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No,20 幼児化と映画と薬

宣言通りにアップしました。

日曜日の朝。

「ん~、どうしよう?」

 俺は起きてからずっと鏡を覗きながら悩んでいた。

「そういえば、この三日間。気を使いまくったからな」

 そんで、昨日の奴が決め手になったな。どうりで暴走しないわけだよ。

「まあいいや、とりあえず眼帯しよう」

 俺は左目に眼帯を取り付けた。

 コンコン。

「大河さん。入ってもよろしいですか」

 ちょうど、その時、音葉がノックしてきた。

「ああ、いいよ」

「失礼しま」

 音葉は扉を開けながら固まってしまった。

 やはり、固まってしまうか。

「え~と、君。どこから入ったの?ここは大河さんという人のお部屋だよ」

「いや、本人だから」

「え、でも、子供になっていますよ」

 そう、俺は朝起きると子供になっていたのだ。

 鏡を見るからに小学一年生くらいだろう。

「おう、なっているよ」

「ええええええええええ!」

 音葉は驚きを隠せていない様子だった。

 あ~、やっぱり驚くか。さて、どこから説明しようかな?

 俺はそんな音葉をみながらそんなことを思っていた。



「え~と、要するに気を全部使ってしまって、その体になってしまったということですか?」

「まあ、簡単に言ってしまえばそうゆうことだな」

 俺と音葉はリビングでテーブルに向かい合いながら席に付き、お茶を飲んでいた。

 ちなみに、俺は上に半袖、下に短パンを履いていた。こうでもしないと着る服がない。それどころか、今、着ている物でさえ大きいくらいだ。

「元に戻るんですか?」

 音葉は心配そうな表情をしながら聞いてくる。

「ああ、気が溜まればすぐにでも戻る。まあ、それには二、三日必要だけどな」

「そう、それはよかった」

 音葉は一安心したみたいだ。

「それじゃあ、この話は終わりだ。それで、俺になんの用事だ?」

「え?」

「え?ってお前。俺に用事があるから俺の部屋に来たんじゃないのか?」

「あ、そういえばそうでした」

 俺のこの格好を見て忘れていたな。

「実はこれなんですけど」

 音葉は二枚の紙をテーブルの上に出してきた。

「チケット?」

「はい。映画のチケットです。今日、本当は友達と行く予定だったんですけど、その友達に急用ができて行けなくなっちゃたんですよね。それで、もしよければ一緒に行きませんか?」

「俺と一緒に映画?」

「はい。駄目でしょうか?」

 音葉は寂しそうな顔になった。

「いや、それはいいんだが。一緒に行くなら俺より優燈達の方がいいんじゃないのか?」

「優燈さんは銃の弾を買いに親の所に戻るそうです」

 あ~、だから、珍しく朝起きても何も無かったんだ。

「渚は?」

「渚さんは鈴さんの相手をすると言って朝早くから出掛けました」

 ん~、だったら姉さんも無理だろうな。

「龍はバイトだし、直斗は?」

「直斗さんは、今日は大事な打ち合わせがあるといってパソコンの前から離れません」

 情報収集に手間取っているのかな?

「そんで、最後に俺のところに来たと」

「はい。そうですか。あの迷惑でしたか?」

「いや、全然。どうせ暇だったし」

 でも、少しでも早く元に戻りたかったから寝て気を溜めようと思っていたんだけどな。まあいいか。

「それじゃあ、時間も無いことだし早く着替えて映画を見に行こうぜ」

「そうですね」

 俺と音葉はさっさと準備をして、映画に行った。



「面白かったですね」

「そうだな。とくにあの最後のシーンは迫力があった」

 俺と音葉は映画を見終え二人で街中を歩いていた。

「今日は付き合って頂いてありがとうございました」

「いや、お礼を言われるほどじゃないよ。俺も楽しかったし」

「それは良かったです」

 俺と音葉はお互い笑いあった。

「ねえねえ、彼女、今暇?」

 そしたら、典型的なセリフで声を掛けてきた長髪の男がいた。

「もし、暇だったら俺と今からお茶しないか?」

 長髪は音葉の体を見定めながら聞いてくる。

 よくいるよね、こういう奴。自分のことをかっこいいと思うナルシストが。

付添つきそいもいるのでお断りします」

 音葉はためらいも無く断った。

「付添?」

 長髪は周りを見回し、俺と眼があった。

 こいつ、俺の事が見えてなかったな。

「何?君、弟?」

 長髪は俺に向けて愛想よく声を掛けてくる。

「音葉、こいつ潰していいか?」

 まあ、身長が身長だから、そう見られても仕方がないけどさ。目の前で言われるとムカつくな。

「だめですよ。大河さん。私がなんとかするので落ち着いてください」

 音葉は慌てながら、俺を止める。

「何、君、弟じゃないの?」

「弟じゃありません。この人は私の先輩です」

「先輩?」

 長髪は疑いながら見てくる。

「じゃあ、先輩。邪魔だから消えてくれない?」

 そして、邪魔そうに手を振りながら言ってくる。

「潰す」

 俺はにっこりと笑いながら、最初に長髪の股間を殴った。

「ぐおっ!」

 長髪は激しい激痛により、股間を押さえながら前屈みになった。

 う~ん、やはり男に対してこれは禁じ手だな。やっておいてなんだか可哀想に思えてきたが、まあ、いっか。

 俺は悪そびれもなくそのまま相手の顔面に向けて飛び膝蹴りをする。

 こうしないと、顔面まで届かないし、結果オーライということで。

「ぐほ」

 男はそのまま仰向けに倒れた。

「た、大河さん。なんてことをするんですか」

 音葉はやはり慌てていた。

「だって、こうでもしないと身長的に顔面に届かないんだもん」

「それでも、丁寧に断るやり方だってあるかもしれませんよ」

「あー、無理無理。こうゆう相手は 何を言っても自分の事しか考えないから。それだったら早く片付けた方がいいだろ」

「でも、あれは反則すぎます」

 音葉は顔を赤くしながら言ってくる。

「ん、俺もそう思う。あれは男に対して一番やってはいけない技だ」

「だったら、やらないでっ、きゃっ!」

「へへへ、なんだか知らないけど上玉ゲット」

 突然、坊主頭でラインが入ってる青年が音葉を後ろから取り押さえた。

「え、ちょっと、何ですか?」

 音葉は慌てて後ろを向こうとしたが

「おっと、こちらを向かない方がいいぞ」

 坊主はいきなりナイフを出して、音葉に見せながら脅した。

 こうゆう光景どこかで見たことあるな。

「あー、お前。そこで気を失っている金髪の関係者」

 俺はいたって冷静に坊主に話しかける。

「ああ、そうだ」

「その関係者が何か御用で?」

「友達がやられたんだから、そのかたきを取らないといけないだろ?」

 おー、なんという友達思いなんだろ。でも、俺に対してはすごく迷惑なんだけどね。

「音葉、今日は夕飯を買わないといけないから、さっさと行くぞ」

 坊主を相手にするのが面倒な俺は音葉に指示を出し、坊主を無視して先に歩き出した。

「おい、何を言っている?女は俺が取り押さえているだろ?」

 坊主が意味もわからず、取り押さえている音葉を見る。しかし、そこには取り押さえていたはずの音葉はいなくて、代わりにさっき俺が倒した金髪がいた。

「大河さん、ちょっと待ってくださいよ」

 音葉はというと、急ぎながら俺の後を追いかけて来ていた。

「おいっ!ちょっと待て!」

 坊主は俺達を呼び止めようと大きな声で叫んでくる。

「大河さん。なんか叫んでいますよ」

「気にするな。相手にするだけで面倒だ。ところで今日の夕飯は何にしようか?音葉、何かリクエストあるか?」

「えっと、じゃあ、カレーライスがいいです」

「カレーかー」

 簡単で美味いし、たまにはいいかもな。

 俺達は坊主を無視しながら歩いていく。

「無視するんじゃねー!」

 坊主はその態度にムカついて俺達に襲いかかってくる。

「音葉」

「はい」

 俺が音葉の名前を呼んだら、音葉は俺の意図を理解し坊主の攻撃を避けた瞬間、相手の首筋にめがけて、どこからか出した針を刺した。

「がっ」

 坊主は針を刺された瞬間、体を痙攣させながら倒れ、そのまま動かなくなった。

「音葉、何の薬を針に塗った?」

 俺は冷静になりながら、坊主を見下ろした。

「即効性の痺れ薬なんですけど。この薬、新しく作ったのでまだ効力は人には試していなかったんですよね」

「今、新薬使うなよ」

「すみません。今ある薬っていったらこれだけだったので」

「まあいいや、さっさと買い物に行くぞ」

「そうですね」

 俺と渚はその場に尊い犠牲者をその場に残し、その場を去った。

「念の為、こちらにも刺しておきましょ」

 と思いきや、渚はその場に戻って来て、金髪の方にも針を刺した。

「おい、置いてくぞ」

「あ、待ってくださいよ」

 渚はそう言ってその場を後にした。


次回予告

作《次回は渚がでます。今日はここまで》

大《短いな》

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