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聖王伝  作者: 竜人
第十六章 竜の牙
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第512話

王都で新年を迎える為に、祝賀行事が行われていた

その会場で、ギルバート達の結婚式も行われた

しかしギルバートの番が来た時に、突然の闖入者が現れた

二人の結婚を認めない、女神が現れたのだ

女神は突然現れると、ギルバートの結婚を認めないと宣言した

式が女神様に認めてもらう為の物なので、女神に反対されるという事は結婚が出来ないという事だ

そして女神は、再び人間を滅ぼす事を宣言する

さらに魔王アモンを巻き込んで、ゲームをすると宣言して来た


「ギルバート

 私は認めんと言ったよな」

「くっ!

 何故だ?」

「それは簡単さ

 貴様は死すべき定めにある

 そして精霊女王よ

 貴様等の子を成す事は認めん」


「貴様等は皆殺しだ

 先ずは魔王を嗾け、それからゆっくりと魔物を使って攻め滅ぼす」

「何故だ…」

「あん?」

「何故、そこまでして人間を滅ぼそうとする」

「そんなの決まってるだろ

 お前等が言う事を聞かないからだ」


女神はそう言って、ギルバート達にゲームをする事を持ち掛ける。

魔王アモンを倒せば、女神の待つ神殿に行く方法が分かる。

そして魔王の方も、人間を滅ぼす為に女神から狂暴化を施されている。

そのまま放って置いても、再び戦いになるのは明白だった。


ギルバートはそういった事を、相談する為に王城に戻っていた。

執務室には、バルトフェルドと皇女が同席していた。

セリアはフィオーナに連れられて、先に休んでいる。

この場に残ったのは、女神に対抗する方法を考える為だ。


「話は分かりました

 しかし…

 本当に帝都は?」

「ああ

 それに関しては、精霊様の確認も得られている」

「そうですか…」


女神は見せしめとして、帝国の帝都を砂に沈めた。

その力を見せて、本物の女神だと証明したのだ。

しかしギルバートは、そんな女神に違和感を覚えていた。

帝都を滅ぼすぐらいの力があるのに、何で王国を簡単に滅ぼさないのか?


「なあ

 帝都は簡単に、砂の下に沈められたんだよな」

「ええ

 情けない事ですが…」

「あ、いや

 そういう意味じゃあ…」

「そう聞こえるのよ

 もう少し言葉に気を付けなさい」

「まあまあ

 それで…

 殿下の気にされている事は?」


ギルバートは頷くと、先ほど城門で話した事を説明する。


「さっきバルトフェルド様も、何で女神がわざわざ来ていた事を驚いていただろ?」

「ええ

 たかだか結婚式を、認めないという事でしたね?

 何でそんな事を?」

「そこなんだよな

 認めないというだけなら、神託でも良かっただろう?」

「神託…

 そういえばそうですね」

「何で神託でなく、わざわざ来たのか?

 そこがおかしいんだよな」


「それは先程の、ゲームとか言う話では?」

「結婚式を認めないというのは序でだと?」

「ええ」

「それもそうだよな…」

「しかし、帝都の事やその後の話は、どうも思い付きに見えましたが?」

「うーん…

 どうなんだ?」


確かに話しの流れでは、帝都の事はアーネストの言葉に対抗して行った様に見える。

しかしゲームの事は、事前に準備していた様にも見える。

アモンを狂暴化している辺りは、王都を狙わせるつもりはあったのだろう。

そう考えても、女神が来た事は無意味に思えた。

どうするにしても、神託を使えば問題が無いのだ。


「神託…」

「え?」


「バルトフェルド様

 神託ってどのぐらいの頻度で使われていました?」

「え?

 それは滅多には…」

「最後に使われたのは?」

「殿下がお産まれになられた時に…」


ギルバートは少し考える。

どうにも違和感が拭い去れないのだ。


「バルトフェルド様

 私が女神の下に向かっている時は?」

「え?」

「竜の背骨山脈に居た間にです」

「その間に、何があったんです?」

「神託はあったのか?」

「神託?

 何でそんな事が?」

「そうか!

 そういう事か!」


ギルバートは違和感の正体に気付き、満足気に頷く。


「殿下

 どうされましたんですか?」

「ああ

 気になる事があってな」


そこに老師を寝かせて来た、アーネストが戻って来た。


「戻ったぞ」

「アーネスト

 神託だ!

 信託がおかしかったんだ?」

「何だ?」

「さあ

 ワシには何が何だか…」


喜ぶギルバートを見て、理由が分からず二人は首を傾げる。


「女神の主張の中で、神託がおかしいんだ」

「いや

 オレにはお前がおかしく見える」

「おい!」

「分かる様に説明しろ」

「うーん…」


ギルバートはそう言われて、アーネストに話し始める。


「そもそも、昨日現れたのがおかしいんだ」

「どういう事だ?」

「女神様が本物なら、神託でも良かっただろ?」

「何でだ?」

「だって、どうせ人間を滅ぼすんだろ?

 それなら全ての人間に聞こえる様に、神託で伝えた方が早く無いか?」

「それもそうだな…」


「それとな

 竜の背骨山脈での事を覚えているか?」

「ん?」

「あそこで女神は、神託を使ったよな?」

「そういえばそうだな」

「なんですと?

 ワシ等は何も…」

「え?」

「そういう事だ」

「そうか!」


アーネストも理解して、頷き返す。

しかしそこで、再び表情を曇らせる。


「しかし、たまたまあそこに居る者だけに使った可能性も…」

「それもあるだろうな

 しかしあれが神託で無いなら?」

「そうだな

 その可能性は失念していた」


二人の会話から、バルトフェルドもある程度の予想が出来た。


「まさか女神様が神託を?」

「ああ

 そう言っていたがな」

「しかし神託なら、バルトフェルド様も聞いている筈でしょう」

「そうですな

 神託とは本来、女神が世界に声を届ける事です

 それで無いのなら…」

「神託では無い」

「そういう事だ」


「そうなってくると…」

「ああ

 女神が本物か、再び疑わしくなってくる」

「しかし本物だろうと偽者だろうと、帝都は滅ぼされたのだ」

「そうだな」

「その力は紛れもなく本物だろう」


女神であるかどうかは兎も角、その力は絶大だ。

帝都を滅ぼした事もだが、魔王を狂暴化させる事も出来る。

そう考えれば、どの道倒さなければならない相手である。


「そういえば…

 帝都が消え失せたというのは?」

「ああ

 それも説明しておかないとな」


ギルバートは、会場である広場で起こった出来事を、バルトフェルドに語って聞かせた。

女神が現れた事は語っていたので、その後に起こったことからだ。


「女神は私達に、ゲームをしようと言って来た

 まるで人間を滅ぼす事を、遊びの一環としている様子だった」

「そんな…」

「それで手始めに、帝都を砂の底に埋めたんだ」

「あれは凄かった

 あんな事が出来るのなら、確かに人間を滅ぼせるだろう」

「しかし女神…

 本物か分からないが、彼女は自分でしようとしない

 そこが狙い目なんだ」

「ん?」

「どういう事ですか?」


「だって、いつでもあんな事が出来るのなら、最初から王都も破壊してるだろ?」

「え?」

「そう言われれば…」

「だからそんな事も出来ると、準備して見せたんじゃ無いか?

 私達を誘い込む為に」

「それじゃあ、帝都が滅ぼされたのも…」

「ああ

 私達を魔王の城に招き、確実に殺す為だろう

 その為に準備をして、あんな大掛かりな事をしたんだろう」


珍しくギルバートの考えは、的を得ていた。

確かにそう考えると、女神の行動にも辻褄が合う。

そうしてわざわざ現れて、ギルバート達を挑発したのだ。


「そうか

 アモンの居城に招くのは、オレ達を確実に殺す為か」

「恐らくそうだろう

 巨人の襲撃も失敗したからな」

「ううむ

 そうなってくると、迂闊に向かえないな」

「しかしどうにかしないと、どの道アモンが攻めて来るぞ」

「そうなんだよな…」


罠だと分かっているが、戦いは避けられないだろう。

しかし問題は、それ以外の事であった。


「それで?

 帝国側の被害は?」

「それはまだ…」

「女神が様子を見せてくれたがな」

「え?」


「恐らく女神…の力なのか?

 帝国で起こっている事を見せる力だ

 それで帝都が沈む様を見せ付けたんだ」

「そんな事を…」


「ああ

 オレは迂闊にも、それで心が折れていた」

「私もだよ

 あんな物を見せられてはな」

「しかし、あれがそうそう出来ないとなると…」

「ああ

 まだ戦えるって事だ」


大きな力は見せ付けられたが、それでもまだ戦える事が示された。

このまま女神の脅威に怯えて、魔物に滅ぼされる訳にはいかないのだ。


「しかし帝都が滅ぼされたとなれば…」

「ああ

 難民が押し寄せるな」

「どう致しますか?」

「ああ

 王都にもある程度…」

「無理ですぞ!

 昨年の分でも食料が足りなくて…」

「その分、今年は兵士が減るから」

「え?

 殿下?」

「私が打って出る

 その分、食糧難も一時的に押さえれるだろう」


ギルバートが兵士を連れて、魔王の居城に向かう。

その分浮いた食料を、難民に回せと言うのだ。

しあkしそれでも、一時凌ぎの策でしか無い。

そこで食料を集めて、自給率を上げるしか無いのだ。


「まあ、魔獣を狩れれば助かるんだがな」

「はあ…

 どうにか出来ませんかね」


バルトフェルドとしては、ギルバートに残って欲しい。

しかし魔王と戦うとなると、ギルバートやアーネストが居ても厳しい戦いになるだろう。

ましては女神が、どんな罠を仕込んで居るか分からない。


「殿下

 ワシとしましては…」

「分かっている

 しかし魔王も、恐らく女神によって…」

「狂暴化ですか?」

「ああ

 今日の月を見たか?

 女神が帰った後には、しっかり紅き月に変わっていたぞ」

「そうですか…」


狂暴化をしていれば、魔王との話し合いも出来ない。

そのまま狂暴化した魔王と、戦う事になる。


「どうにか…なりませんかね?」

「無理だろうな

 女神もこの機会を狙って、準備をしてただろうからな」

「そうですか

 どうしても行かれますか?」

「ああ

 今度は恐らく、総力戦になるだろうな」


ギルバートはバルトフェルドの肩をそっと叩く。


「すまないな

 また頼む事になる」

「ワシは良いんです

 しかし…

 あの世で陛下に、どの様に報告すれば…」

「おいおい

 不吉な事を言うなよ

 バルトフェルド様には、まだまだ長生きしてもらわないと」

「年寄りを労わってください

 いつまで使うつもりですか?」

「はははは」


「アーネスト

 雪が消えるまで…」

「さすがにそれは無いな」

「だろうな

 そうなると…」

「出発の準備はさせておくよ」

「分かった

 私も部隊の手配をしよう」


「どの部隊を出されますか?」

「そうだな

 以前護衛してもらった部隊と…」

「それだけでは…」

「ああ

 追加で2部隊は連れて行くつもりだ」


バルトフェルドと相談して、最低100名の兵士を護衛に連れて行く事になる。

その部隊編成は騎兵が主になり、弓を扱える者も加わっていた。

それに加えて、皇女も同行する事になる。

これは皇女の、神聖魔法を期待しての事だった。


「神聖魔法ならオレも…」

「アーネスト様も殿下も、傷を癒す魔法は使えませんよね?」

「う…」

「しかし私は…」

「使った事があるでは無く、使えるかです

 どうなんですか?」

「使えません…」


「こういう事情でして…

 お願い出来ますか?」

「ええ

 私も思う所がございます」

「マリアーナが行くのなら、私も行きますわ」

「お姉様

 お姉様には王都を…」

「そうは行かないわ

 私の使命はあなたを守る事で…」

「それは父上が望んだ事です

 私にはあなたが、生きて幸せになって欲しい…」

「しかし…」

「うおっほん」


バルトフェルドが咳払いをして、皇女二人の話しに割って入る。


「アンネリーゼ様には、移民の指導を行ってもらう必要がございます」

「それはハルムート子爵が…」

「子爵より上の身分の者では?」

「あ…」


移民の中には、元貴族の身内も含まれている。

没落しているので、爵位などは無いも同然だ。

しかし中には、以前の爵位を鼻にかけて威張る者も少なくない。

そういった者に対して、位階が高い者が必要なのだ。


「今までの移民の中には、その様な者は居ませんでした

 しかしこれから来るのは…」

「そうね

 帝都のどさくさに紛れて、他の貴族が来る可能性もあるわね

 しかし…」

「マリアーナ様の事は、お任せください

 私達で全力でお守りします」

「そういう心配じゃあ無いんだけど…」

「え?」

「ううん

 良いわ、お願いします

 その代わり何かあったら、あんたもそれなりの覚悟をしておいてね」

「え?

 ああ、うん…」


アンネリーゼはギルバートに対して、あんた呼ばわりしていた。

馬鹿王子と呼ぶよりはましだが、一国の王太子に対しては少々失礼だろう。

それでもそうした話し方をするのは、皇家と王家が対等だと示したかったからだ。

彼女なりに、ギルバートに気を遣っていたのだ。


「何かって…」

「良いから

 あんたは女神?

 あいつをぶっ倒す事に集中して」

「あ、はあ…」


「バルトフェルドさん

 私で出来る事は何でもする

 頼むから同胞達を…」

「ああ

 分かっておる

 しかし問題は…」

「食料か…」


彼女も手伝っていたので、王都の懐事情はよく分かっている。

特に肉が少なくて、時点が魚が獲れなくなっている。

野菜は採れるのだが、それだけでは栄養が偏ってしまう。

その事は、王国でも問題があると認識されている。


「小麦は取れても、肉が少ないと病に罹りますね」

「そうじゃな

 だから魔獣でも狩って…」

「しかし兵士が居なければ…」

「そこで帝国の騎士の力が役立つんですよ」

「ですが魔獣に効くでしょうか?」

「そこは訓練をして、勝てる様になっていただかなければ」

「そうですね」


移民の相談を始めた二人を残し、ギルバートはその場を離れた。

アモンの討伐の準備もだが、セリアの事が心配だった。

大丈夫と言っていたが、大事な式を壊されたのだ。

ギルバートはセリアを探して、王城の中を進んで行った。

まだまだ続きます。

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