九十一話
ベース拠点に戻ると、騎士達が忙しそうに動き回っていた。
簡易的にいくつもテントが張られている。
「おぉ。戻ってきたか。お疲れ様である」
「お疲れ様っす」
「簡単な物ではあるが食事を用意してあるから食べるといいのである」
そう言って食事を勧められる。
食事は硬いパンに肉と野菜を煮込んだスープだった。
迷宮内で温かい物を食べられるのはありがたい。
量としては物足りなさはあるが物資が枯渇している中で出してくれたものだ。
贅沢を言ってはいけないだろう。
女性ということでテントは優先的に使わせてもらえた。
後は寝るだけと思ったら、シェルが口をもぐもぐ動かしている。
「ちょっと、シェル?」
「皆も食べるっすか?」
「そうじゃなくて、どこからそんなものを・・・」
「ふふふ。シェルさん7不思議。非常食って奴っすね」
そう言って腰につけたポシェットを示す。
「もしかしてそれ・・・」
「非常食用のマジックポーチっす」
マジックポーチに非常食を大量に入れているとは逆に関心してしまう。
「私達はいいわ。シェルの楽しみを奪うのは申し訳ないもの」
「そうっすか?」
そう言いつつシェルの口は動き続けていた。
十分な睡眠をとり目が覚める。
外からはいい匂いがしている。
テントから外に出れば昨日よりも周囲は整っていた。
「おはようさん」
「テッペリンさん。おはようございます」
「今日もよろしく頼む」
「はい」
朝食を素早く食べ、軽く動かしてからシェルの案内で昨日とは別方向に向かう。
そちらでも魔物が大量に発生していた。
蝙蝠型の魔物であるコバットや小さい狼など。
どちらも個体としての強さはない。
だが、その数が多いのが特徴だ。
1匹いたら100匹ぐらいいるのだ。
倒しても倒しても次から次へと襲いかかってくる。
全てを倒しきった時には魔物の遺体の山となっていた。
そこから、魔石を取り出す。
可食部分は少ないが肉も回収する。
物資の運搬はされているだろうが、少しでも食料を回収するのは大事なことだろう。
その後もいくつかの群れを倒し、ベース拠点に戻ってくる。
ベース拠点近くで、戦闘をしている騎士達がいた。
挟撃する形となり騎士達と共闘する。
魔物はあっという間に討伐された。
「ありがとう。助かった」
「いえ」
「おぉ。お嬢さん方か」
「テッペリンさん。副団長自ら出てきたんですか?」
「私の仕事はベース拠点を維持することなのである」
テッペリンは巨体にあわせたような巨大な剣を背負っていた。