No,6 宴前
作《お待たせしました。今回も最後まで読んでくれたらうれしいです。あと、感想、質問などのお便りがあればもっと嬉しいです》
俺はスーパーで大量に買ったペットボトルを買いながら家に向かっていた。
少し買いすぎたな。
俺は両手にペットボトルを詰め込んだ袋を持ちながらそう思っていた。
やっぱり、優燈を連れてくるべきだったな。
ここまで来て、今頃後悔している馬鹿がいる。
「そこの君。ちょっと聞きたいことがあるんだが止まってくれないか?」
そしたら、後ろから声が聞こえてきた。
「ん?」
俺は何だろうと思い後ろを振り返ってみるとそこには、折れた木刀を持った渚がいた。
「なんだ大河だったか」
渚はすぐに俺と解り、近づいてきた。
いや、つ〜か、その折れた木刀持っていると不審者に見えるぞ。
「なんで、お前がここにいるんだ?自分の家にいた筈だろ」
渚は不思議そうに俺に聞いてきた。
「いや〜、実はじゃんけんで負けてジュースを買いに行っているところなんだ」
まあ、嘘だけど。
俺は両手に持っているジュースが入った袋を見せた。
「それで、お前はなんでこんな場所にいるんだ?普通なら寮に着いてもいい筈なんだが」
「あ、えっと、それはだな」
渚は口ごもりながら、俺から視線を外した。
「それは?」
「・・・・・道に」
「ん?」
道がどうした?
「道に迷ってしまったのだ」
俺はそれを聞いてあっけにとられた。
おいおい、その年で道に迷うはどうなのさ?
「悪かったな。この年で道に迷って」
「お前はエスパーか?」
人の思考を読めるなんて姉さんでもできないのに。
「お前の顔を見れば考えていることぐらいわかる」
さいですか。
「それで、俺の所を出た後、お前はずっと道に迷っていたということか」
「ああ、そうなるな。教えられた住所に向かっていたんだがどこをどう間違えてか、必ずお前の家に戻ってしまう。住所でも間違っているのかもな」
いや、その住所で合っていると思うよ。
「その寮に電話をしようと思ったんだが、電話番号も知らない為、とりあえず通行人に
聞こうとしたんだが、何故かみんなして私を見たとたん怖い顔をして逃げてしまうんだ」
それは折れた木刀を持っているからじゃないのか?
「何故かは知らないが、私はとても悲しかったぞ」
しかも、こいつは無自覚ときやがった。天然か?
「それでだが、大河。寮にはどうやって行けばいいんだ?」
しかも、切り返し早いな。
「ああ、寮の場所か?そうだな、なんだったら俺が案内しようか?」
「いいのか?」
「ああ、どうせ、これから寮に行く予定だったし」
まあ、はっきり言えば、自分の所に帰るんだがな。
「でも、いいのか?お前、罰ゲームでその大量の飲み物を買ってきて運んでいる途中じゃないのか?」
「これは、寮に届けるものだから。あんま気にしなくていい」
「そうなのか。それじゃあ頼むとしよう」
「わかった。それじゃあ、ついてきてくれ」
「ああ、それじゃよろしく頼む」
「あいよ」
あ、ついでに優燈に今から渚を連れて行くとメールしとくか。
俺は優燈にメールをして渚を連れて寮=俺の家に連れて行った。
「さて、着いた。ここが翡翠学園に貸している建物。琥牙寮だ」
俺は自分の家の門の前で堂々と立った。
「おい」
渚は体を震わせていた。
「ん?」
これは確実に怒っているだろうな。
「ここはお前の家ではないのか?」
「ああ、そうだよ。琥牙寮は寮兼俺の家だよ」
「若い管理人というのは?」
「俺のこと。まだ十七歳だから十分若いだろ」
「つまりお前は私に嘘をついたことになるのか?」
「まあ、簡単に言えばそうなるな」
俺は悪気も無くあっさり認めた。
「大河、覚えておくといい。私はな、嘘と言うのが一番、大嫌いなんだっ!」
渚は折れた木刀で俺に殴りかかって来た。
俺は予想がついていたのでそれをいとも簡単に避けた。
「嘘をついたのは謝る。でも、それにはきちんとした理由があるんだ」
「理由とはなんだ?」
渚は俺を思いっきり睨みつけている。
「ま、そんなに睨まないでよきちんと話すから。とりあえず、中に入ろうよ」
「わかった」
渚も了承してくれたみたいなのでとりあえず、俺は渚と共に中に入った。そして、靴を脱ぎ、折れた木刀を玄関に置かせ、先に渚をリビングに通そうとして、リビングに繋がる扉を開けた。
パンっ!パパンっ!
その瞬間、クラッカーがリビングに内に鳴り響き紙飾りが渚の頭の上に落ちた。
「な、なんだ?敵襲か?」
このご時世どこにいんだよ?
渚はクラッカーの音を何かと間違えたらしい。
「ハハハ。敵襲って面白いことをいうもんだな。転校生」
渚が驚いているとバンダナをした青年がクラッカーを持ちながら近づいてきた。
「ほら、今日は転校生と後輩の歓迎会なんだから、早くこっちに来いよ」
「歓迎会だと?」
渚はいまいち、状況を掴めていない様子だ。
「あれ?大河。まだ転校生に言ってなかったのか?」
「ああ、そうだよ。渚を驚かせようと思ってあえて何も言っていなかったんだよ」
「どういうことだ?」
渚は俺を見てきた。
「どうもこうもないよ。渚が今日からお世話になるって知った時、『それじゃあ、せっかくだし。歓迎会でもするかな』って思いついただけ」
まあ、渚が言うまで忘れていたんだけどな。
俺は正直に渚に伝えた。
「なるほど。だから、嘘をついたのか。ん、その理由なら大河を許すことにしよう」
「それはどうも」
「ん?嘘?いったい何の話だ?」
バンダナの少年は不思議そうにしていた。
「いや、なんでもない。とりあえず役者も揃ったことだし歓迎会を始めようぜ」
「ああ、そうだな。さっさと宴を始めるか」
宴ってお前はいつの時代だよ?
バンダナの少年はそう言って、リビングの中に戻ろうとした。
「ああ、そうそう」
そしたら、いきんなり何かを思い出してこちらを見てきた。
「俺の名は伊灑龍だ。これから、寮生仲間だし、よろしくな」
「ああ、よろしく」
龍はそう言って戻っていた。
「それじゃあ、俺らも入るか」
「ああ、そうだな」
俺と渚はリビングの中に入っていた。
次回予告
作《次回はいよいよ、歓迎会の始まりです》
大《やっとで、始まるのか》
作《ヒロインたちが全員集合。それとおまけ三人》
大《え?龍の他にあと誰かいるのか》
作《はい。今回出そうと思っていた男友達がいます。でも、どちらも普通なのであまり気にしないでください》
大《へ〜、それは楽しみだ》
作《ちなみに、次の次くらいに大河がやばい状況になります》
大《なんだそりゃっ!》
作《そして、どんどん学校に入っていこうと思っていますので。みなさんなにとぞよろしくお願いします》
大《しかも、無視して。きれいにまとめちゃったよこの人》




