03話 『ギフトの正体』
父さんと姉さんと一緒に街へ向かうために馬車に揺られている。
僕らの住む村には教会が無いので教会のある街まで行かないとギフトの確認ができないからだ。
タイミング良く村に行商人が来ていたので街へ向かう馬車に同行させてもらった。
半日ほど馬車で移動すると街の入り口が見えてきた。街の周りは塀で囲まれていて正面の門には皮鎧を着た警備兵が街に入る人をチェックしていた。
「これが街かぁ…すごく大きいんだね」
「すごいでしょ!私も初めて来た時は驚いたわ!」
僕は初めて見る街の大きさに驚いていた。
これが噂に聞く都会というものか…!
「ベルは街にくるのは初めてだな、村とは違っていて驚いただろう。でも領都はもっと広いし、王都はそれよりも更に広くて何万人もの人が住んでいるらしい」
父さんの言葉に更に驚愕する。
この街よりも大きな街がある事も驚きだが、それ以上に何万人も人が住んでいることに驚いた。
僕の住むラハジ村は50人くらいが住む小さな村で、ずっと村にいた僕には何万人も人がいることなど想像もできなかった。
そうして僕が世界の広さに驚いていると、街の入り口に到着したようだ。
「どこから来た?」
「ラハジ村から息子のギフトを調べる為にきました」
「わかった、入っていいぞ」
門番に確認されたが詳しく調べられる事もなく街に入る事ができた。
今日訪れたコロイの街は領都を含めて領内に3つしかない街の一つらしい。
「まずは教会に向かおうか」
「ベルのギフトを早く調べてもらわないとね!」
キョロキョロと街を見渡しているとそう言われ、僕らは教会に向かって歩きだした――
辿り着いた教会は綺麗な建物で大きな鐘が印象的だった。中に入ってみるとステンドグラスや女神像など幻想的な光景が目に入った。
父さんについて受付に向かうとシスターさんが応対してくれた。
「教会へようこそ。どういったご用件ですか?」
「息子のギフトを調べてもらえますか?」
「わかりました。ではこちらへどうぞ」
シスターさんに案内されて奥の部屋に入ると、部屋の中央には不思議な道具が置かれていた。
とても綺麗な道具で銀色の金属枠の中に水晶球が浮かんでいる。
「この道具でギフトの解析ができます。球体部分に触れてください」
言われた通りにすると水晶が光った。
その光は淡い紫色でギフトを授かった時の光と同じ色だった。
「あ、昨日と同じ色だ…」
「紫色の光…? す、少しお待ちください」
そう言うとシスターは部屋を出ていった。それからしばらくすると他の人よりも豪華な服を着た老人を連れて戻ってきた。
「司祭様、この子が水晶に触れると水晶が紫色に光ったのです。」
「紫色の光なんて聞いた事もないがな… とにかくギフトの解析をしてみよう。坊や、もう一度水晶に触れてくれるかい?」
「わかりました」
僕がもう一度触れるとやはり水晶は紫色の光を放つ。
司祭様はその光に驚きながらもギフトの鑑定をしてくれた。
「ギフトの解析は終了した。手を離して構わないよ」
「あ、はい」
「あの、司祭様…息子のギフトは何なのでしょうか?」
「初めて見るギフトだな… レアギフトである事は間違いないだろう。新種のギフトである可能性もある」
「ベルすごい!新種のギフトだって!」
司祭様の言葉に喜ぶ姉さん。司祭様は続けてギフトの詳細を教えてくれた。
「坊やのギフトは『不死身』、常時発動型のギフトで寿命を迎えるまでは如何なる傷を受けても死なないというギフトのようだ」
「「「え…?」」」
父さんも姉さんも信じられないといった顔をしている。僕も同じような顔をしているだろう。
驚くことに、僕は不死身になったらしい。
お読み頂きありがとうございます!
よければ感想や評価を頂ければ大変励みになります。