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第六十二話

呼び出された時点では謁見の間に通されるのかと思っていたのだが何故か王宮の奥まった区画である王族のプライベート空間にいた。

「リーシアさん。お久しぶりですね。馬鹿が迷惑をかけてごめんなさいね」

今話しかけてきているのでは馬鹿もといアース・シェイド・カルマインの母親でありこの国の王妃であるエーリカ・シェイド・カルマインである。

ここに来るまでの間に王族の情報は仕入れていたのが功を奏した形だ。

「王妃様が謝ることでは」

「いいえ、国王になることはないとはいえ私達が甘やかした結果があれです。聞けば強引に迫ったそうではありませんか」

「それは、まぁ・・・」

「怖い思いをさせてごめんなさいね。それはそうと冒険者として活動してるそうですね」

「はい。若輩者ではありますが自分の力がどこまで通用するのか試してみたくなりまして」

「そう。若いっていいわね。昔を思い出すわ」

エーリカも嫁ぐまでは色々な経験をしたものだ。

現在の国王であるミルハンスに嫁ぐことが幼い頃には決まっていた。

その代わりと言っては何だが両親は嫁ぐまでの間自由にさせてくれたのだ。

様々な失敗を得て王を支えるべく成長したエーリカは国母に相応しいだけの能力を有している。

「貴方も大変だと思うけれどこれからいくらでも成長できるわ」

「ありがとうございます」

「それにね。貴方には感謝しているのよ。丸薬はとても助かっているわ」

どうやら国王もウシガエル製の精力剤をご愛用らしい。

「それはまた・・・」

「貴方もそのうちわかると思うけれど王族や貴族にとって子供の数というのは大事だもの。増えすぎも問題だけどいないよりはいるほうがいいのだから」

男子なら跡継ぎ、場合によっては新たな公爵家の設立。

女の子なら国外との同盟関係の強化に国内でも降嫁させれば派閥の強化に繋がる。

娘一人というエルシュタイン公爵家が少々特殊な状況と言えるだろう。

リーシア以前にも子供はいたのだが幼い頃に病死した過去がある。

それもあって両親はリーシアに甘々なのである。

「長々と話をしてしまったけどようやく来たようね」

後ろを振り返れば国王であるミルハンスと父であるイーリッヒが部屋に入ってくるところであった。

「待たせたね」

「いえ、王妃様と楽しく歓談させていただきました」

「そうか。早速で悪いがリーシア嬢の処遇についてだがしばらく王家預かりということになった」

「王家預かりですか?」

「不平不満をあげる貴族が思いの外多くてな。王家預かりと言っても外で学べないようなことを学んでもらおうと思っている」

ダンジョン攻略が出来ないのは残念ではあるが仕方のないことだろう。

「陛下にお願いがございます」

「言ってみよ」

「私のパーティーメンバーにも機会を与えてもらえないでしょうか」

「元よりそのつもりだ。存分に力をつけるとよい」

こうして夕闇は王城にて力を蓄えることとなった。

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