02話 『謎のギフト』
「やった!ベルもギフトもらえたね!」
姉さんが嬉しそうに抱きついてくる。
自分の事のように喜んでいる姉さんを見てぼーっとしてた意識が覚醒する。
「…これでギフトがもらえたの?」
半信半疑な僕が周りを見渡すと姉さん以外が不思議そうな顔をしていた。
「なんだったんだ…?今の光は」
「わからないわ…紫色の光なんて初めて見たし」
父さんと母さんが難しい顔で顔を見合わせている。兄さんと姉さんの時も光ってたと思うんだけど何か変だったのかな?
「今の何か変だったの?」
「普通は今みたいに紫色に光る事なんてない筈なんだ、ギフトは授かる時の色である程度判別できるんだけどその中に紫色なんてないんだよ。」
僕の質問に答えてくれた兄さんが王国から配られているギフトについての本を取り出して、ギフトについて色々説明をしてくれた。
―――
この世界には祝福と呼ばれる物が存在する。
ギフトは10歳の時に全ての人間に与えられ、その種類は様々で生活が少し便利になるようなものから手に入れただけで英雄になれるような物まで存在する。
ギフトには4つの等級があり、低級・下級・中級・上級と分類される。この4つは授かる際、光の色によって見分ける事が可能でそれぞれ、白・青・黄・赤となる。
ちなみにうちの家族は姉さんだけ青で他は白だ。同じ系統の水生成ギフトだが生み出せる水の量が違うらしい。
うちのように血縁関係者に同じギフトが多いのは良くある話でギフトは遺伝する事が多いのだとか。
また、基本的にギフトは1日の回数制限や時間制限があるらしく、この上限も等級が上の方が多くなるらしい。上級のレアギフトの一部には無制限なんてものもあると書いてあった。
王立学園は入学に中級以上が必要で戦闘職である騎士団や魔術師団などは入団に中級以上が必要で出世するには上級がほぼ必須になるらしい。
このような理由からこの世界ではギフトの優劣は極めて重要なことでギフトで人生が決まるとも言われている程である。
―――
「じゃあ僕のギフトは何なんだろう?」
「この本に載ってない色だから今はわからない、明日教会に行って判定をお願いするしかないな」
本によるとギフトの詳細は特殊な道具でないと分からないらしく、その道具で判定をする事によってどんなギフトでどう使うのかがわかるらしい。
「今日はもう寝なさい。明日父さんと一緒に教会に行こう」
「私も行く!ベルが心配だもん!」
結局、僕がなんのギフトを授かったのかはわからず、明日に持ち越しになった。
「変なギフトじゃなかったらいいなぁ…」
「きっと大丈夫だよ!今日はお姉ちゃんが一緒に寝てあげるね」
そう言って僕の手を引く姉さんに連れられてこの日は眠りについた。
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