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第十二話

「お父様。セルゲン殿に魔法を教わりたいのです」

「昨日のことはセバスチャンから聞いている。本来であれば魔法を学ぶのは同性が好ましいのだが何故だかわかるかな」

「体を密着させたりするからですか」

「それもあるが魔力の道を開通させる際、他者の魔力を受け入れる。それはなんというかだな・・・」

「あなた、リーシアももう幼い子供ではないのです。他者の魔力を受け入れる行為は性行為と同義なのよ」

母親であるリーゼロットからもたらされた言葉に思わず固まってしまう。

「性行為ですか・・・」

「うむ。貴族の娘。とくに未婚の女性が男性に習うというのはな・・・。それでもセルゲン殿に学びたいかね?」

その言葉の意味をこの時のリーシアはまだ理解しきれていなかった。

「セルゲン殿は誠実な方に見えます。私はセルゲン殿なら大丈夫かと」

「ふむ。娘はこう言っているがセルゲン殿はどう思う」

「リーシアさんの才能は稀有なものです。僕はリーシアさんの成長を見てみたい。お見合いできた立場ではありますが師と弟子の関係となるならば恋愛対象としてみることは辞めます」

「それは・・・。セルゲン殿。家での立場を悪くしないかね?」

「それも覚悟の上です」

「そこまで言ってくれるなら君に娘を任せよう」

「ありがとうございます」

こうしてリーシアは無事、セルゲンから魔法を学ぶ許可を得ることが出来た。

二人は仲良く部屋に移動して早速、昨日の続きを行うことにした。

昨日と同じようにセルゲンはリーシアの後ろに立つと密着した形で手を合わせる。

セルゲンは慎重に無属性の魔力を流し込んでゆく。

リーシアは体の中をかき回される感覚に襲われるが昨日ほど不愉快な感じではない。

少しずつではあるが不愉快な感覚はなくなっていき体の中心にポカポカとした感覚が広がってゆく。

あえて言うならば快感が広がってゆく感じだろうか。

なるほど。

母親であるリーゼロットが性行為と同じといった意味はこのことだったのか。

確かにこれは性行為に近い感覚だろう。

同性から学ぶ理由もこれなら理解できる。

いつの間にか息をはぁはぁとはいている。

「リーシアさん。リーシアさん」

セルゲンは何度か声をかけて肩を強く揺すってくる。

「あれ?私・・・」

「少し休憩にしましょう。あまり一気に魔力の通り道を広げるのもよくありませんから」

そう言われてはっとする。

今、あまりの気持ちよさに正気を失いかけていたようだ。

あぶないあぶない。

しかし、少し残念に思う自分がいるのだった。

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