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第六十五話

豪華な装飾の施された部屋で怒り狂う一人の男がいた。

「王家預かりだと・・・?せっかくエルシュタインを弱体化させられると思っていたのにこれでは王家とエルシュタインの繋がりを強くしただけではないか」

「そうはおっしゃられても尻尾を掴ませないように細工をするのもやっとだったのに王家まで絡んできては打てる手がございません」

「それを何とかするのがお前の役目だろう。高い金を払っているんだ。何とかしろ」

「リーシアという娘、以前は愚か者だったというのに何があったというのか」

リーシアの一般的な評価は公爵家という選ばれた血筋から他者を見下す悪役令嬢を地で行っていたというのにここ最近聞こえてくる評判は真逆のものばかりだ。

第4王子とくっつけエルシュタイン公爵家を衰退させるというプランの元、馬鹿を焚き付けてみたが逆に国王とイーリッヒの手によって粛清されてしまった。

闇ギルドをいくつも経由してこちらの身元がバレないように進めていた人身売買もリーシアの手で潰された。

幸いなことにエルシュタイン公爵家は多額の金を使い事態の収拾にあたったのである意味ではこちらの勝ちだろう。

だが、エルシュタイン公爵家全体で見れば微々たるものだ。

それに、独自に冒険者に依頼を出して精力剤の大量生産をされたことでこちら側の貴族の中にもエルシュタイン公爵家にすり寄る動きを見せている者もいる。

そういった小者でも何かの役に立つかもしれないと懐に潜り込み最低限、情報を流すように指示を出したが期待できないだろう。

「今、打てる手としては派閥内の浮浪者共に噂を流し、移住させるといったところでしょうか」

「浮浪者共を?」

「はい、奴らは税も払えず犯罪に手を出すゴミ共ですがそれが一斉にエルシュタイン領に向かえばどうなりますか?」

「治安の悪化に繋がるか」

「えぇ。そしてエルシュタインは事態を収拾するために要らぬ苦労をすることでしょう」

「噂を流すだけならタダか。早速、動け」

「かしこまりました」

浮浪者といっても彼等は好き好んでその立場にいるわけではない。

安定した職業を求めてもはじかれ仕方なくその立場にいるのだ。

闇ギルドに騙され犯罪に手を出す者も少なくない。

本来であれば治める貴族が心を砕き改善をすべきなのだが費用やかかる手間に放置されることが多かった。

王国の法では弱者の救済を訴えているがこれを守る貴族は少なかったのである。

王国の負の一面であると言えるだろう。

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