第二十三話
渡されたシスター服に着替える。
鏡を見て改めて思ったが美人は何を着ても似合うんだな。
おっさんの心境としては複雑です。
シスターさんに案内されて治療室で待機する。
しばらくすると軽傷の怪我人がやってくるので水魔法で治療を施していく。
治療を必要とする人々は次々とやって来る。
「おほほ。こんな美人さんに手当してもらえるとは役得だの」
お爺さんはそう言いつつ怪我をした足を見せてくる。
転んで出来たと思われる擦り傷に回復魔法をかける。
「他に痛いところはありませんか」
「これは驚いた。別嬪さんは凄い魔術師なんじゃの」
「いえいえ、私なんてまだまです」
「謙遜することはない。何回もここの教会にはお世話になっておるがここまで綺麗に治ったのははじめてじゃ」
「何回も来てるんですか。お歳なんだから注意してくださいね」
そう言ってリーシアはお爺さんを送り出す。
回復魔法を上手く作用させるには実は医学が必要となってくる。
体の構造や怪我が治るメカニズムなどそういったイメージを持って魔法を発動させると通常より効果が出やすいのだ。
その後も腰を痛めたとか包丁で指を切ったとかの軽症者の治療をし続けた。
昼時となって昼飯休憩ということでリーシアは奥にある食堂へと移動する。
「リーシアさん。お疲れ様でした。魔力のほうは大丈夫そうですか?」
「えぇ。まだ余裕がありますよ」
「それはよかった。今日は普段より治療を希望する方が多くて困っていたんです」
リーシアは知らないことだが美人のシスターさんが治療をしてくれると街の人々の噂となり普段は怪我の治療にやってこない人達まで長蛇の列を作って並んでいたのである。
「とにかく昼ご飯を食べて頑張りましょう」
お昼ご飯は固く焼かれたパンと野菜をふんだんに使ったスープに干し肉が入った物だった。
教会が質素というわけではなく一般の人々からしたらこれでも贅沢な品だ。
こちらの世界にやってきてから公爵家でずっと食事をしていたためどこか懐かしさを覚える味だった。
昼食も終わり午後からも治療を続ける。
夕方となり夜のミサがはじまるまで教会関係者は自由時間となる。
リーシアはこの貴重な隙間時間に光属性の魔法を教えてもらい迎えに来た馬車に乗って城へと戻る。
城へ戻ったら遅い晩御飯を食べ入浴を済ませ眠るまで貸して貰った光属性の魔法書を読みこんでいく。
そんな生活を1か月ほど続けた頃、次のお見合い相手がやってくるのだった。