ああ無料
教職員は有料とし、学生たちには年間フリーパスが配られた。
「学内だけで使える、ローカルカードです。今なら学生証に紐付ければポイントがもらえます。健康管理もできます。」
通称、マイナーカード。急いで作ったので、当然トラブルが多発した。
「カードだけじゃ、教員か職員か学生かわからないよ。学生証も提示して。忘れた?今日はお金を払って。後日返金するから。」
「性別がないね。男湯と女湯があるんだが、どっちだい。」
「高血圧の鬼は入浴は5分ね。え?低血圧だって。たしかに顔が青いね。こりゃ別鬼だね。」
受付のダツエバや案内のハイレバも混乱している。
「いつまで使えるかって?年間パスだから、期限が切れたら更新料払えば継続できるよ。」
入浴料を集めるハラエバが答えた。奥では新人のシマエバがタオルを片付けている。
「貯まったポイントがどこで使えるかって?そりゃ、ここで使えるよ。例えば入浴料とか。他にも入浴料とか。さらには入浴料とかだね。」
結局入浴料にしか使えない。しかも、フリーパスだから使わない。
「パスの更新にはポイントは使えないよ。由緒ある鉄道会社のシステムだよ。」
タダほど怖いものは無い。何を言っても、タダなんだからと言って取り扱ってくれない。
「無料を得たが自由を失った。」
Oh!Free




