいになっているマスケット銃を一斉に発射して私たち排除しようとしてきた。砲弾が跳び、屋敷の中が滅茶苦茶になりながらもゴーレムたちは平然と攻撃を続ける。


「ルーシィ! どうしますか!?」


「攻撃続行ー! 強行突破だ!」


 私は廊下にあった倒れた棚の上にバイポッドを立てて、バレットM82でゴーレムたちをしっかりと狙う。


 そして引き金を引けば、重々しい反動と銃声とともに大口径ライフル弾が放たれる。大口径ライフル弾はゴーレムの装甲を貫き、ゴーレムは衝撃によろめき、貫かれたことで内部機構が破損して動作を停止!


「畜生、畜生! ゴーレムをやっちまいやがったってのかよ!?」


「落ち着け! 白兵戦でケリをつける! 続け!」


 傭兵たちはサーベルやカトラスを構えて突撃し、ゴーレムも砲撃を繰り返しながら私たちの方へと突撃してきた!


「ロッティ! まだ殺さずに行けそう!?」


「ええ。まだまだいけますよ」


「なら、もう一頑張りしようか!」


 残り数体のゴーレムに向けて私は次々にライフル弾を叩き込み、これを撃破することを試みる。ゴーレムは撃破されながらも突撃を続け、手に装備した刀剣を振り上げながら私に向かってきた。


「ロッティ! 援護をお願い!」


「ここから先には進ませません」


 ロッティがゴーレムの刀剣を弾いて蹴り飛ばし、ゴーレムの姿勢が崩れたところに私が大口径ライフル弾を叩き込む。


「敵ゴーレム、全滅!」


 それらによってゴーレムが完全に全滅したのを確認してから、武装(アーマメント)の力で以前にも使ったMk48軽機関銃を召喚。


「気を付けてね、ロッティ! 一気に倒すよ!」


「はい!」


 男たちから武器を奪っていたロッティが退避すると同時に私は後方から軽機関銃を掃射した。軽機関銃から放たれたゴム弾が傭兵たちを薙ぎ払い、傭兵たちがくぐもって悲鳴を上げて地面に倒れていった。


「流石にもうゴーレムは出てこないよね?」


「分かりません。しかし、このゴーレムは陸軍が採用しているテトラーク型軽装ゴーレムです。軍用のゴーレムがなぜ軍から流出しているのでしょうか?」


「分からないけど、これを屋敷に置いていたマクスウェル候なら知ってるかもね」


「問いただしましょう」


「もちろん」


 私たちは再び前進を開始。


『ルーシィ。警察軍に通報が行ったが、こちらで妨害してある。まだ時間に余裕があるが、マクスウェル候は捕まえたか?』


「まだだよ、先生。マクスウェル候が逃げそうなルートとかある?」


『ここら辺の屋敷には非常時の際の脱出ルートなどがあるとは聞いていない』


「オーケー。なら、ゆっくり確実にやろう」


 私はコルト・ガバメントを構えて屋敷の中を進み、ロッティと援護しあいながらマクスウェル候を捜索する。


「ルーシィ。この部屋から物音がしました」


「よし。突入しよう。3カウント!」


 私とロッティが突入位置に就き、カウント始める。


 3──2──1──!


「ゴー!」


 私が扉を蹴り破って中に突入し、その背後からすぐにロッティが続く。


「貴様らが賊か! このジョセフ・マクスウェルを帝国議会議員にして、皇帝陛下より帝国侯爵の地位を与えらた人間だと知っての所業であろうな!」


 部屋の中には初老の男性がひとりいた。立派なスリーピースのスーツを纏い、手には先込め式ピストルを握って銃口をこちらに向けている。


 この人が問題のマクスウェル候だ。


「おっと。ここに来て余計なことはしない方がいいよ。こっちはあなたがスパイ行為に加担したという証拠を持っているんだ。いや、加担というべきではないかな。あなた自身が主導して行ったはずだからね」


 私もコルト・ガバメントの銃口をマクスウェル候に向けたままそう言う。


「ほう。さてはお前たちはオーウェル機関の工作員だな?」


「だとしたら?」


「卑しい殺し屋どもめ。お前たちのような法に認められない存在が、どうして私を咎めることができるというのか!」


「できるとも。私はあなたにとっても嫌われているみたいだからね。ラッセル伯の事件、あれをやったのは私だよ」


 私は威勢よく叫ぶマクスウェル候にそう告げる。


「貴様がそうなのか。私のことも脅迫して、無実の罪を自白しろというのか?」


「あなたの罪は確実です、マクスウェル候。私はルーシィのようにあなたが罪を認めるまで長々待つつもりはありません。ここであなたの首を刎ねて終わらせるという手もあるのですよ」


 ロッティはマクスウェル候をそう言って睨み、刀を構えた。


「ヴィリアーズ伯が全てを話している。今さら否定はできない。物的証拠もいくつも手に入れている。あなたの屋敷を家宅捜索すれば、もっと証拠は出てくるかもね」


「……おのれ……。私は惨めな晒し物にはならんぞ……!」


「!?」


 そこでマクスウェル候が先込め式ピストルの銃口を自分のこめかみに向けた。


「帝国万歳!」


 そういってマクスウェル候が引き金を──。


「させない」


 私がコルト・ガバメントの引き金をマクスウェル候より素早く引き、マクスウェル候のピストルを弾き飛ばした。ピストルは地面に落ちた衝撃で発砲されたが、放たれた弾丸が誰かに命中することはなかった。


「死ぬことはないよ。誰も死ぬ必要はない。もし、罪を犯してそれを悔いているならば、死ぬんじゃなくて生きて償って。死ぬのはずるいよ」


「くっ……!」


 マクスウェル候は呻きながら地面に崩れ落ちた。


『ルーシィ、ロッティ。マクスウェル候は確保できたか?』


「できたよ、リーヴァイ先生。応援を突入させて」


『分かった。それからよくやったな』


 リーヴァイ先生が優しくそう言ってくれたのに私は少し笑みを浮かべる。


 それからオーウェル機関の工作員たちが応援で突入し、マクスウェル候の身柄を拘束するとブラックサイトへと連行。マクスウェル候の屋敷からはさらに拘束された傭兵たちとゴーレムの残骸が運び出された。


「さあ、ロッティ。任務完了だ! 今日はお祝いと行こう!」


「まだ終わってませんよ。マクスウェル候が本当にまだ潜入捜査官の情報を漏らしていなかったかどうかや、あのゴーレムの出所はどこなのかをしっかりと確かめなければなりませんから」


「ええー。それは私たちが調べなくてもいいやつじゃない?」


「そんなことはありませんよ。何であろうと途中で投げ出すのはよくないと散々言っていたのはルーシィではないですか」


「そうでした……」


 というわけでマクスウェル候を無事に拘束したものの、私たちの任務はまだまだ継続するのであった。


……………………

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