八十五話
アリスは問題なく村々を巡り、王都に戻ってきた。
冒険者組合で割符を渡し依頼料を受け取った。
冒険者組合を後にしようとすると騎士に話しかけられた。
ラーシャとミリスのことで話があると言われて詰め所まで同行する。
詰め所に到着すると奥の部屋に案内され、すぐにラーシャとミリスがやってきた。
「よかった。無事だったのね」
「元気そうで何よりね」
2人は事情を説明してくれる。
何やら厄介ごとに巻き込まれリーシア以外のパーティーメンバーを騎士団で保護する形になったらしい。
「貴方達も災難ね・・・」
「まぁ。こうして全員集まってよかったわ」
「そうね」
そこにシェルが通りかかる。
「おっ。何やら楽し気な気配が・・・」
シェルはそう言ってしれっと輪の中に混ざってくる。
「紹介するわね。私のお世話になっている見習い騎士のシェルよ」
「シェルっす。よろしくお願いするっす」
「アリスです。よろしくお願いします」
「いやぁ。皆さんお綺麗っすね。リーシアさんにも会ってみたいっす」
「あの娘は別格よね」
「そうそう。私達とは放ってるオーラが違うわ」
「今頃、何をしているのかしらね」
「団長に探りを入れてみたっすけど、どこにいるかもわからないらしいっす」
「まぁ、呼び出したのは王家だもの。無事よね?」
「そうねぇ・・・。成長して戻ってくるだろうし、私達も負けないように頑張らないと」
それぞれに力を磨くことを誓いあう。
「おっ。やる気っすね。及ばぬながら協力させてもらうっす。まずはご飯からっすね」
「貴方らしいわね」
シェルを先頭に食堂に入る。
シェルは当然のように大量の食料をゲットすべく突撃していった。
「変わった子ね・・・」
「まぁ、悪い子じゃないから」
ラーシャ、ミリス、アリスも自分達の分を確保して椅子に座る。
「節制してたから、食事代と宿代がかからないのは助かるわ」
「そうね」
楽しく食事を楽しむ。
シェルは途中話に混ざりつつおかわりをしにいっていた。
あの細い体のどこに入るのか謎である。
「さて、食事も終わったし休みましょうか」
「なら、部屋に案内するっすよ」
そう言ってシェルが泊まる部屋に案内してくれる。
「ありがとう」
「いえいえ。お湯は必要ですか?」
「お願いできるかしら」
「了解っす」
そう言ってバタバタと部屋を出ていったと思ったらすぐにお湯を持って戻ってきた。
「ありがとう」
「いえいえ。お湯はそこの窓から流しちゃっていいっすから」
それだけ言ってシェルは部屋を出ていった。
布を取り出してお湯につけ、体を拭く。
出先では体を拭けなかったのでありがたい。
アリスは全身を拭き終わると窓からお湯を捨てベッドに横になった。




