No,5 姉さんとまたもや暴走と後輩
作《すみませんお待たせしました。今回は長めなので最後まで読んでくれたらうれしいです》
「ねえ、大河食べてもいい?」
鈴はさっきからこればっかり聞いてきている。
「だめだ。つかお前、そればっかりだな?」
俺は呆れながら皿に料理を盛り付けていた。
「優燈、出来たぞ。これで最後だけだから持って行ってくれ」
「うん」
優燈は俺の指示通りに皿を運んだりしていた。
「だって、こんだけおいしそうな料理を見せられて食べちゃいけないって酷くない?」
鈴はテーブルの上にある料理を見ながらよだれを垂らし文句を言ってきた。
ちなみに、テーブルの上にはおにぎり、オムライス、唐揚げ、ハンバーク、卵焼き、ポテトサラダなどなどの料理が並んでいる。
どうでもいいがよだれ拭けよ。
「酷くない。もう少しでみんな揃うから待っていろ」
「うえ〜ん。お腹の皮と背中の皮がくっついちゃうよ〜」
お前はどんだけ腹を空かしているんだ?
「わかった。わかったから、これでも喰っていろ」
俺はあまりのご飯をすべて使いでかいおにぎりを作り、鈴に渡した。
「わ〜い。大ちゃんありがとう」
鈴はお礼を言いながら一気にそのおにぎりを食べ始めた。
「お礼はいいからゆっくり食べろ」
「もぐもぐもぐ。がつがつがつ。もぐもぐもぐ。がつがつがつ」
鈴は俺の話を聞いてなくて、おにぎりを食べることに集中していた。
人の話ぐらい聞けよ。
俺はエプロンを外して、鈴の前に席に座った。
「大河はやっぱり鈴に甘いね。その甘さを私にもわけてほしい」
優燈は俺の横に座り、体をくっつけながら甘えてくる。でも、俺はいつものことなので無視をした。
「大河のいじわる。せっかく、私も手伝ったんだから私もお礼がほしいのに」
優燈は俺が無視したことによりいじけてしまった。でも、体はくっつけたままだった。
え〜と、ものすごく柔らかい感触を感じるんですけど。
「お・れ・い・が・ほ・し・い・な」
優燈は、今度は耳元で呟いてくる。
「はぁー」
俺は諦めて、自分の指を使って優燈の唇に触れた。
「今回だけだぞ」
これ、べたべたするから嫌なんだけどな。
「ありがとう」
優燈は嬉しそうにお礼を言ってきて、俺の指をしゃぶり始めた。
「あむ・・・・んっ・・・・・んふっ・・・・・ぴちゅ」
丹念に何度も何度も俺の指を下で舐めたり、口に含んだりして味わっている。
「れろっ・・・・・ちゅぴ・・・・・んあ」
優燈とてもおいしそうに舐めている。
・・・・・なんか、嫌な予感がしてきたな。
「ん・・・・・ちゅぷ・・・・・はあ、はあ、ねえ、大河」
優燈は口から俺の指を離し、息を荒くしながら俺の名前を呼んできた。
「な、何?」
俺は背中に冷や汗をかいてきた。
「暴走してきちゃった」
「マジ?」
俺の嫌な予感はドンピシャだった。
「マジ」
優燈の瞳は視点があっていなかった。
あ、マジだわ。どうしよう。やっぱ、頭撫でてあげるくらいにしとくんだったな。
「どうすれば収まる?」
聞いても無駄だなと思うけど一応聞いてみた俺だった。
「大河をもっと味わわせて」
無茶な注文だな。
「無理だ」
俺は素直に拒否した。
「だめ。強制」
優燈は、今度は俺の手を舐め始める。
だめだ。このままだと優燈にペースを持っていかれてしまう。
「優燈。少しは自重しろよ」
と、その時、扉から黒髪を腰の高さまで伸ばした少女が現れた。
「ね、姉さん」
俺は現れた少女を見ながら、助かったと思ってしまった。
「それは私の物だ。味わいたいなら私も混ぜろ」
でも、それは間違いで俺はいわゆる袋のネズミになった。
何を言っているんだこの人は?
俺はもう泣きたくなった。
このとんでもない発言をしたこの人は聖純揚羽。聖純鈴の姉にあたり、俺の姉貴分にあたる。なぜ、姉貴分に当たるのかと言うと姉さんいわく、『お前が気にいった。私の弟になれ』だそうだ。姉さんの家は武道の家であり、姉さんはその後取りにあたる。なぜ、俺が姉さんと知り合えたのかというのはまた後日としよう。
「冗談だよね?」
むしろ冗談で合ってくれ。
「冗談に見えるか?」
揚羽は俺が座っている席の開いている方の隣に座った。
とても、見えません。
「わざわざ、私を呼びだしたんだ。これぐらいいたずらしないと割が合わん」
揚羽は不敵な笑みを浮かべ、俺の耳元に顔を近づけた。
「優燈は手を舐めていることだし、私は耳を舐めることにしよう」
「ちょっと、それマジ。あ、だめっ!舐めないでっ!」
揚羽は俺の静止を聞かずに耳を舐め始めた。
「ふふふ、大河は相変わらず耳が敏感なんだな」
「ちょっ、お願いマジ。あ、優燈、そこさすっちゃだめ」
「大河。ものすごくここ元気になってきているよ」
いつの間にか優燈は俺のまたの部分をさすり始めている。
「ちょ、まじ、鈴助けてっ!」
俺はおにぎりをすごい勢いで食べている鈴に助けを求めた。
「スー、スー、スー」
すると、鈴はお腹がいっぱいになったのか気持ちよさそうに腕を枕にして眠っていた。
うわー、すげー使えない奴。
「ふふふ、さあ、もう誰もお前を助けてくれるものはいないぞ」
「大河。一緒に気持ち良くなろっか」
二匹の悪魔(揚羽と優燈)がだんだんと俺に体を摺り寄せてくる。
やばい。この状況、絶対絶命だよ。
俺はもはや、自分の不運を呪うしかなかった。
「ただいま戻りました」
間の悪いのか、良いのか解らないが長い髪を二つに分けてまとめ、丸い眼鏡を掛けた地味な少女がリビングに挨拶しながら入って来た。
「あっ、ちょうどいいところに帰って来てくれたな。音葉」
俺は揚羽と優燈の攻めから自力で抜け出し、音葉に詰め寄った。
「ちっ、邪魔が入ったか」
「後少しだったのに〜」
後ろから二人の残念そうな声が聞こえてきたけど、無視することにした。
「え〜と、何があったのですか?」
音葉不思議そうに聞いてきた。
「いや、あまり気にしないでくれ」
俺は苦笑いをするしかなかった。
「はあ、そうですか」
音葉まだ不思議そうに俺を見てくる。
頼むからそんな目で見ないでくれ。
この俺を覗きこんでくる少女の名は宇羅夜音葉と言って、俺が通っている学園の後輩だ。出身はA県で、あっちで嫌なことがあったのかわからないが、新しくスタートしたいらしくこっちに上京してきたという。なぜ、こいつと知り合いなのかというと、入学式の日にちょっとした手助けをしたからである。それに一緒の寮生活もあって、結構親しい間柄である。
「ところでさ、これから何か用事あるか?」
俺は唐突に話を切り出した。
「え、いえ、何もありませんけど。それがどうかしましたか?」
「あのさ、今から新しい人が入寮するんだ。だから、そいつの歓迎会も含めてお前の歓迎会もやろうと思ってな」
「わ、わざわざ、私なんかのためにありがとうございます」
音葉は照れながらお礼を言ってきた。
「いいってことよ。それじゃあ、着替えたらリビングに集まってくれ。新しい人が来たらすぐに始めるから」
「はい。わかりました」
音葉は嬉しそうに着替えに行った。
「さてと、話も済んだことだし、続きをしようか」
揚羽は俺の背中に自分の体を摺り寄せてきた。
「やめい。姉さん。さっき、音葉に言ったように今から歓迎会をするんだよ」
「ああ、だから。その歓迎会が始まるまでお姉ちゃん達と一緒に楽しもう」
揚羽は往生際が悪かった。
「じゃあ、姉さんには俺が作った料理は食べさせないから」
俺は最後の手段に出た。
「せっかく、姉さんが好きなピーチパイも作ったのにな」
「それは困る。大河の料理はどの店よりもすごくうまいし、大河のピーチパイは私の好物なんだから」
「じゃあ、離して」
「むむむ、仕方がないピーチパイの為だ」
揚羽は俺から離れてくれた。
ふぅ、危機を免れたか。
俺は一安心した。
「さて、それじゃあ、俺はこれから飲み物を買ってくるから。絶対につまみ食いはしないでくれよ。したらピーチパイを食べさないから」
俺は念の為、釘を刺しといた
「ああ、わかった」
揚羽は頷いてくれた。
「大河。私も行く」
優燈が俺に近づいてきた。
「優燈は冷えた料理を温めておいてくれ」
俺は上着をはおった。
「嫌。大河と一緒に行く」
優燈は揚羽見たいにすなおに頷いてくれなかった。
こいつ、さっきのことを根に持っているな。
「お願い。優燈」
俺は下手に出た。
「嫌。付いていく」
優燈は頑固として頷かない。
「お願い」
「嫌」
「お願い」
「嫌だ」
「お「嫌ったら嫌」」
おいおい、最後まで言わせてくれよ。
「おいおい、大河。連れて行ってもいいんじゃないのか?」
揚羽が口を挟んできた。
「だったら、姉さんに料理を温めることをお願いするよ」
「おい、優燈。大河がお前にお願いしているんだから素直に言うことを聞いたらどうだ」
揚羽は機械音痴の為《ゲーム機以外》、料理をどうやって温めればいいのか知らない。
「嫌」
一向に、優燈は頷かない。
「あ、もう、わかった。今日一緒に寝てやるから、料理を温めてくれ」
俺は妥協して提案した。
「・・・・・それって、一緒の布団で寝るってことなの?」
優燈は俺に質問してきた。
「ああ、そうだ」
「腕枕してくれる?」
「してやる」
「抱きしめてもいい?」
「変なことをしてこなければいいぞ」
「じゃあ、わかった。料理を温めてあげる」
やっと、優燈は頷いてくれた。
俺こいつを説得するのにすんげー疲れたんですけど。
「大河」
「大ちゃん」
「何?」
俺は姉さんといつの間にか起きていた鈴に唐突に呼ばれた。
「後で私にもなんかしてくれ」
「あたしにも」
「わかったから。早く飲み物を買いに行かせてくれ」
そうしないと、あいつが来てしまう。
「よし。約束だからな。それじゃあ、早く飲み物を買って来い」
何故か命令されてしまった。
「はいはい。行ってきますよ」
俺はそう言い残し、リビングから出て靴を履き外に出て、近くのスーパーに飲み物を買いに向かった。
俺はこの時、知らなかった。姉さん達と約束したことが大変になるということを。
次回予告
作《いや〜、やっとで全ヒロイン出せたよ》
大《つ〜か、そんなことよりも今回の小説ってやばくないか?》
作《え?どこか。》
大《優燈や姉さんのスキンシップ》
作《ああ、それ。大丈夫。これからもっと出していくから》
大《それってどこが大丈夫なんだっ!!》
作《まあ、そうゆうことだから。次は大河の友達たちが出てくるから》
大《しかも無視しやがった。つ〜か、これ一向に学園が出てきてないけど、そこんとこ学園物として大丈夫なのか?》
作《あ、忘れていた》
大《だめだ。この作者》




