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おっさん。美少女に転生する。中身は男なので恋愛はお断りします。  作者: 髙龍


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第五十七話

地下室にいたのは女の子だけだった。

年齢は幼女と言ってよい歳の子から成人間際の少女まで。

ただし、共通しているのは全裸で痩せぼそり暴行された形跡があること。

リーシアは安心させるようにゆっくりと近づき一人一人回復魔法をかけていく。

怪我は回復魔法で治せるが心の傷までは癒せない。

何か出来ることはないかとアルスが近づくと脅える女の子達。

男性恐怖症という奴だろうか。

危険はないと判断して指示を出す。

「アルス様。何か布を取ってきてください」

「わかりました」

アルスがいなくなると女の子達はほっとした顔をする。

「もう大丈夫です。家族の元に帰れますよ」

「ほんと?」

「えぇ。本当です。私が責任を持って送り届けますからね」

アルスが戻ってきて粗末なシャツや毛布を手渡してくれる。

リーシアはそれらを配り女の子達は体を隠す。

「アルス様。外の様子を見てきてください」

女の子達を保護したのはいいもののこのまま上に上がるのは危険だ。

まだ、賊の残党がいる可能性もある。

しばらく待っているとアルスではなく衛兵がやってくる。

女の子達はやはり男性が怖いようで震えている。

「リーシア様。賊の掃討が完了しました。外に馬車を待機させています」

「ご苦労様です。怖いと思いますが移動しましょう」

女の子達を促し地下室から出て家の前に止められている馬車に誘導する。

「私はしなければいけないことがあるので離れますが安心してください」

やはり情緒不安定で泣き出してしまう子もいるがこればかりは仕方ない。

リーシアは素早く状況確認をする。

「他にも囚われていた子供達を保護しました。賊も数人確保しています」

「現在、子供達は各所にまわした馬車に回収し順次アルスヘルムへ向け出発いたします」

「こちらの被害は軽い怪我をした者が数名。ですが動くのには支障なしです」

「ご苦労様です。この村はどうなりそうですか?」

「大人は全て賊かそれに協力していた者だけなので廃村にするしかないかと」

「仕方ないですね。他の賊や魔物に住みつかれても困るので定期的に巡回するようにしてください」

「はっ」

「では、撤収です」

出来ることは全てやった。

協力してくれた冒険者にも慰労の声をかけ撤収作業に入る。

今回は多くの子供達を助けられた。

そのことに満足するしかないだろう。

癒えない傷を負った子も多いが家族や専門の施設で立ち直ってくれることを願い名もなき村を後にする。

恵まれた生まれであることは確かだ。

しかし、そこには大きな義務が付随するのだと実感する事件だった。

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