No,8片付けと睡眠前
作《これからは一週間ごとに投稿していきたいと思います》
歓迎会も終わり、この日はみんな解散した。
それで、今、俺は寮の管理人として渚に、寮の案内と説明をしていた。
「え~と、ここが渚の部屋だ」
俺はそう言って、扉を開け中に入った。
「お~、意外と広いもんだな」
渚も俺に続き部屋に入り、今日から自分が住む部屋を見回した。
「意外は余計だ。それで、さっき話通りに朝食はみんなでとることになっているから、必ず遅れないこと。それと、夕食は作る前までにいるかいらないか何かの手段を使って俺に伝えること」
そうしないと食材がもったいない。
「ああ、わかった」
「今日はもう遅いから詳しい話は後にして、他に質問は?」
俺は大体のことを話、渚に尋ねてみた。
「お風呂を見せて貰ったが、この家で風呂はあれ一つだけなのか?」
「ああ、そうだ」
湯船が二つあるなんて贅沢すぎる。
「それじゃあ、もし、お前が入っているのを知らずに私たちが入ってしまう場合どうするんだ?また、その逆もしかりだな」
「風呂場には鍵を掛けることができるし、きちんと入り口の脇には男と女の札があるからそれを扉付近にかければいいだけの話だ。それで掛け忘れて見られた場合は自分の責任ということだ。それと風呂は自由にいつでも入っていいから」
あと、何かいうことあったかな?
「他に質問は?」
「ない」
「そう、なら俺は行くから」
「ああ、これからお世話になるな」
「あいよ」
俺は渚の部屋から出た。そして、そのままリビングに向かった。
リビングでは、歓迎会の料理で使い終わった皿や飲みほしたジュースのペットボトルや紙コップが放置していた。
「さて、面倒だけどやりますか」
俺は紙コップなどの容器はすべて分別し捨てた。そして、その後、皿を台所に持っていき水に浸け、スポンジに洗剤を含ませ食器を洗いだした。
本当の所、明日の朝にみんなで早く集まって片づけることになっていたのだが、今の内に食器を洗っておかないと汚れが落ちにくくなるから、勝手に一人でやっているのである。ゴミの分別はそのついでだ。
明日、またみんなに怒られるな。
俺は苦笑いしながらも食器を洗うのをやめない。
そして、食器に浸いた泡を洗い流し、後は拭くだけなので近くに干しておいた食器用の布きんを手に取った。
「大河。また一人で片づけをしたの?」
そしたら後ろから声が聞こえてきた。
俺は振り向かずとも誰だがわかっている。
「ああ、そうだよ。優燈」
そして、そのまま食器を拭き始めた。
「明日の朝、みんなで集まってやろうという約束だったんじゃないの?」
優燈は呆れている様子だった。
「ああ、そういえばそうだったな」
「また、みんな怒るよ」
優燈は静かな口調で言ってくる。
「みんなは怒るより呆れると思うけどな。よし、拭き作業終わり」
俺はすべての皿を拭き終わり、それを戸棚の中にすべて片付けた。
「さてと、片付けも終わったし今度は」
「米とぎと夜食作りでしょ?」
優燈は俺がいう言葉を言い当てた。
「正解。お前も待っているしさっさとやってしまおう」
「できるだけ、早くね」
「わかっているよ」
俺はみんなが明日食べる分の米を取りだし、炊飯器の釜の中に入れ水で研いだ。そして、一通りその作業をやり、釜を炊飯器の中に戻した。
そしてそれが終わると、今度は夜遅くまで頑張って働いている奴の為の夜食づくりだ。
冷蔵庫で冷凍していたご飯を取りだし、電子レンジで解凍した。そして、解凍し終わったら、適度な大きさのおにぎりを作り、味噌を塗って焼いた。そして、お焦げがついて皿によそえば味噌焼きおにぎりの完成。それにラップをかけテーブルに置いておきメモを添えておく。
「終わった?」
優燈は俺が作業を終えるのを邪魔しないで静かに待っていたようだ。
今、気がついたか優燈は薄い水色のパジャマ姿で肩にタオルを掛けていた。
まあ、これはいつものことなので俺は優燈の行動にあえて何も言わない。
「終わったよ」
「それじゃあ、寝るの?」
優燈は何かを期待している様子だ。
「う~ん。まあ、そうなるな。今日は宿題ないし、後は風呂入って寝るだけだな」
「じゃあ、先に部屋に行って布団温めておくから」
「ああ、頼むな」
「うん。頼まれた」
・・・・・ん?ちょっと待て。なんか流れ的に頼んじゃったけどまさか、俺、優燈にとんでもないことを頼んじゃった?
「お、おい、優燈」
俺は優燈を俺の部屋に行かせるのを止めようとしたが、もう、そこには誰もいなかった。
「いなくなるの早っ!」
俺は驚きを隠せなかった。
あいつは、本当に俺に関しての出来事になると行動が早いな。しかも、俺自ら頼んだから絶対張り切っているだろうな。
「・・・・・マジどうしよう?」
俺はこれから起こることに対して自分の身を案じた。
「・・・・・まあ、いいや。どうせ約束していたことだし。とりあえず風呂に入るか」
俺はそのまま脱衣所に向かった。
そして、脱衣所に入ると男と書かれた札を扉付近に掛け、とりあえず鍵を掛けた。それから、服を脱ぎさっさと風呂場に入った。
俺は先に体を洗うタイプなので頭、顔、体の順にさっさと洗い、湯船に浸かって体が温まったので上がる。
体を近くの大河と書かれた収納棚から取り出したバスタオルで拭き、服を着た。
そして、適当にバスタオルで頭を拭きながら部屋に戻ると、部屋の中央にいつもは部屋の隅に畳まさっている布団が置いてあった。
それに付け加えて、掛け布団が異様に膨らんでいて、きちんと枕が並んでいる。
うわ~、本当に一緒に寝る気満々だよ。こいつ。
「・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・大河の匂いがする。・・・・はぁ・・・とても・・・はぁ・・・・・落ち着く」
しかも、中から優燈の声が荒い息使いと共に聞こえてくる。
今日は、リビングで寝ようかな?
俺は真面目に自分の身の危険を感じてしまった。
「はぁ~、仕方がない覚悟を決めるか」
とりあえずため息をつきバスタオルを適当に放り投げ、布団に近づいた。
優燈のことだから、さっきの扉を開ける音とバスタオルの音で気がついたかもな。
俺はゆっくりと布団の中に片手を入れてみた。
「うわっ!」
その瞬間、待っていたかのように手を思いっきり引っ張られ布団の中に無理やり入れやれてしまった。
「大河、待ってたよ」
優燈は俺の頭に抱きつき自分の胸に抱き寄せた。
や、柔らかい。って、んなことやっている場合か?
「おい、優燈」
「すー、はー、すー、はー・・・・・何?」
優燈は俺の頭を嗅いで深呼吸していた。
「俺は普通に寝たいんだ。だから早くこの腕をほどけ」
「嫌。今日はずっとこのまま」
優燈は腕を強くしてさらに自分の胸を俺の顔に押し付けてくる。
「なんで?」
やばい、息ができなくなってきた。
「一緒に寝るてくれる約束した時、抱きしめてもいいって言ったから」
ああ、確かに言ったな。でも、まさかこうなるとは思っていなかったぞ。しかも、これをなんとかしないと俺は窒息してしまうな。
「じゃ、じゃあ、俺が優燈を抱きしめるっていうのはどうだ?」
「大河が私を抱きしめる?」
「ああ」
「・・・・・いいかも」
優燈が何を想像したのかはわからないけど、OKみたいだ。
「そ、それじゃあ、は、早くこの腕を離してくれ」
や、やばい、息がもう続かない。
「うん」
優燈が手を離した瞬間、俺はとりあえず布団から起き上がり、息を思いっきり吸った。
危ね~、寝るだけで窒息死するところだった。
「ねえ~、大河~。早く寝ようよ~」
優燈は抱きしめて貰うのがそんなに嬉しいのか長袖の裾を引っ張ってきながら甘えてきた。
「へいへい。わかったよ」
でも、俺はどうせいつものことだったので慣れてしまい普通に対応していた。もし、これが普通の男だったら押し倒していたかもしれない。
俺はとりあえず腕を思いっきり広げた。
「よし、来い」
「大河~!」
優燈は俺の胸の中に飛び込んできた。
「大河~、大河~、大河~」
優燈は嬉しそうに俺の胸に頬ずりをしてくる。
「うるさい」
俺はもう遅い時間もあって注意をした。
「ごめん。でも、嬉しくてつい」
優燈は落ち込んだ。でも、俺の胸に頬ずりをするのは止めない。
いや、止めろよ。つか、俺から抱きしめるのがそんなに嬉しいのか?
「とりあえず、そろそろ寝ようぜ」
俺は欠伸をしながら目をつぶった。
「わかった。・・・・・ねぇ~、大河」
「ん~?」
俺はもう半分寝掛けていた。
「頭撫でてほしいな」
優燈の甘えてくる声が聞こえてきた。
「あいよ~」
俺は寝惚けているため状況把握ができず、すぐに了承した。
俺は片方の手でゆっくりと優燈の頭を撫で始めた。
手に感じる優燈の髪はサラサラとし気持ちよかった。
そのためか、俺はすぐに意識がなくなった。
「・・・・・大河。大好き」
最後に優燈からそんな一言が聞こえてきた。
そして、唇にぬくもりを感じた。
たぶん、気のせいだろう。
次回予告
作《次回やっとで学校編に突入だ》
大《いや~、長かったな。ここまで来るの》
作《そうですね。あ、言っとくけど、大河の日常はこれからもっと大変になるから》
大《へ?なにそれ》
作《しかも、学校編入る前に大河が寝た後の優燈の行動みたいな話をするからよろしく》
大《おいっ!俺はそんな話聞いていないぞっ!》
作《あたりまえじゃん。今、言ったんだら。とゆう訳で次回もよろしく》
大《うわ~、すんげー納得いかね~》




