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第六話

食事のマナーというものがある。

遥か昔に一応は学んだが通用するだろうか。

銀の食器に乗った料理が運ばれてくる。

両親と思われる男女は躊躇することなくナイフで一口大に切り取りフォークで口に運んでいる。

このまま見ているだけでは不自然なため恐る恐る真似して口に運ぶ。

失敗して少しカチャカチャという音がしてしまう。

母親と思われる女性がこちらを鋭い目線で見たような気がする。

そんな状況で食べる料理は味がわからなかった。

なんとか料理を食べ終え一息ついていると父親と思われる男性が話しかけてくる。

「リーシア。君に縁談の話がきているよ」

縁談という言葉に衝撃を覚える。

この体は女性だが中身はおっさん。

男性の相手など無理な話だ。

「縁談ですか?それは断ることは出来ないのでしょうか」

「ある程度は弾いたのだけどね。どうしても断れない話がいくつかきているんだ」

「リーシア。貴方も年頃の娘なのだから受け入れなさい」

「会うだけでもいいんだ。その上で断ってくれても構わない」

「そういうことなら・・・」

「おぉ。受けてくれるか」

そう言って父親と思われる男性は微笑んで見せる。

使用人はかなりの人数がいるから仕方ない面もあるが父親と母親の名前がわからないというのはまずい。

かといって使用人に聞くのもおかしい。

どうにかして情報を入手しなければ。

人に聞かず情報を集めるとなるとやはり本だろうか。

「お父様。お願いがあるのですが」

「何だい?言ってごらん」

「本を読みたいのですが」

「なんだ。そんなことか。自由に読んでくれて構わないよ。ただ、蔵書が多いから案内をつけよう。セバスチャン。頼めるかな」

「かしこまりました」

執事服を着た男性はセバスチャンというらしい。

なんというかベタな名前ではあるがいかにも仕事が出来そうな彼にはピッタリな名前ではある。

セバスチャンと共に食堂を辞して廊下を歩いていく。

いくつか階段を下りて辿り着いた部屋は物凄い蔵書量の部屋だった。

「お嬢様。何をご希望でしょうか」

「そうね。まずは我が家の歴史がわかる本はないかしら」

「少々お待ちください」

そういってセバスチャンは迷うことなくいくつかの本を揃えて戻ってきた。

「立ったままで読むのは大変でしょう。窓際に椅子とテーブルが置かれていますのでご案内いたします」

そう言って本を持ったまま奥にあるスペースに案内される。

「ありがとう」

「いえ。お礼にはおよびません。私は他にも仕事がありますので一度外しますが御用の際はこちらの鈴をお鳴らしください」

そういって鈴を置いてセバスチャンは去っていった。

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