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第四十話

リーシア達はあれ以降、迷宮に潜れていなかった。

理由はミリスの不調もあるが迷宮都市アルスヘルムの代官から懇願されリーシアが政務にかかりきりになったからである。

当初の条件は罪人の処遇の判断のみだったのだが興味本位に書類読んだ結果何とかしなければならない事態であることが発覚した。

それは街の治安を守るはずの衛兵達の不正であった。

全員が全員不正に手を出しているわけではなかったがそれでも代官の手には余る。

代官もタダ手を拱いていたわけではなく不正の証拠をつかみイーリッヒに直談判しようとしていた時にリーシアがやってきたのだ。

リーシアが興味本位で読んだ書類というのもそうなるように仕向けられた物であった。

経緯はどうあれリーシアとしても何とかしなければと動かざるを得なかった。

特に問題なのは人攫いが横行していることだった。

幼い子、特に女の子の行方不明者が増加している。

案件の中に衛兵がいるのだから少し目を放しても大丈夫だろうと親が目を離した隙に攫われたというケースが結構な数、存在していた。

衛兵に行方を聞いても知らないとの一点張り。

こうなってくると衛兵への街の人々の感情は悪化の一途を辿る。

代官としても身内のはずの衛兵を信用することが出来ず個人的な資金を使って冒険者を雇い長期的な調査の上で証拠をつかみリストを作っていったことがわかる。

その結果、実に半分以上の衛兵が悪事に手を染めていたことが発覚した。

その理由は様々だが例をあげるとギャンブルに女など実に自己中心的な理由だった。

代官は悪事に手を染めていない衛兵と秘密裏に冒険者組合と手を組みこれ以上被害が出ないように手を打っていたが衛兵の半分以上を捕まえるには代官の権限では無理な話だった。

そして衛兵の半分を失えば一気に治安の不安定化に繋がる。

そういったこともあって判断をリーシアに任せたのである。

リーシアとしても頭を抱える事態だが住民のことを考えれば即断する必要がある。

組合長のヘンゲスに頼み冒険者を招集。

不正を働いた衛兵を全員捕まえ一時的に冒険者に治安の維持を頼む。

出費を考えれば手痛いが仕方のない面でもある。

父であるイーリッヒに手紙を書き早馬を飛ばし代わりの兵士の手配と今回かかった代金を融通してくれるよう頼んだ。

足りない資金に関しては公爵家の名で複数の商会から借り入れることで対処した。

この結果、街の治安は回復したが大変なのはこれからである。

失った信用の回復。

売られた人々の追跡調査。

幸いなことにこれらの後処理は代官が買って出てくれたので一任することが出来たのが救いだった。

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