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聖王伝  作者: 竜人
第十四章 女神との邂逅
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第443話

王城に入ったギルバートは、そこで魔物に遭遇した

王都に入り込んでいた魔物は、妹のエリザベートに成り済ませていたのだ

それを倒したのは良かったが、王城は混乱をしていた

魔物に洗脳されて、城内は荒れていたからだ

城内が落ち着いたのは、夜も遅くなってからであった

それから食事をして、みなが眠る頃には夜もすっかり更けていた

ギルバートはみなに促されて、セリアが眠っている部屋に向かった

部屋のドアはメイドが気を利かせたのか、鍵は掛かっていなかった

そのままドアをノックして、ギルバートは寝室に入る


「うにゅう?」

「まだ起きていたのか?」


セリアはベッドに寝ていたが、その目を眠そうに擦っていた。


「お兄ちゃん!」

トテトテトテ!


セリアは裸足でベッドから飛び降りると、ギルバートに抱き着いた。


「こら

 はしたないぞ」

「んにゅう」


セリアは半泣きになりながら、必死にギルバートに抱き着く。


「ほら

 怖かったのか?」

「うん」


ギルバートは頭を撫でながら、優しくセリアを抱き締める。

その身体は怯えていたのか、少し震えていた。


「しょうが無いなあ」

「んみゅ?」


ギルバートはセリアを抱き抱えると、そのままベッドに連れて行く。

そして優しく微笑み掛けながら、セリアをベッドに寝かせる。


「うにゅう

 お兄ちゃんも一緒

 一緒に寝るの!」

「はははは

 分かったよ」


セリアはギルバートの腕を掴むと、ブンブンと首を振って離さない。

ギルバートは苦笑をしながら、セリアの横に腰を掛ける。


「ううん

 抱っこ」

「はははは

 甘えん坊だな」

「むう!」

ギルバートが苦笑いをしていると、セリアは不意に起き上がった。

そしてギルバートに抱き着くと、ギルバートにキスをする。


「!」

「うんむ…」


セリアはどこで覚えたのか、ギルバートの口の中に舌をねじ込む。

そしてギルバートの口の中で、舌を動かしてみる。

ギルバートは驚いたが、何故か自然と舌を動かしていた。

そして貪る様に、セリアと舌を絡める。


「んふ…」

「はあはあ…」


セリアは上気した顔をして、ギルバートの胸にもたれる。


「セリア…

 どこでこんな事を?」

「お姉ちゃんが教えてくれたの」

「フィオーナか?」

「うん

 はにゃあ…」


セリアは潤んだ瞳で、ギルバートを見上げる。

まだ少女の身体は、ギルバートよりも一回り小さかった。

その身体を精一杯伸ばして、一心にギルバートに抱き着いていた。


「もっと

 もっと抱き締めて」

「こうか?

 ん!」

「あふん」


セリアは再びキスをして、二人はお互いの舌を絡める。


「ぷはっ

 ふにゅう」

「セリア…」


セリアは顔を真っ赤にして、もじもじしながら俯く。


「お兄ちゃん…」

「セリア…」

「お胸…

 触って良いよ?」

「え?」


セリアはそう言いながら、ギルバートの腕を掴む。

そのまま慎ましやかな胸に、その手を触れさせる。


「あ!

 はみゃん」

「セリア?」

「気持ち…良い」

「セリア!」


ギルバートは思わず、セリアを押し倒していた。

そして貪る様にキスをして、その小さな胸を揉みしだいていた。


「あふぁん

 うみゃうう」

「はあはあ…」

「ああ!

 はふう…」


セリアは身体を震わすと、気持ち良さそうな寝息を立て始める。


「?

 セリア?」

「ふみゅう…

 お兄ちゃん…」


セリアはどうやら、そのまま眠ってしまったらしい。

しかしその手はしっかりと、ギルバートの腕を掴んでいた。


「えっと…」

「ふみゅう…」

「はあ…

 仕方が無いか」


ギルバート自身は、まだ気持ちが昂ったままだった。

しかしセリアの顔を見ていると、そんな事はどうでも良くなっていた。


「おやすみ」

「うにゅう…」


セリアに軽くキスをすると、ギルバートはそのまま隣に横になる。

アーネストのくれた本の中には、こうした時にどうするかも書かれていた。

しかしギルバートは、それをしようとは思わなかった。

今はこうして、セリアの寝顔を見詰める方が良かったからだ。


それにアーネストの本は、些か大人の紳士向けにしては過激であった。

前半は若い男女の情熱的な夜の話であったが、後半は違っていた。

若い青年貴族が、実妹に禁断の恋をする話だった。

アーネストがそれをチョイスしたのは、ギルバートを思っての事であった。

しかしその事が、逆にギルバートを思い留まらせていた。


青年貴族は、妹に恋をするだけでは留まらなかった。

毎夜妹の元へ訪れ、その身体を自分好みに仕上げて行くのだ。

その行程の中に、一部羞恥心を煽る行為や、苦痛を与える描写が書かれていた。

それがギルバートに、その様な行為に対する抵抗感を与えていた。

つまりは良かれと思って、却って思い留まらせる様な情報を与えていたのだ。


アーネストもまさか、ギルバートがそこまで熱心に読むとは思っていなかった。

しかしギルバートも年頃で興味があったし、真面目過ぎる面があった。

それが裏目に出て、ギルバートは最後までよく読んでいたのだ。


さすがに…あんな事は出来ないな

セリアとはゆっくり考えて行おう


ギルバートはそう考えながら、セリアの隣で寝息を立て始める。

セリアの穏やかな寝息に誘われて、いつしか眠っていた。


「おい!

 さすがに…」

「しいっ

 バレるでしょう」

「ですがこれは…」

「そうですぞ

 若い娘のする事では…」

「それではバルトフェルド様は見ないでください」

「いや、ワシはお二人を止めようと…」


セリアの寝室の近くに、不審な一団が集まる。

二人の様子が気になり、近くまで覗きに来ていたのだ。


「しかしここからでは…」

「しいっ

 バルトフェルド様」

「メイド達にバレますわよ」

「…」


「声が聞こえないな」

「そうね

 セリアも初めてでしょう…

 静か過ぎない?」


アーネストとフィオーナは、真剣な顔をして聞き耳を立てる。


「あのう…」

「なあに?」

「声はさすがに聞こえないのでは?

 扉も閉まっていますし」

「いいえ

 あれは結構漏れるのよ」

「そうだよ

 フィオーナの時もジェニファー様に…」

「馬鹿!」

「あ痛え」


アーネストにフィオーナは、思いっ切り拳骨をする。


「本当にデリカシーが無いんだから」

「え?

 そんなに声が出るんですの?」

「ええっと…」

「マリアンヌ様は?」

「そんなはしたない事…

 私はフランツとは婚約しかしていませんのよ」

「いや、婚約者なら手を出す事も…」

「アーネスト!」

「すいません…」


フィオーナに睨まれて、アーネストは小さくなる。

バルトフェルドは二人に気圧されて、さっきから静かにしていた。


「そのう…

 私は経験がありませんので…」

「そうね

 でも城内の声は聞こえていたでしょう?」

「城内の?」

「ええ

 メイド達の上げていた声ぐらい…」

「あれがそうですの?」

「ええ

 聞こえていたでしょう?」


離宮に隠れている間も、メイド達が上げる嬌声は聞こえていた。

しかしマリアンヌは、それが男女の営みの時に上げる声とは思っていなかったのだ。


「え?

 あんな声を…」

「ふふっ

 自然に出る物よ

 恥ずかしくは…

 あるか」

「そうだぞ

 それで…ふぐぬう!」

「しいっ!」


アーネストは脛を押さえて、涙目でフィオーナを見る。

しかしフィオーナの憤怒の形相を見て、静かに頷いて黙っていた。


「それにしても…」

「そんな声が聞こえませんわね」

「あのヘタレお兄差様…」

「ふふ

 セリアちゃんはまだまだ子供ですもんね

 お兄様も手を出し難いんじゃありません?」

「はあ…

 そのようね」


フィオーナは溜息を吐き、髪を掻き上げながら振り返る。


「今夜は何も起きそうにないわ」

「そうですね」

「はあ…

 ギルは全く…」


フィオーナはアーネストの腕を掴み、強引に引っ張る。


「さあ

 部屋に戻るわよ」

「おい

 フィオーナ」

「良いからさっさとする」


フィオーナに引き摺られる様に、アーネストは連れ去られる。


「どうします?」

「私は…

 諦めませんわ」

「へ?」


「今夜は無理でも、お兄様には早く世継ぎを産んでもらわないと」

「ああ、そういう意味で…」

「ええ

 フランツは駄目でしたからね」

「ふぐっ!」


マリアンヌの一言に、バルトフェルドは地味にダメージを受ける。


「バルトフェルド

 そう悲観しなさんな

 彼なら女好きでしょうから、すぐに跡取りも出来るでしょう」

「それは…

 はは、どう答えて良いのやら」


「私はもう、気にしていませんわ

 あんなスケベな男は、こちらから願い下げですわ」

「ぐはっ」


「さあ、行くわよ」

「は、はあ…」


マリアンヌも踵を返すと、さっさとその場を後にする。

バルトフェルドは暫く、胸を押さえて蹲っていた。

しかし気を取り直すと、トボトボとマリアンヌの後を追った。


「あれ?

 フィオーナさんは?」

「フィオーナ様なら、先ほどアーネスト様と」

「ワインも持って行かれたから、あれは今晩」

「ふふ

 そうねえ」

「え?」

「今夜は寝かせてもらえないでしょうね」

「あ…」


「うおっほん」

「あ!

 バルトフェルド様」

「噂をするなとは言わんが、内容に気を付ける様に」

「はい」

「姫様にはお耳汚しですからな」

「そんな事は無いけれど…

 ひょっとして?」

「でしょうな

 ですから邪魔はしない様に」


バルトフェルドはそう言うと、マリアンヌに早く寝る様に促す。


「はいはい

 でも…」

「ご興味を持つ事は止めませんが

 覗きに行くのは感心しませんぞ」

「行きませんって」

「ではお早く就寝してください

 もう夜も遅いですし」

「分かったわよ」


マリアンヌは去り際に、いーっとしかめ面をする。

それを見送ってから、バルトフェルドは溜息を吐きながら席に着く。


「すまんが何か酒を」

「はい

 用意してますよ」


メイドはそう答えて、バルトフェルドの前にグラスを差し出す。


「大変ですわね」

「はははは」

「年頃の子達ばかりですもんね」

「そうじゃな…」


バルトフェルドはそう答えながら、目を細める。


「あの子達には…

 陛下の様に苦しまれないで欲しい」

「そうですわね」


そのメイドは、王宮で長く働いていた。

だからこそ、バルトフェルドが座る前から葡萄酒を用意していた。

そんな彼女だからこそ、国王の苦悩も聞いていた。

それは誰にも明かさずに、愚痴を聞いてくれるからだ。

それだけ彼女は、国王に信頼されていた。


「あの子達を見てるとね、陛下の若い頃を思い出すわ」

「陛下の若い頃?

 メイド長はそんなに長く…」

「あら?

 女に歳は聞くもんじゃ無いわよ」

「すまん…」


それからバルトフェルドは、暫くメイド長の前で愚痴を呟く。

メイド長はそんなバルトフェルドの話を聞きながら、時々相槌を打っていた。


「そりゃあそうよね

 私があの子達の頃にも、そういった事には興味があったもの」

「ですが王女がはしたないと…」

「それはバルトフェルド様だからじゃないのかい?

 今のあの子には、家族は母親しか居ないだろう?」

「殿下は?」

「そうねえ…」


それは難しい問題だった。

マリアンヌ自身は、兄として認めようとは努力している。

しかし離れていた時間が長過ぎたのだ。

会って話をする時も、彼女は自然と壁を作っていた。


「難しいんだろうね

 何せ王子は、何年も王都を離れておられた

 今さら兄と言われてもねえ」

「そんな物なのか?」

「ええ、そうよ

 バルトフェルド様に急に兄弟が現れたらどうします?」

「それは…」


メイド長の的確な指摘に、バルトフェルドは思わず呻く。


「ううむ」

「でしょう?

 ましては年頃の女の子よ

 ただでさえ難しい年頃なんだから」

「そうなのか?」

「ええ

 坊ちゃんとは違うのよ」

「ううむ…」


バルトフェルドはその後も、暫く愚痴を聞いてもらう。

それでスッキリしたのか、夜明け前にはスッキリした顔に戻っていた。


「はははは

 メイド長はさすがだな」

「ふふふふ

 年寄りをおだてるもんじゃないわよ」

「いや

 さすがは陛下が信用していただけある」

「でもね、その陛下に見放されたのよ?」

「それは陛下も、あんたには生き残って欲しかったのさ」

「それなら良いんだけどね」


メイド長は少し前まで、トスノの子爵の元に仕えていた。

それは巨人が攻めて来る少し前に、国王から急に子爵邸に行く様に言われたからだ。

当時はメイド長も、それには猛反対をしていた。

どうせ死ぬのなら、ここで陛下と共に死ぬとまで言ったのだ。


「陛下は恐らく、殿下の事を思ったんじゃ無いのか?」

「王子のかい?」

「ああ

 頼れるメイド長を、みすみす失いたく無かったんだろう」

「そうかねえ

 私にはそうは見えなかったけどねえ」


メイド長はそう言いながらも、少し考え込んでいた。

それからボトルを取ると、自分のグラスに流し込む。


「私は陛下の為に生きて来たんだ

 出来れば惚れた男と、共に死にたかったねえ」

「はっ

 そういうところを気に入っていたんだろう

 ハルバートはそんな奴だった」

「そう…ね

 そういえばそうだった」


「さて

 ワシは少しでも寝て来る」

「大丈夫かい?」

「ああ

 まだまだ若いもんには負けておれん」

「ふふ

 それだけ元気なら大丈夫かい」

「ああ

 メイド長も休んでくれ」

「そうするよ」


バルトフェルドが立ち上がり、去って行くまでメイド長は見送る。

それから立ち上がると、朝の仕込みを始めた。

ここで始めておかないと、朝の食事に間に合わないからだ。


「これが終わってからだね」


メイド長はそう呟くと、仕込みを仕上げて行く。

愛する男が残した、子供達の食事を作る為に。

まだまだ続きます。

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