第四十三話
ミリスの魔法が炸裂して前衛の武装したゴブリンに確実にダメージを与えて屠っていく。
武装したゴブリンが倒れると同時にアリスは魔法を放ってくるゴブリンマジシャンに忍び寄り機動力を生かして何度も斬りつけ詠唱を妨害しつつダメージを与える。
ここでラーシャとリーシアも剣を手に前へ出る。
しかし、異変はすぐに起きた。
ゴブリンロードを中心として魔法陣が現れる。
そして倒したはずの武装したゴブリンが床から出てくる。
眷属召喚。
魔物の中には眷属を召喚してくる個体が存在する。
冒険者学校の座学で学んではいたが低位のダンジョンで遭遇するとは思ってもいなかった。
選択肢は2つ。
ゴブリンロードの魔力が尽きるまで持久戦をするか無理矢理にも接近して短期決戦を挑むか。
景気よく魔法を放っていたミリスの魔力は残り少ない。
アリスも突っ込んだために孤立気味だ。
ラーシャとリーシアは目配せし決断する。
二人とも強引に突っ込みゴブリンロードに肉薄するとコンビネーションでゴブリンロードに斬りかかる。
リーシアは魔法を同時展開して出てきたばかりの武装したゴブリン達に確実にダメージを与える。
ミリスもそれに続き弱った武装したゴブリンはアリスが確実に仕留めていく。
ゴブリンロードは距離を取ろうとするがラーシャは逃さず確実にダメージを与えていく。
ゴブリンロードは諦めたように腕を振るってくるがそれをギリギリで躱しカウンターを叩き込む。
リーシアは武装したゴブリンが片付いたのを確認してゴブリンロードの背後にまわる。
前後を挟まれる形となったゴブリンロードは抵抗を続けていたが勝敗は決した。
ゴブリンロードは倒れ魔石を残してダンジョンに吸収されていく。
「ふぅ。流石にやばかったな」
「えぇ。眷属召喚をしてくるとは思わなかったわ」
「孤立するかと思いました」
「私も魔力がギリギリです」
4人は自分達の実力を確かめるためにダンジョンの情報をあえて買わなかったのだがそれが仇となった形だ。
今後はきっちりとダンジョンの情報を調べようと心に誓ったのだった。
「さて、お楽しみと行こうか」
4人はゴブリンロードが待ち構えていた奥の扉を開く。
そこには攻略を示すメダルと宝箱が待っていた。
アリスが罠がないことを確認して宝箱を開く。
「なんだ。外れね」
低ランクのダンジョンの報酬はしょぼいことが多い。
今回は鉄のインゴットが5個ほど入っているだけだった。
「とにかく戻りましょうか」
ダンジョンの最奥には帰還用の魔法陣が発光していた。
リーシア達はその魔法陣に乗ってダンジョンを後にするのだった。