第三十七話
迷宮攻略2日目。
攻略は順調に進み今は第5層の安全地帯で休息をとっていた。
ダンジョンごとに違うが一定の間隔で安全地帯が存在しており魔物の侵入できないこのエリアは冒険者にとって欠かせない存在だ。
どんな冒険者でも疲労の蓄積によりミスをして窮地に陥る事態というのは存在する。
そんな冒険者達にとって安全に休息をとれるこのエリアはとても大事なものなのである。
ここまで来るまでにリーシア達は剣や弓を持ったゴブリン達と遭遇していた。
冒険者学校時代の模擬戦のおかげで危なげなく戦うことができた。
残念ながらドロップは魔石のみだが想定されていたことなのでがっかりするようなことでもない。
順分な休息をとった後、第5層へと足を踏み入れた。
出てくるゴブリンはどれも武装しており魔法を扱う固体まで混じってくる。
ゴブリンの放つ魔法は威力は大したことはないがそれでも鬱陶しいことに変わりはない。
小さなダメージでも積み重なれば致命傷になりうる。
優先して魔法を放つ個体を狙いたいところだが槍や剣を装備したゴブリンが邪魔をしてくる。
リーシア達は装備がしっかりしていることもありこの程度ですんでいるが装備の整っていない冒険者からすれば確かに脅威だろう。
多くの新人冒険者が二の足を踏んでいる原因が魔法を放つ個体に対処するのが難しいからだ。
このままでは埒が明かないとリーシアは魔法を放つ。
使うのは一番使い慣れた水弾だ。
狙い通り水弾は魔法を放つゴブリンに命中した。
「リーシア。ナイス」
魔法を放つ個体さえいなければ後は楽勝である。
ミリスがダークボールを放ちアリスとラーシャが斬り込んでいく。
戦闘はあっという間に終了して魔石を回収する。
まだまだ全員に余裕があり攻略を再開する。
突然開けた空間に出て部屋の中央には宝箱が置いてある。
どうみても怪しい雰囲気だがアリスが躊躇なく宝箱に近づいてく。
「どうやら罠はないみたいね」
そう言って宝箱を開く。
しかし、異変はすぐにやってきた。
部屋の外からはわからなかったがいくつもの穴が開いておりそこから続々とゴブリンが出てくる。
来た通路からもどこに隠れていたものかゴブリンが迫ってきていた。
宝箱には確かに罠はなかった。
しかし、獲物を吸い寄せる為の巻餌だったのだ。
ここでリーシアは決断する。
「皆は通路を部屋は私が対処するわ」
このパーティーで一番戦闘力のあるのはリーシアだ。
全力で戦ったことはなかったが生き残る為には全力を出す必要があるだろう。
こうしてはじめての全力戦闘が始まったのだった。