第1話 短めのお触り回
はっじまっるよー
『さて、名も無き数多の魂の一つ。敢えて生前の名前で呼ぶならば鈴谷 修斗よ、アナタは死にました。』
(やっぱり〜!)
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俺は鈴谷修斗22才、実家で半引き篭もりをやっている。
趣味はヤッホー知恵袋でベストアンサーを貰うことだ、その為の知識の収集に苦労を厭わない。
引き篭もりだからといってニートと言う訳ではない、PCで株式取引をして大金では無いが、月に平均40万程稼いでいるし、他に趣味の投稿小説が書籍化されてそこそこの印税が入るし、ブログの広告収入等も入ってくる。
同年代のサラリーマンよりは稼いでいる自信はある。
健康にも気を遣っている、家で出来る簡単な筋トレや柔軟、雨の日も苦にならない様にルームランナーを買い毎日20分のランニング、週に2度近場の温水プールに通っている。
将来的に不便が無い様にと母親から家事を叩き込まれ始めて早7年、努力?の成果か今ではブロには及ばずとも家庭で作れる料理では、かなりのレパートリーを持っている。
そのせいなのか、俺が家に居るからか、母親は家事の略全てを俺に押し付けて夫婦共働きをしている。
子供は俺一人だし、ダブル、いやトリブルマンパワーで稼いで余裕があるので両親は趣味に旅行にと人生を謳歌している様だ。
そんな訳で、俺が半引き篭もりでも家族間の仲は良好であると言えよう。
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俺は人付き合いが苦手だ、完全に嫌いと言う訳ではないが距離感と言うものが掴めない。
個人や少数のコミュニティならばまだ何とかなるが、集団での行動や会話などどうすれば良いのか分からない。
子供の頃は何とかなった、だが中2の夏休み明けに突然孤立してしまった。
別にイジメとかでは無い、普通に学校行事や軽い質問等のやり取りは交わすのだが「昨日のドラマみた?」「次のやすみにさぁ?」等のプライベートな会話を振られる事も振ることも無く、そんな日常が残りの1年半の間繰り返されて過ぎ去った。
親を説得し高校進学をしない事を決め、その代わりに勉強はちゃんとやり大検を目指す事と、家事を手伝いながら健康な生活をする事を条件に認めてもらったのだ。
その時から俺は健康的な半引き篭もりの生活を送っている。
その日もいつもの日常だった。
午前の取り引きを終え、日課の掃除洗濯、トレーニングをした後に軽い昼食を取り
食休みに一眠りした後、夕食の買い出しに行く前にシャワーでも浴びようかと浴室に向かうと、誰も居ないと思ったのだろうか?その浴室の窓から空き巣が侵入していた。
いや、空き巣が居直り強盗に変わる瞬間だった。
窓に鍵は掛かって居なかったのだが(俺が居たから)窓割り用のバールの様な物をその強盗が振り上げた所迄で俺の記憶は終わっている。
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