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揚羽ルート6 出会い頭に

「ヤバイな。とうとう、動き出したか」

 一番恐れていた事が起こった。

「まあ、今の私ならあいつを倒すのはたやすいが。もう、一人の私が嫌がるからな」

 困ったもんだな。

 私はあいつを壊したい。でも、そうしたら悲しむ自分がいるからな。

「あー、面倒だ。いっそうの事、あいつも壊して、あいつを壊したショックから私も壊すか」

 そうだ、そうすれば。私を止める奴なんていない。私は自由になれるんだ。それなら善は急げ。早速取りかかろう。

「見つけた!死神」

 そうしていたら、目当ての少年から話しかけられた。

 探す手間が省けたな。

「飛んで火にいる夏の虫ってのことはこのことだな」

 私は拳を作り、

「恨みは無いが私の為に壊れてくれ」

 その少年に襲いかかった。



 煉磨に頼まれて、捜査を始めて一週間が経過した。

「はあ、今日も見つからないな」

 しかし、この一週間目的の人物どころかケンカをしている所にも巡り合わない。

 やっぱり、もう少し爺さんから情報を貰っとくんだったな。

「まあ、今頃になって言っても仕方がないから、とりあえず気配でも探ってみるかな」

 俺は眼をつぶり、意識を集中させた。

 この近辺では、大きい気配はないから、もう少し公園の方でも調べてみるか。

「・・・・・なっ!」

 公園の方を調べた瞬間、邪悪な気配を感じた。

「いきなりヒットするとはな」

 それとも、誘っているのか? 

 罠かもしれない、しかし爺さんに頼まれた以上行かなければいけない。

「俺もそんな役柄だよな」

 俺は苦笑いをしながら、急いで公園に向かった。

 思った通り、全身黒尽くめ人物がいた。

「見つけた!死神」

 俺は話を聞く為、死神に近づいていく」

「恨みは無いが私の為に壊れてくれ」

 そしたら、突然、死神が襲いかかってきた。

「いきなりか」

 死神は俺の顔面を殴りかかってきた。

「こなくそっ!」

 俺はギリギリでそれを避けた。

 こいつはフェイク。狙いは。

「こっち!」

 俺は手に気を溜め、狙いを定めて殴りつける。

「ほう、私の膝を受け止めたか」

 思った通り、死神は俺の脇腹に向けてひざ蹴りをしていた。俺はそれを自分の拳で押さえこむ。

「おりゃ」

俺はそのまま相手の顔面に向けて裏拳をした。

 死神は意図も簡単にそれを避け、距離をとり。

「くくく、はははははは」

 そし、いきなり笑いだした。

「いやー、いい。実にいい、大抵の奴はさっきので終わってしまうんだけど。やはり、お前は私の期待を裏切らない」

 こいつ、俺の事を知っている?

「今度は、少し本気でやるから」

 死神は戦闘態勢に入り

「簡単に壊れるなよ」

「なっ!」

 そして、気がついた時には、目の前にいて、正確に俺の右目を狙ってきた。

「くそ」

 俺はギリギリでそれを避けたけど、頬にかすってしまった。

「おりゃ」

「遅いよ」

 死神はそれを避け、また距離を空けた。

 くそ、こいつ確実に狙いにきている。

 俺は頬から垂れてきた血を袖で拭った。

「くくく、いいね。それでこそ私が認める人物だ」

 死神は血が付いた指を舐めた。

「そりゃあ、どうも」

 死神が俺を認める?ということは俺が知っている人物ってことになるのか?それに、一瞬で、俺の間合いに入ってきたし、一体何者なんだ?

 俺はある人物が頭によぎったが、すぐにその考えは捨てた。

「それより、お前も早く本気を出した方がいいぞ。壊れてしまうからな」

 俺が気がついた時には、相手が顔面に向けて蹴りを入れてきた。

「考えごともさせてくれないのかよ」

 俺も蹴りで対抗した。

 蹴りと蹴りはぶつかり合い、また、二人の間に距離を取った。

 こりゃあ、本当に本気でやらないとやられるな。

 俺はすぐに手足首のリストバンドを外した。

「どうやら、本気になったみたいだな。これなら、私ももう少し本気になって大丈夫だろう」

 あれで、まだ本気を出していないのか?

「くそっ」

 俺は相手と距離を詰めて、拳を放つ。

「こっちはフェイント。狙いはこっちだ!」

 死神は拳を避け、左の脇腹部分をガードした。

 そこには、俺が狙いを定めて放った膝が合った。

「なっ」

 俺は驚いた、相手の死角をついて放った筈なのに、いとも簡単に塞がれてしまった。

「狙いはいい、力もある。でも、まだまだだ」

 ヤバイ。

 俺はすぐに死神から距離を取った。

「さて、そう簡単に壊れてくれなかった。お礼をしないとな」

 死神がそういうと、死神から禍々しい気が溢れて来ていた」

「はああああああ」

 そして、その禍々しい気は死神が集中することによって右手に集まり。

「鬼流奥義、死鬼煉獄弾」

 俺が気がついた時には懐に入られ、思いっきりその右手で腹を殴られてしまった。

「がはっ」

 俺はそのまま後ろに吹っ飛び木にぶつかり、そのまま崩れ落ちた。

 く、こいつ。俺の木のガードごと関係なしにふっ飛ばしやがった。

「お、あれを喰らってまだ壊れていないか。さすがは私が認めた奴だ。でも、」

 死神の腕にまた禍々しい気が溜めっていく。

 おいおい、次は防げねーぞ。

「これで止めだ!死鬼煉獄弾!」

 死神はそう言って、俺に技を放とうとした。

「ぐ、ぐあああああああああ」

 そしたら、死神が突然頭を押さえ叫んだ。


 お前、あいつに何をしている?

「何ってこいつを壊そうとしているんだよ」

 私は頭を押さえながら答えた。

 私はそんなことを望んでいない。

「いや、望んでいるよ。だから、私がこうやってこいつを壊そうとしている」

 違う。

「違わないさ。私はお前で、お前は私なんだから。お前の心は本当は望んでいるんだよ。こいつを壊せとね」

 うるさい。

「本当はわかっているんだろ。自分でもこいつを壊したいって。壊して満足したいって」

「うるさあああああああい。お前に私の何がわかるんだ!」

 私は大河が目の前に関わらず、叫んだ。

「私は壊したくないんだ。こいつだけは絶対壊させはしない」

 まあいいさ、ただし、忘れるな。お前は私で私がお前なんだから。私が望むことはお前が望むことなんだから、いずれ、お前もこいつを壊したくなる。

「私は絶対にそうならない」

 どうだがな。それじゃあ、私はそろそろ行くよ。

 その瞬間、私の心の中すごく軽くなった気がした。

「お、おい、お前は一体誰なんだ?」

 そしたら、大河が私に話しかけてきた。

「大河、すまない」

 でも、私は自分の正体をばらさず、それだけを言い残しその場を去った。


次回予告

作《次回は報告してもらいます》

大《なあ、これって本当に姉さんルートなんだよ。俺、何回かしか姉さんと一緒に出かけてないんだけど》

作《大丈夫。次の話の中にイベントを用意してあげたから》

ならいっか


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