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八十話

アリスはいつものように冒険者組合でこなせそうな依頼を見繕っていた。

受付の方から言い争いの声がしてくる。

気になってみてみればまだ小さな女の子と受付嬢が言い争っていた。

「どうして?冒険者になるのには年齢は関係ないって・・・」

「それはそうですが、貴方に任せられる仕事がないんですよ」

冒険者になるのに年齢は関係ない。

だが仕事を任せられるかは別問題だ。

斡旋して失敗されれば冒険者組合の沽券にかかわる。

そういうわけで実質的には年齢制限があった。

女の子は必死に受付嬢に頼み込んでいる。

だが、受付嬢がそれを受け入れることはなかった。

アリスは肩を落として去って行く女の子が気になった。

「そこの貴方。何か事情があるのかしら?」

女の子は事情を話しはじめた。

父親はおらず母親と2人暮らしなこと。

母親が数日前に倒れ治療のためにお金がいること。

「そう・・・。とりあえず貴方の家に行きましょうか」

女の子は何も疑うことはなく家に案内してくれた。

外観はボロボロだ。

雨風が何とかしのげるそんな佇まいだった。

女の子と家の中に入る。

「げっほ。ごっほ・・・。ペネロペ・・・。貴方、どこに行っていたの?」

母親はベッドから起き上がって女の子に話しかける。

「お仕事を見つけようと思って・・・」

「お仕事って・・・。不甲斐ない親でごめんなさい・・・」

母親はそう言って悲しそうな顔をしている。

「ちょっと見させてもらいますね」

「貴方は・・・?」

そこでアリスの存在に気がついたようだ。

余程、女の子のことが心配だったのだろう。

「この子を見捨てられなかった冒険者ですよ」

アリスはそう言って母親の体温やら体調を確認していく。

パーティ―での役割が盗賊であるアリスは多少の医療知識も持ち合わせている。

正直に言えば女の子の母親の状況はあまりよくなかった。

「とりあえず、咳止めと解熱剤・・・。後は簡単な食事ですね」

処置を次々にこなし調理場を借りて簡単な食事を作る。

「何から何まですみません」

「いえ。それを食べたら少し寝てください」

母親は最後まできっちりと食べて眠りについた。

「お母さん。よくなる?」

「う~ん・・・。教会にお願いするのが一番なんですけどね」

病気や怪我を治すのは教会の役割の一部だ。

だがそれには当然、治療費を払う必要がある。

現在の状況ではそれも難しいだろう。

「また、来ますからお母さんのことを見ててね」

アリスはそう言って女の子の家を後にした。

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