塔の上
届くはずがないと思っていた。
一介の、閉ざされた塔の守りに就く浪騎士が、
何故今ここに居るのかわからない。
導かれるがごと一条の光を追った。
きっと眩すぎるから幽じ込められたのだ、
この花は。罪深いほど。
潤む輪郭散らせば戻れぬと識れど。
すう、と世界から音が消えて。
もうここで、終わりでいい。
……あてなく流離うち偶さかに、打ち捨てられた塔の守りを任とすることになった、ある浪騎士の話。届くはずのないものを、目の当たりにして。
お読みいただきありがとうございます。
しばらくがっつり執筆するということができなさそうで、でも何か書く練習はしていたい……と、140字小説に挑戦してみました。
直接に関係ないのですが、年末年始のご挨拶などなかなか伺えておらず失礼しておりますため、簡易近況です。
年末に連載を完結させてからぱたりと気が抜けてしまい、あとは色々と放っぽっていた諸々のしわ寄せなどもあり、、雑事を片づけたり英気を養っておりました(目下継続中)。
また、北陸に親族がおりますが、幸い皆早い段階で無事が確認でき、大きな被害もなかったようです。
まだまだ大変な思いをされていらっしゃる方も多いかと存じます。この場を借りて、お見舞い申し上げます。