第3話 移住特典大サービス
今回も長い設定回です。
なるべく後付で御都合展開をしたくないので最初にかなりの設定を盛りました。
この能力でできる限りのやり繰りをしてみます。
あ、まだひとつだけオチがありますけどね?
『さて、では約束の通りに移住に対する特典を差し上げます。先ずは基本3種、言語理解、鑑定、亜空間収納を与えましょう。』
こ、これは異世界テンプレ!いや、話によってはこれだけでもうチートと言えなくも無い、これが基本とかもう、どんだけ親切設定なんだ?!
(神)様有り難う!
『それでは次にアナタが欲しいと思うスキルを一つ差し上げましょう。ワタシの権限で許せる範囲ならお好きなスキルを与える事が出来ます、どうぞ仰言って下さい。』
さて、ここは慎重に考えなくては。
どの範囲まで大丈夫なのかそれも気になる所だが、余りにもヤバそうなのは論外だな。スキル強奪とかまず無理だろう。使い勝手が良くてそこそこのチート、そして世界に危機を招かないで自分にも危険がない。悩む所だが、やはりあれしかない。
外で危険な戦闘をしなくとも街中で安全に無双が出来る能力、決めた!
「ボーション作成でお願いします!自分の思い通りの効果を持つポーションを作れる能力、それに合わせて容器も出てくる感じでお願いします!」
良しっ、これだ!これしか無い。戦闘等の危険を侵さずとも、街中でポーションを作って売るだけでお金を儲けて無双出来る!正にポーション無双!完璧だ!
『決まった様ですね、思い描いた効果を持つポーションを適した容器に入れて制作する能力【ポーション作成】で間違いありませんか?一度決定されると変更は出来ませんが宜しいですね?』
「出切れば容器の方も思った通りのが出て来ると嬉しいのですねど?」
『それは許容できません。例えばアナタが原子爆弾の容器を思い描いた場合にそれが出て来てしまう恐れがあります。材質や大きさ等は自由に選べる様にしますのでそれで我慢して下さい。勿論ポーション自体も危険すぎる効果を持つ物は制限が掛かります。』
「分かりました、それでお願いします。」
そっかー。原子爆弾とかは考え付かなかったけど武器や船とか乗り物型の容器はイケると思ってたけど、仕方ないか病気や怪我を治すポーションだけでも金儲けは出来そうだしな。
『分かりました、では開始します。』
その次の瞬間、今迄真っ暗闇だった空間に無限とも思える程の文字列が現れた。
多分移住先で使われている文字なのだろうか?まだ読めない。
そして無数の文字の中の4つが輝いた、多分言語理解、鑑定、亜空間収納そしてポーション作成なのだろう。。
『スキル付与!あっ………。』
あれ?今なんか、あっ………て言わなかったか?気のせいか?
「あの?今なんか……」
『終わりました。無事に付与が成功されました。』
ふむ、気のせいか。(神)が間違う筈が無いもんな。
『本来ならこれで特典は終わりなのですが、ポーションの容器の要望が叶えられませんでしたので、と、特別にもう少し差し上げましょう。』
おー!なんか気前がいいぞ?容器は諦めてたから儲け物なんじゃないか?
『大きな力は与えられませんが、そうですね。【生活魔法】を差し上げましょう。』
魔法キター!生活魔法、そこはかとなく便利な響きだ。
そしてまた暗闇に文字が浮かび上がった。
今度は読めるぞ?さっき付与された言語理解のスキルのおかげか?
やっぱり失敗なんかして無かったんだな。流石(神)
光った文字は生活魔法と書かれていた。
『いま付与された生活魔法には、光源を作り出す【ライト】火種を作り出す【イグニッション】飲水や洗濯用水を作り出す【ライフウォーター】微風を作り出す【ブリーズ】穴を掘ったり段差を作り出す【クリエイトアース】身体や物の汚れを落とす【クリーン】物を温める【ウォーム】逆に冷やす事の出来る【クール】身体から電気を放出する【スパーク】の6種類の魔法です。どれも効果は小さいですが、使いこなせると便利な魔法です。アナタには特に恩恵があるでしょう。』
「えっ?なにか違うのですか?」
『いえ、魔法の規模などは変わりませんが、そうですね少し説明しましょう。魔法というのはその人のイメージによる物が大きいのです、起こる現象は同じでもイメージに依って効果も変わります。アナタは地球と言う科学が発達した文明で生きて来ました。その為に移住先の世界とはそのイメージも大きく異なります。』
『例えば【ライト】という魔法、この世界ではただ部屋や周囲を照らすだけの魔法だと思われていますが、アナタなら懐中電灯の様に光源を移動させると言うイメージを持つ事ができますね?【ブリーズ】ならば普通ならただ風を出すだけですが、アナタは地球でドライヤーやエアコン等の存在を知っています。温風や冷風をイメージできるでしょう。そして【スパーク】と言う魔法ですが、そもそもこの世界の人々には電気という概念が無いのです、なので本来なら生活魔法にある筈のこの魔法を使える人が存在しません。効果は殺傷能力は有りませんが最大で地球にある高威力のスタンガン程の威力を出す事ができますね。その他にも同じ魔法で違う効果を出せますので色々と考えて使ってみて下さい。』
「電気を知らないのですか?」
『そうですね、雷と言う存在は自然現象としての知識はある様です、そして魔法にもサンダーボルトと言う物も有るのですが、あくまでもそれは雷と言う自然現象を再現しているだけなのです。電気と言う概念がないのですよ。最初に説明した様に、魔力がある弊害の為に道具や科学が発展していませんので、電気によってモーターや物体を動かす知識が無いのです。』
そう言えばそんな事言ってたな。。
『そしてもう一つ、アナタはこの世界で1番困るであろう事が有ります、それは食生活です。飽食の日本で育ったアナタは主な味付けが塩だけと言うこの世界での食事は苦痛になると思います。なので得別に【調味料創造】のスキルを差し上げましょう。これは一日に個人で使う分量位しか作れませんが、アナタにとってはとても重要な能力と成るでしょう。』
そ、それはとても有り難い!全然気が付いて無かったわ!食べ物は大事だよな?
塩掛けただけの料理なんか食えた物じゃねーぞ!
なんて親切なんだ、アナタは神か?!あっ、(神)だったわ。
そして三度文字が浮かび【調味料創造】が付与されたのだった。
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『次にアナタの服装ですが、そのままと言う訳にはいきませんね。取り敢えず王国の一般的な服装を差し上げます、念の為に少しだけ能力を付けましょう、防御力等は大きく有りませんがそこそこ丈夫で多少の破れや解れ等はアナタの魔力で自動的に修繕されます。そして靴も修繕機能は勿論の事、地形によるデコボコや泥濘、そしてヌメリ等のあらゆる地形効果を気にせずに歩行できる能力を付与しました。』
デコボコや泥濘は分かるけどヌメリって何だろう?アッチの世界特有の地形効果でもあるのか?まぁ付けてくれる分には有り難いだけだな。
『そして最後にこれを。』
暗闇の中俺の目の前に現れたのは見覚えのある物、それは……
「スマホ??」
『アナタの手持ちのスマホと言う物に能力を付与し、神具としました。電波等が無い世界ですので、電話やメールの機能は有りませんが、与えた能力は3つ。【世界辞典】【マップ&マーク】【アナライズ】の3つです。』
『【世界辞典】はその名の通り、分からない事を調べる事が出来ます。文字入力は勿論音声入力、そしけカメラ機能を使って撮影した物を検索してくれます。ワタシの説明ではこの世界の全ては説明出来ませんから、分からない事はその度神具で調べて下さい。禁則事項以外ならアカシックレコードより検索する事が出来ます。』
『【マップ&マーク】は最大で半径10kmの周囲の地図情報が表示出来ます、最大で7つの場所や物体、人物をマークすることが出来、拡大機能によりマークした物体や人物をリアルタイムで今、どこで何をしてるのかを観察する事が出来ます。あとはカメラや【世界辞典】の機能と連動させ、例えば撮影や検索をした動物や植物や鉱物などが何処にあるのかマップに表示出来ます。』
『【アナライズ】は【鑑定】と殆ど同じですが基本的に【鑑定】は魔力を使用しますので、相手が意思のある動物や魔物に対して使うとバレてしまいます。魔物との戦闘の場合ならば問題有りませんが、人に対して使用する場合、時として敵対心を持っていると勘違いされる場合もあるのです。【アナライズ】はカメラ機能を使って神具の画面に表示されるので対人でもバレ難いという利点があります。』
どれも素晴らしい機能だな、さすが神具だ!
至れり尽くせりですな。。
『この神具はアナタの魔力だけに反応する為、アナタにしか使うことはできません、不壊の機能と自動返還の機能により壊れる事も無く、アナタの手元から10m以上離れた時に瞬時に手元に戻ってきます。充電は先程与えた【生活魔法】の【スパーク】を使用して充電して下さい。』
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『さて、これでワタシからアナタに与えられる物はもう有りませんが。ワタシの創造と言う実験に付き合って頂ける事に感謝します。』
「とんでも無い、これ程の物を与えて貰ってこちらこそ感謝しか有りません!何も与えられずに放り出されたり、最悪そのまま消滅する展開も有ったのですから。」
『そう言って頂けるなら安心しました。これから先、ワタシからアナタに干渉する事は余程の事が無い限りは二度と無いでしょう、だからと言って何が有ってもワタシを恨まずに強く生きて下さいね。』
「感謝する事は有っても恨む様な事は無いですよ?自分に何が出来るか分かりませんが、頂いた力で世界の発展に尽くしてみます、色々と有難う御座いました。」
『それでは、これからアナタを送りますがその場所は王国の最端、新しく開拓されている土地の第三期開拓移民としての身分で送ります、ある程度の土地が開墾されていて建物も建っていますがもう少し掛かるでしょう。その開拓が終わった時、アナタには開拓村の住民権と王国民としての正式な権利が与えられます。』
「なんか大変そうですね?もっとこう、冒険者登録して身分証明書ゲットみたいに考えてました。」
『この世界に冒険者と言う物は有りませんよ?似た様な物は存在しますが、それに登録する為にもどこかの村の住民権が必要なのです。その権利を手に入れるのに1番確実なのが開拓民なのです。例え何処の誰だろうが、新しい土地を開拓すればその土地の住民権が与えられる、犯罪者は駄目ですけどね。』
「分かりました。では頑張って開拓してみます!」
『では、この世界でアナタに幸あらん事を。。。』
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そして世界に光が溢れ、俺は見知らぬ草原に一人立っていた。