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対決

 卑弥呼も女性だ。「特別」とか「お得」と言う言葉には弱い。喜んで理事を承諾した。

「さっそく選挙じゃ。候補者はお告げで決めようぞ。」

 そう言うと、男子学生たちの顔写真を眺め始めた。


 卑弥呼は二人の学生を選んだ。

 大国主の子孫である神道三輪。

 阿遅鉏高日子根の子孫である陰陽道加茂。

 どちらもイケメン家系だ。


 卑弥呼は、生徒会も中高一貫合同で1つにして、魔道師組から選ぶことに決めた。

「中等、高等の区別は、専門性の違いなので問題はなかろう。それに、神と鬼に自治会が勤まるとも思えん。」

 確かに、他の組は協調性は無い。卑弥呼の言葉を聞くはずもない。


 さて、困ったのは急に指名された候補たち。支持基盤も無いし、知名度も無い。人気も人望も無い候補では選挙戦も盛り上がらない。

「サイン会でもするか?」

 卑弥呼の指示で会場を設けたが、ほとんど来ない。ポスターには「イケメン対決」と書かれていたが、三輪対加茂なので、そうめん対そばの「つけ麺対決」と囁かれていた。


「臨・兵・闘・者・皆・陳・列・在・前」

 時計を見ていた司会者がいきなり声を上げた。

「9時をきりましたのでさっそく開始したいと思います。」

 会場の体育館にいる客はまばらだ。

「式神対決!」

 式神を折って飛行距離を競う。次に式神同士が土俵で力比べ。土俵の横を指で叩いて念を送り続ける候補者たち。式神ダンスバトルは、小さすぎて見えない。


「本日のメインイベント!」

 司会者の声に、二体の巨大な折り紙が外から登場した。リアル折り紙の青龍と白虎だ。

「折り紙・・・式神研究会による巨大式神を使った戦いです。」

 巨大な折り紙を見習いが一人で動かせるはずもない。双方の支持者たちによるチーム戦だ。

「水と火による攻撃を禁止です。紙ですから。」

 外で見かけたのだろう。動く折り紙につられて客も増えてきた。


「神道三輪チームの龍に対し、陰陽道加茂チームの虎。さあどんな戦いを見せてくれるのでしょうか。」

 司会者は場を盛り上げる。二体の式神が対峙した。

「ドーン」

 太鼓の音で両者は進んだ。巨大な物体の激突に観客は耳を済ませる。

「カサカサ、クシャ。」

 乾いた軽い音が響く。所詮、紙だ。見た目よりはるかに軽い。

「ペチャペチャ。」


「激しい殴り合いだ。」

 司会者の叫びだけが響く体育館は、やけに空しい。倒れても地響きもしない。

「両者揉み合いだ。」

 やがて二枚の紙は一つの団子になってしまった。

「両者、組み合わさって離れません。この勝負、引き分け。」


 たぶん、最初から引き分け狙いだったのだろうが、にしても期待を裏切られた感じだ。体育館から出る客に候補者たちが握手をし、シップ薬を渡す。候補者の名前と共に「選挙膏薬」と書かれていた。客としてはポケットティッシュのほうがきっとよかったろう。

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