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No,16 またまた優燈の暴走

お待たせしました。

キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~ン。

 遠くからチャイムの音が聞こえてくる。

 チャイムが鳴ったし、戻らないとな。

 俺はそう思いながらゆっくりと眼を開いた。

 そうしたら、何故か優燈が俺に覆いかぶさってずっと俺の顔を眺めていた。

「・・・・・何しているの?」

 俺は思わず聞いてみた。

「大河を眺めている」

 優燈は真顔でよだれを垂れ流しながら言ってくる。

 そんなの見ればわかるよ。

「なんで?」

「大河の寝顔がとてもかわいかったから」

「可愛い言うな。つか、よだれ拭けよ」

 後少しで俺に垂れてきそうなんだよ。

「これは失敬」

 優燈はよだれを拭きとった。

「それで、なんでお前がここにいるんだ?」

「大河に購買で買った昼食を届けにきた」

 それはありがたいな。さすがにクッキーじゃ足りないからな。

「ありがとう。それじゃあ、時間も時間だし教室に戻りながらそれを食べようぜ」

「うん。わかった」

「それじゃあ、俺の上からどいてくれ」

「・・・・・・・・嫌だ」

 優燈は何故か拒否した。

「え?」

 わかったって言っておきながら嫌だって、矛盾していないか?

「嫌だってどういうことだ?」

 早くしないと授業に遅れちまうぞ。

「・・・・・姉さんが教えてくれたんだけど、大河、今すごく疲れているんだよね」

 なんか嫌な予感がしてきたな。

「だから、このまま気持ちいいことしよ」

 やっぱり。

「断る」

 俺は優燈をどけながら逃げようとした。

「だめ。逃がさない」

 しかし、優燈に手首を押さえられ逃げることができない。

「ふふふ、いつもなら私が本気を出しても大河に力負けして逃げられちゃうけど、今は疲れているから逃げられないもんね」

「くそ、姉さん優燈に余計なことを教えやがって」

 戻った時に優燈に教えたんだな。

「私にとっては嬉しいことを教えてくれたよ」

 優燈はどんどんと顔を近づいてきて、その気になれはすぐにでも俺の唇に重ねる距離までくる。

「大河、昨日もいったけど好き。私と付き合って」

「俺も昨日言ったが、友達でお願いします」

 俺は優燈の告白を断る。

 でも、優燈はそれを聞いて微笑んだ。しかも瞳に光が宿っていない。

 あ、やばい、暴走している。

「言うと思った。でも、今の状況じゃあ、断って意味ないよ」

「やっぱり」

「うん。それじゃあ、いただきます」

「ちょっ、待っ、むぐ」

 優燈は俺が最後まで言わないうちに、自分の唇を使い俺の口を塞いできた。

「ん・・・・・ちゅ・・・・・」

 これは、完璧にキスをされているよな。

 俺がそんなことを思っていると、口内に優燈の舌が侵入してきた。

 やばいっ!

 俺はそれだけされまいと思っていたがもう遅い。

「んぅ、んぁ、あ、ん。・・・じゅる・・・あ、はぁ、・・ぺちゃ、んふ」

 優燈は器用に舌を使い、俺の舌に絡んでくる。

「ん、ぺちゅ、・・・ちゅ、ん、ぬちゅ・・・・ちゅぱ。・・・・ぷは」

 優燈は息が続かなくなってきたのか俺から口を離し呼吸を整えた。

「大河とキスしちゃった」

「それはよかったね」

 口の周りがベトベトして気持ち悪いな。

 俺は人ごとのように気持ちが冷めていた。

「大河も気持ちよかったでしょ」

「いや、全然」

「なら、もっと気持ちいいことしてあげる」

 優燈は俺の腕を器用に片手で押えこみ、自由になった方の手で俺の股間を触ってくる。

「い、いや、遠慮する」

 俺は素直に断った。

「なんで?ここは素直に喜んでいるよ」

「頼むからそんなところを触んないでくれ」

 そろそろ危ない状況になってきたな。

「んふふ。心は拒否しているけど体は正直みたいだね」

 優燈はもう止まらなくなってきていた。

 仕方がない覚悟を決めるか。これはあまり使いたくなかったんだけどな。

「優燈」

「何?とうとう、私としてくれるの?」

 優燈は素直に嬉しがっていた。

ごめんな。

「ああ、いいよ。お前の気が済むまでしてやるよ。でも、その代わりに俺はお前のことを嫌いになるからな」

「え?」

 俺がその言葉を言った瞬間、優燈は動きが止まり、喜んでいた表情がすぐに悲しみに満ちた。

「い、今なんて言った?」

「聞こえなかった?なら、もう一度言ってやるよ。俺はこれが終わったらお前のことを嫌いになる」

 俺は嫌いという部分を強調、優燈に向かっていた。

「う、嘘だよね」

「本当だ」

「で、でも、大河は優しいからそう簡単に私を嫌いにならないでしょ」

 さすが、長年一緒にいるだけあって俺の気持ちをわかっていらっしゃる。

「そうかもな。今の所は俺はお前のことを嫌いになれないな」

「じゃあ、」

「でもな」

 優燈が嘘だと言う前に、俺は先に言葉を繋いだ。

「それは今のままの状態でいう意味であって、この後の出来事のことは含まれていない」

 俺は優燈を睨みつけながら言った。

「だから、俺はお前を嫌いになることだってできる」

 そして最後の止めの一言を優燈に向けた。

 う~ん、言っといて思うが、良心が痛いな。

「・・・・・・・・いやだよ」

「え?」

 俺が呆気にとられた声を出すと、水滴が俺の頬に付いた。

 雨か?いや、それにしても空は晴れているしな。

「嫌だよ」

 よく見れば、優燈はいつの間にか涙を流していた。

 なるほど、水滴の正体は優燈の涙か。って、は~、やっぱり泣いたか。だから、これ使いたくないんだよな。

「大河、嫌だよ。私のことを嫌いにならないでよ」

 優燈は俺の手を押さえるのを止め、俺の胸に顔を埋めて本格的に泣き始めた。

「お願い。もう、こんなこともしないし。大河のいうこと聞くからな。嫌いにならないで」

 これではどちらが悪いか分からなくなってきた。

「わかった。わかった」

 俺はゆっくり優燈の頭を撫でてあげた。

「優燈を嫌いにならないよ」

「本当?」

 優燈は顔をあげ、涙目で俺を覗いてくる。

「ああ、本当だ。俺の意思に反して、もぅこんなことをやらなければ嫌いにならないよ」

「わかった。もう、大河の意思に反してやらない」

「うん。そうしてくれ」

 俺は優燈の涙を袖で拭いてあげた。

「さて、それじゃあ教室に戻るか。だから、上からどいてくれないか?」

「その前に、一回やらない?」

 こいつ、俺が嫌いにならないって解った瞬間、そうゆうことを聞いてきやがった。げんきんな奴だな。

「いや、遠慮する」

 俺は素直に断った。

「ちぇ」

 優燈は残念そうに俺の上からどいてくれた。

「いや、残念がるなよ」

 俺は起き上がり立ち上がった。

「まあ、いい早く行こうぜ。もう授業が始まっているぞ」

「うん、そうだね」

 優燈も俺に続いて立ち上がった。

「あ、そうだ。これ」

 優燈はいつの間にか忘れ去られていた菓子パンを渡してきた。

「お、サンキュー」

 俺はそれを受け取り、早速、食べ始めた。

「それじゃあ、行くか」

「うん」

 俺と優燈は旧校舎の屋上を後にした。


次回予告

作《久々の投降になりました》

大《本当に久々だな。何してたの?》

作《いや~、学校の行事に参加していて、パソコンができない状況にあったんだ》

大《ふ~ん。それは大変だな》

作《ま~ね。さすがに一週間もパソコンできないのは地獄に等しいよ》

大《それで、これからの予定はどうなっているんだ?》

作《そうだね~、とりあえずローテーションをくんでやって行きたいとと思っているよ。順番は鈴、揚羽、音葉、渚、優燈の順番かな》

大《ふ~ん、大変だな》

作《それと、さらにお前を虐めていこうと思っているからよろしく》

大《全然よろしくじゃ~ね》


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