一本化
「このままでは、誰も有効得票数に達しません。」
選管は悩んでいた。候補者が多すぎるのだ。得票上位者での決戦投票をするにしても、あまりにも少ない票では会長が納得しない恐れがある。
「候補者を絞れないか?」
各支持者に問い合わせたが、そう簡単に首を立てに振るわけが無い。肉体を持たない天使や悪魔と、肉体を持つ魔道師では、高等部のような直接戦もできない。
「こんな時にクズ会長がいてくれたら、いいアイデアが出たろうに。」
「そもそも会長がいれば、こんな事態にならないよ。」
「今にして思えば、人気はなかったけど人望はあったなあ。」
「そうだな。会長に必要なのは人気じゃない。なのに人気投票になっちまってることが問題なんだ。」
「なら、いっそ不人気投票にするか?」
「いや、人気も人望もないやつになったらもっと悲惨だ。」
選挙戦の情勢が伝えられと、不穏な動きが始まった。まずは、陰陽師組の光に対し、一部の陰陽師たちが妨害を始めた。彼らは、天使組のアンジョの応援にまわった。その筆頭が安倍清明の流れを汲む安倍派だ。かれらは修道士を取り込んだ。その事件は安倍派による応援演説で起こった。
魔道師たちは大量の腐乱死の遺体を操り、教会の偽信者として送りこんだ。そして安倍派の心臓部を討ったというのだ。幹部が居なくなったかれらは散り散りとなった。そしてアンジョの革命は失敗し、脱落した。
一旦は勢力を拡大したかに見えた光だが、密偵により女好きが暴露されると、日道と共に消え去った。選管の心配をよそに結局は、阿修羅とリリムの一騎打ちへと進んでいった。ハヌマーンの策略は完全に裏目に出てしまった。ついに女性票の童顔阿修羅に対し、男性票の美少女リリム。いよいよ戦いは終盤戦へと突入した。