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第4話 異世界には危険がいっぱい!

 折角、ラノベやネット小説でしかお目にかかれない世界なのだ。

 正直、ワクワクが抑えきれない。

 まず、この世界を観光するだろ。冒険者になってパーティー組んだり、色んなクエスト達成させて・・・。あ、エルフとか獣人はいるんだろうか?是非会ってみたい。


 この世界を観光するお金もないし、そもそも、運動自体からっきしダメである教太郎が冒険者になっても、すぐ死んでしまうのがオチなのだが。この時は、異世界に来たという興奮でそこまで頭が回らなかったのである。


 もしかして、チート能力とか使えたりするのか?

 転移した主人公には、なにかしらのチートが使えるのはこの手の話の定番だろうし。

 でも、神様にも女神様にも会っていないぞ。

 うーん。


「しかし、困りましたね。何も覚えてないのでは・・・」

「やはり、即刻投獄して尋問するべきかと」


 俺がこれからの異世界ライフに思いを馳せている間に、話がまた物騒な方向になっている。


「ちょっと待ってくれ!」

「どうしました?なにか思い出されましたか?」

「思い出したというか・・・。なんというか・・・」


 思わず会話を止めに入ったものの、どう説明するか。

 えーい、ままよ!


「はっきり言え!そのそっ首たたっ斬るぞ!」

「えっと、その・・・。わ、私はこの世界の人間じゃない!」

「「は?(はい?)」」

「た、多分、こことは違う世界から来た・・・と思います」

「人を馬鹿にするのも!」

「・・・シア、待って。えーと、キョータローさんでしたよね?構いません。続けてください」

「ありがとうございます。えーと・・・」

「そういえば自己紹介がまだでしたね!」


 ほっ。どうやら話を聞いてくれるみたいだ。

 目の前の彼女は、両手をたたき楽しそうに自己紹介を始める。


「私の名前はハルカ=レクリアと申します。よろしくお願いしますね」

「・・・っ!」

「どうかされました?」

「いえ・・・なんでもないです」


 聞き馴染みのある名前が過去のある記憶を呼び起こす。

 思い出したくもない。忘れたい記憶。

 心の中では整理がついている事。

 しかし、20年近くの時間が経っても、その名前は決して忘れたことは無い。


 人間30年ぐらい生きてれば、色々とあるもんだ。

 誰でも1つぐらい、思い出したくない過去や失敗があるはずだろう。

 それに、もう終わったことだ。


「すみません。よろしくお願いしますハルカさん」

「なんで謝るのですか?おかしい人ですね」

「すみません・・・あっ」


 彼女は面白そうに笑いながら話を続ける。


「私のことは気軽にハルカとお呼びくださいね。あと彼女は・・・」

「貴様に名乗る名前などない!」

「もう、ダメですよシア。彼女はシアと言いまして、私の身の回りの世話などをやってくれているんですよ。今はこんな調子ですけど、本当は優しい子なんです」

「違っ・・・!貴様笑ったな・・・たたっ斬ってやる!」

「笑ってないです!誤解ですって!」


 そう簡単に命を取ろうとするなよ!

 勘弁してくれ!


「あとですね・・・あっ!」


 ん?なんだろう。

 なんだかぷよぷよする。

 てか、なんで俺倒れてんの?


 突然の衝撃が走り、俺は床に倒れこむ。

 しかも、体が全く動かない。


 てか、重っ!めちゃくちゃ重い!

 俺の腹筋がぁ!

 何が起こってる!?これが魔法ってやつか!?


「こら!スラさん!やめなさい!」

「お!やるなスラ坊。そのまま潰してしまえ」


 原因は魔法ではなく、あの巨大なスライムであった。

 急にこちらに向かって突進してきたそれは、勢いよく俺を押し倒した。

 今は、その巨体が俺の腹部辺りに鎮座しており、くりくりした瞳で見下されている。

 100㎏を超える負荷が体にかかり、節々が悲鳴を上げ始めた。

 このままだと圧迫死してしまう!


「離れなさいー!」

「ギ、ギブ・・・」


 ハルカが懸命にスライムを引っ張っているが、動く気配はない。

 俺は、改めてこの世界で生きていく事の厳しさを知ることになった。


 この世界では、常に危険と隣り合わせであり、命が幾つあっても足りない。

 だが、こんな出来事はまだまだ序の口である。

 これから自分の身に降りかかる、様々な危機を彼はまだ知らないのだ。



「本当に申し訳ございませんでした」

「いえ、体も大丈夫でしたので・・・」


 あれから程なくして、鉛のような重さからようやく解放され、ハルカさんから謝罪を受けている。

 あれだけ悲鳴を上げていた体も異常は無さそうだ。多分だけど。

 一方のシアさんは、俺が助かったのが全くつまらないという風にドアに寄りかかるように立っている。相変わらず俺のことを訝しんでいるようだ。


「それにしても、スラさんがこんなに人に懐くなんて、本当に珍しいんですよ」

「へー、そうなんですか。 ・・・え?なつ・・・く?」

「はい!普段は人見知りで、知らない人の前だと、とっても大人しいんですけど。あんなにじゃれつくなんて!キョータローさんは魔物を安心させる何かがあるのかもしれませんね」

「はあ。そうですかね・・・」


 精一杯の苦笑いで誤魔化す。

 いや、じゃれつくってレベルじゃねーぞ!

 マジで死にそうだったんだけど!?


 はぁ・・・。一旦落ち着こう。

 ここは異世界だ。今までの常識は通用しない。冷静にいこう。

 とりあえず今はこの世界の情報を知りたい。色んな意味で日本と違いすぎる。


趣味でゆっくり書いてます。

どんな評価でも感想でも書いて頂けたらありがたいです。

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