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第十九話

噂の第4王子アース・シェード・カルマインは見た目はイケメンであった。

噂を知っていて警戒していても耐性のない女子が耳元で甘い囁きを呟かれれば錯覚して手籠めにされるのも納得だ。

しかし、リーシアの評価は最悪である。

何せ、挨拶の段階から第4王子の目線は胸や腰、お尻に向いており最悪の気分だったからだ。

そして異質なのは何人ものメイドさんを引き連れていたことか。

どうも王家としても公爵家との関係を悪化させたくないと考えたのか若く見た目の良いメイドを事前につけることで問題を起こさせないように配慮したものと思われる。

お見合いとしてはどうなのだろうか。

お見合いする必要ある?

もうその中から選べばいいんじゃないか。

と内心では思ったが政治的判断って奴なのだろう。

ちなみに公爵家としても第4王子に騙されて寝屋に連れ込まれそうな子は遠目の部署に一時的に配置するなどして対策していた。

到着したその日にお見合い相手として一応話をしなければと思い向かったのだが使用人に止められた。

その理由は連れてきたメイド相手にお楽しみ中とのこと。

いや、本当このダメ王子何しに来たんだろう?

厄介払いの為に押し付けられたとしても不思議じゃない事態である。

仕方がないので部屋に戻り眠くなるまで魔法の本を読んで就寝した。

事件は次の日に起きた。

普段では絶対にありえない使用人の焦った声。

声はだんだんと近づいてきていると思ったら部屋の前で止まった。

そして勢いよく扉が開け放たれる。

何事かとベッドから起き上がり見てみればガウンを羽織っただけのダメ王子であった。

「アース殿。何事ですか?」

「ふむ。やはり君は美しい。我慢できなくなった」

思わず天を仰いでしまった。

我慢できなくなったから使用人の制止の声を振り切って未婚の女性の寝室に踏み込んだというのか。

「はっきり申しあげた方がよろしいでしょうか?」

「あはは。君も我慢できないのだろう。何せ私はモテモテだからな」

どこからその自信が出てくるのが不思議でしょうがない。

「私にその気はありません。アース殿。お引き取りください」

「何故だ。城でのパーティーではあれだけ私にメロメロだったじゃないか」

入れ替わる前の人格に文句を言いたい。

あの日記の持ち主だったならば考えられないことではない。

「私も立場ある身なのです。お見合いは王家との関係を考えてお受けしましたが貴方とお付き合いする気はありませんわ」

言ってしまった。

しかし、ここまではっきりと言わなければこの勘違い男には通用しないだろう。

そう思わせるだけの何かを持っていたのである。

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