九十七話
ラーシャは大量に置かれている剣の中から数本を選びだした。
アリスも横で短剣を数本の短剣を選んでいた。
「ほう。それを選ぶとはな」
「薄々感じていましたが、試されましたね?」
「おう。剣の目利きの出来ない奴に売ってやる剣はないからな。お前さん達は合格だ。何なら専用の武器を用意してやってもいいが?」
「お言葉は嬉しいのですがお金が・・・」
専用の武器はほしいにはほしいが結構な金額になることが予想された。
「おやっさん。ちょいといいっすか?」
「なんだ?シェルの嬢ちゃん」
シェルがドワーフの耳元で何やら話す。
「なるほどなるほど・・・。嬢ちゃん達のおかげで助かっているわけか。よし、料金はいらねぇ。好きなもんを作ってやる」
「どういうことですか?」
「あはは。簡単なことっすよ。迷宮で取れた鎧やら武器の卸先の1つなんっすよ」
「あぁ・・・。あんなに集めてどう処理しているのかと思ったら・・・」
剣やら鎧やら鋳つぶして使うとしても職人は必要になってくる。
このドワーフはその1人というわけだ。
「ちょいと、これを持って振ってみな」
おやっさんと呼ばれたドワーフは棒を渡してくる。
ラーシャは何度かその棒を振るってみる。
「ふむふむ。嬢ちゃん中々いい腕しているな」
「ありがとうございます」
「そっちの嬢ちゃんはこれを振ってくれ」
そう言ってアリスに短い棒を渡す。
アリスは何度かその棒を振るっていた。
「よし。ありがとうな。嬢ちゃん達の癖は大体わかった。次に来るまでに仕上げておいてやるからな」
そう言って奥に引っ込んでしまった。
「ねぇ・・・。シェル。武器の代金支払ってないのだけど・・・」
「あはは。ああなったらもう出てこないっす。料金はそこの机の上に置いておけば大丈夫っすから」
何とも適当なやりとりである。
「余計な心配かもしれないけど商品盗まれたりしない?」
「たまにあるっすね。でも、そうなったら騎士団が全力で犯人を追いかけるっす」
「大変そうね」
「贔屓にしている店っすからね」
話を聞けばこの鍛冶屋は騎士団御用達で他の騎士団員もよくお世話になっているそうだ。
大事な取引先であるため、捜査にも熱が入るのだろう。
「必要な物は他にないっすか?」
「私は大丈夫」
「必要な物は揃ったかな?」
お店を出ればもう夕暮れの時間であった。
休暇とはいえ、門限を破るわけにもいかない。
急いで騎士宿舎に戻るのであった。




