揚羽ルート1 疑問と老人の戯言
お待たせしました。
「か、勘弁してくれ。お、俺はまだ死にたくないんだ。い、嫌だあああああ」
暗闇の誰もが寄り付かない路地裏で、一人の男性の叫び声が聞こえて、すぐに無くなった。
「はあ、はあ、はあ」
息を荒くしながら、血だらけの気絶をしている男を見下ろしている自分がいた。
足りない。
これだけやったのにまだ治まらない。
もっとだ。
もっと、やらないと。
そうしないと、自分の大切な者を壊してしまう。
「それだけは絶対にさけなければ」
早く次の獲物を探しにいこう。
「ん?」
東がだんだんと明るくなってきたか。
ちっ、続きはまた今度だな。
自分はそう思いながら赤くなって手のまま、その場を後にした。
先日の揚羽の子供嫌いについて煉磨の爺さんに聞きにきていた。
「おい、爺さん。聞きたい事があるんだけど」
「なんじゃあ?馬鹿孫」
「・・・・・俺は爺さんの孫になったつもりはないぞ」
「あいつの息子ならワシの孫当然だ」
どういう理屈だよ?
「まあいい、お前も手伝え」
煉磨は草むしりを俺にやれと軍手を渡しながら指示してきた。俺はこの人には逆らえない為、しぶしぶ作業をやり始めた。
「それで、ワシに聞きたいことってなんじゃ?」
「実は姉さんのことについてなんだけど」
「揚羽か。言うてみ」
「実は」
俺はこの前の千鶴ちゃんの件について話した。
「ということなんだ。それで、なんで姉さんは子供が嫌いなのかと思ってさ」
「揚羽がそんなことを言ったのか?」
煉間は思い当たることがあるのか、真剣な顔をした。
「そうだよ。自分は子供嫌いだって」
「そうか。揚羽がの」
煉磨はその後、黙々と草むしりを続けた。俺もその間は何も喋らないで作業を続けた。
「・・・・・時に話が変わるが」
煉磨は話しかけてきた。
「んー?」
「お前は揚羽の事をどう思っている?」
「姉として好きかな?」
「異性としてどうだ?」
「は?」
何を言っているんだこの爺さんは?
俺は呆気にとられて作業の手を止めてしまった。ボケたかこのじじい?
「ボケとらんは」
「人の心読まないでくれる?」
大変困るんですけど?
「ああ、すまん。それで、どうなのだ?」
「そんなのいきなり言われてもわかんないな。今まで異性として見てきたわけではないし、なによりあの人は俺の姉的存在だからな」
「そうか。ワシ的にはなお前と揚羽が付き合ってくれたら嬉しいと思っとるんじゃ」
「何言ってんだ?」
「いいから、話は最後まで聞け。老人の戯言でも思ってくれても構わん。揚羽はお前のことを一番信頼しておるし。異性の中だとお前だけを近くにいることを許している」
そう言われてもてもな。ただ、こき使われている感じがするんだけど。
「とにかく、そんな二人だからこそワシはお前と揚羽が付き合ってほしいとおもっとるんじゃ。まあ、お前が揚羽とは別に好きな奴がいるのなら無理強いはしないけどな」
「いや、そうゆう奴はいないけど」
迫ってくる奴はいるが。ここでは気にしないことにしよう。
「まあ、そうゆう老人の考えがあることを頭の隅っこでもいいから置いといてくれ」
「へいへい。わかりましたよ。それじゃあ、俺は草むしりも終わったしそろそろ行くよ」
話しこんでいるうち、辺り一面、殆どの草むしりを終えていた。
「すまぬの。手伝ってもらって」
「いいってことよいろいろ世話になっているし。それじゃあな」
俺はそういって校舎に戻ろうとした。
「あ、そうじゃあ、大河」
そしたら、呼び止められてしまった。
「何?」
俺は立ち止まり振り返った。
「揚羽の子供嫌いの事なんだが、たぶんあいつが抱え込んでいる心の闇に関係しているのかもしれん」
「心の闇?」
「そうじゃあ。だから無意識に自分が子供嫌いと言っているのかもしれん」
「姉さんが抱えている心の闇って何?」
「ワシは知らん。それは本人から聞いてくれ」
んな、投げやりすぎるよ。
「ふーん。わかった。それだけ聞ければ後はこっちでなんとかするよ。それじゃあ」
「ああ、後は頼むぞ」
俺は煉磨に挨拶をし、その場を後にした。
次回予告
作《はい、ということで揚羽ルートに入りました》
大《でも、揚羽出てないじゃん》
作《ごめんなさい。今回は出せませんでした。次回から段々と出していくのでよろしくお願いします》
大《それで、これからどうなる予定なの?》
作《それはこれからのお楽しみです》
大
作《駄目じゃない。とりあえずこれから頑張って投降していくの最後目でお付き合いください。よろしくお願いします》




