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魔王と勇者は紙一重

さて、一行は帝国に行ったみたいです。

こんなパーティーに見合う力もって入りたいなと常々思っています。


__帝国 宮廷__


「皇帝陛下、お耳にお入れしたいことが…」


「…なんだ、今は夜伽で忙しいのだ。後にしろ!」


皇帝、グロース·シュヴァイン。

豚のような風貌で民からも忌み嫌われており、影からは『豚皇帝』と罵られている皇帝。

性格も腐っており、奴隷制度を復活させた歴代最低の皇帝である。


「それが…魔王が面会を望んでいるようでして」


「ま、魔王が面会だと!? い、いやだ! 断る! 確実に我が殺されてしまうではないかッ!!! 何故この国に入国できた!」


グロースは唾を飛ばしながら兵士に言う。


「陛下…ここはどうか。

「来なければこちらから行く」とのことです」


「くそっ! 魔王は討伐されたはずではなかったのか!「陛下」」


「シグモか!どうすればいい! 知恵を貸すのだ!」


兵士の横にいたシグモと呼ばれた出っ歯の細身の男が口を開く。


「どういった経緯かは不明ですが魔王はまだ誕生したばかりだと伺っております…今のうちに魔王を殺してしまいましょう。さすれば、前皇帝…いや、歴代皇帝にも出来得なかった、勇者の称号が貴方様につくことになりましょう。それに…我が国のトップクラスの凄腕騎士を近衛にしますので、問題はないでしょう」


「そ、そうなのか?…それなら…い、行ってみることにする!」


「ブヒヒッ」とそれを聞いて汚らしい笑い声をだす皇帝。


「素晴らしい判断でございます」

(単純な豚だ…このようなやつの下でなぜ働かなければならんのだっ。まぁこれでコイツとはおさらば。魔王に殺されてしまえばいいのだ)



__……───···…__…_


皇帝が乗り気になって身支度をしている頃、ロア達は帝国兵に案内された面会室で待たされていた。


「長げぇなぁおい…本気で迎えに行くか」


「ほんとだな…茶菓子もないとはどういう了見だと、文句を言ってこようと思うぞ…」


「ロア様をこのような狭い場所に案内し、あまつさえ待たせるとは…呪い殺しましょうかね」


二人は帝国に対して矛先は違うが憤怒している。

リルはいつも出している獣耳は隠している。どこからどう見てもただの美人さんだ。茶菓子がないことに怒っているが…

ベルターに関しては鎌を実体化させようともしている。

一応二人は従者扱いなので後ろに立たせている。


「落ち着け、おっ、やっと来たな? …こらベルター、鎌しまえ…」


ノックもせずに「失礼する」という声が聞こえてくる。

身の毛のよだつ気持ちの悪い声だった。


「ようこそ我が、帝国へ。魔王 …ブヒッ」


「あぁ、皇帝陛下(豚野郎)?」


挨拶を交わし席につく。

グロースは細身の男を側近として連れていた。

リルを見た瞬間グロースの目は卑しく醜い顔になっている。

背後には屈強な男達が5人程いる。

全てAランクの冒険者達だ。


「さて、さっそくで悪いが我が望んでいることは、一つ」


右手で人差し指を立てる。

グロースはどんな要求か脂汁を垂らしながら鼻息を荒くしている。


「我ら魔王領の傘下になって頂きたい。変わりにこちらからは…そうだな、帝国の安全を保証しよう」


「なんだとっ……!?」


ロアは傲慢に絶対不変の魔王を演じる。

あくまでこちらが主導権を持っているぞと言わんばかりに。しかし、皇帝はそれを良しとしない。


「そ、そんなの傲慢過ぎるではないかっ!! たかだか最近出てきたぽっと出のガキにそんなことをしてやるものか! そんなことをしたら他国からどういう目で見られるか…!」


「ふんっ!魔王は我儘で傲慢なのだよ…前魔王よりは融通の利く方だと我は自負しているが?」


皇帝の顔は怒りで真っ赤になっている。

しかし、途端に顔は真っ青に染まっていく。


(もう一押し必要か…? どうした)


奥の窓ガラス越しに二人を見てみる。


「「………」」


(睨んでる! 超睨んでる! 皇帝の首が危ない!何かベルター目光ってるしッ! あっちの理性が吹き飛ぶ前にこっちが保てない!)


かえって冷静になりこれからどうするか考える。


(早めに脅しておくか…)


ロアのミッションが新たに追加された瞬間であった。


「この条件を飲めないというなら、我が下僕達に帝国を滅ぼさせるが…どうする?」


もちろんハッタリだ。今だ魔王軍に軍は整備できていない。

ここで皇帝の側近が口を出す。


「皇帝陛下、そろそろ……」


「そ、そうだ! 貴様はどうせここで死ぬのだからこの話し合い自体必要なかったんだよ、マヌケめ! そこの女は我が可愛がってやる! ありがたく思えッ!!」


「さぁ! お前ら、金はいくらだけでもやる! 女以外皆殺しだぁ!」


いくら魔王でも誕生したばかりの青二才。

今なら殺せる、と。そう思っていた。


「フッ、フフ…アッハッハッハッハ!!」


突然、ロアは高笑いをした。


「何だ、こいつ…気でも狂ったのか?」


男達と皇帝達は動揺する。


「いやぁ、可笑しすぎて腹がよじれるかと思ったぞ? ……俺達を殺すだと? ()()()()()()? お前ら如き…」


次の瞬間、


キンッ!!!! ゴリッ!!! ベチャッ!!


囲んでいた男達の首が地面に落ちる。

その中心には手を獣化させて、血だらけのリルと

青筋を立て、鎌を持っているベルターの姿があった。

皇帝達は何が起こっているのか理解が追いつかなかった。

魔王は立つ。そして歩き、二人の前まで行く。

そのゆっくりとした歩みは 「お前らに選択なんて最初からなかったんだよ」と伝えているように見えた。

それに皇帝は尻もちをつく。

側近は窓から逃げようとした。


「氷魔法《氷姫の微笑み》…」


パキ…パキパキパキッ…


側近は尚逃げようと窓に手をつく、するとたちまち手が引っ付く。


「くそ! こんなことなら早く豚を置いて逃げておくんだった! 何故私が、こんな目にィッ!!」


短剣をロアに向かって投げる! 攻撃虚しくその短剣は弾かれてしまった。

氷は全身を覆っていき呼吸器官を蝕んでいく。


「ブヒィィッ! た、助けてくれ! 頼む! ソイツが指示したんだ! 俺は何もやってない!」


「…もういい、貴様が生きていては遅かれ早かれこの国は廃れていくだろう…ここから先の帝国は任されよ、()皇帝陛下?」


「……い、嫌だァァァァまだ死に、死にたくないィッ!!! だ、誰か居ないのかッ!? 助けてくれぇっ!!!」


「無駄だ、助けは来ない…貴様はもう終わったのだよ」


その優しい語りかけがより一層皇帝を壊していく。


「………へっ、ヘヘッ、フハハハハハ!!!」


「……壊れたか」


シュパッ!!! ゴトッ…


「……さて、帝国は頂いた」


「まぁ、この方が分かりやすくて簡単だぞ? 民に禁じた約束早速破ってる感じあるが」


「さて、この後はどうしますかな? 帝国への声明をしますか」


「そうだ、行くぞ二人とも。…はぁ、やはりこういうことになった…取引は嫌いだ」


___··_..·───·_··_···


三人は部屋の惨状がバレないうちに部屋を足早にでた。


「確か…前魔王の工房の中に映写が出来る道具があったと思うが…」


虚空から目玉のような物体と手のひらサイズのL字の物体が4つ 三セット出てくる。


「ファーストコンタクトは大事だよな。えぇっと説明書は…」


魔力を流すとL字の物体が街へと飛び立っていく。

すると4つの物体から透明な膜が貼られる。

後は目玉に魔力を流すと映るらしい。


「こうか」


宮廷の前に大きなモニターに映し出されたロアが宣言する。

見慣れないものに足を止め、視線を向ける帝国市民達。


『…聞け、帝国の民よ。帝国の皇帝、グロース·シュヴァインは我、魔王ロアに下った。よって帝国は魔王領とする』


突然伝えられることに驚きを隠せない市民たち。

どよめきが街中を溢れかえる。


『…心配せずとも民には手を出さないことを約束しよう。我は人と魔族が共存する国を作りたいと考えている。課題は多く、障害は増える。しかし、我は魔族の長の名にかけて今より素晴らしい生活を送れることを約束しよう。以上だ』


ブツッ───


(今頃大騒ぎだろうな…ほら、ここまで悲鳴が聞こえて…ん?)


「あの忌まわしき皇帝が死んだぞォッ!!!」

「やったぁァァァ!!」

「今夜は宴だな!!」

「嗚呼ァ! 神様…いえ! 魔王様ァ!」

「「「一生ついていきますっ!!」」」

「「「魔王様万歳!!」」」


「ロア様、ワタクシ、ここまで慕われてない皇帝は初めて見ましたぞ」


「まぁ…恨まれるよりは良いが……ん? 帝国兵も混ざって喜んでるぞ」


鳴り止まない魔王様コールに笑うしかないロアだった。


───_····─··.._··─·.──_·_


そうこうしている間にもう夜も深けている。

今夜は記念すべき帝国崩壊の日であるため、街中は熱気に包まれていた。

ロア達は外へ出てみる。


「魔王様だァ!」


「あの…ありがとうございます! 僕のお母さんはアイツ(皇帝)に殺されたんです!」


「えっと、一応お前らの指導者下しちゃったんだけど…」


ある人からは英雄と言われ、ある少年からは焼き鳥をちょうど三つ貰ったロア達。

一応毒が入っていないか確認したが入ってはいなかったみたいであった。


「ロア様、わたくし、人間はあまり好きではありませんがここの人間には共感が持ててしまいます…」


「そうだな、皇帝が歴史に名を刻んだな、恥ずかしい方で」


「主よ、今日に魔王城へ帰るのか?」


「そのつもりだ」


「なら! 私の背中に乗るといい」


「マジか、やった」


(ロア様を背中に乗せたかったのでしょうか…)


ベルターはそう考える。


「なら早速帰るか…資源の供給はおいおいだな。帝国軍の兵士達の居場所も設けておかなくてはいけないし」


三人は夜の帝国を歓声を浴びながら門まで歩いていった…


──...─.····___·


[乗るがいい、主]


本来の姿に戻ったリルはウキウキ顔でロアにいう。


「これは快眠不可避だ」


モフッ……ポフッ…


ロアはリルの背中に乗った数秒後に背中に顔を埋めた。


「あ、主?」


「気持ちよすぎて死にそう…いい匂い」


さらに顔を埋め、モゴモゴするロア。

リルはむず痒がったのか。


[ひゃんっ! 主よ…そこは弱点でぇっ!]


「んむぅ…zzz」


[私はお邪魔ですかな?]


早く移動するためグリムリーパー化した

ベルターが言う。


[いや! な、何でもないぞベルター、行くぞ]


狼と異形は目にも止まらぬ速さで魔王城へと移動を進めた。


──.──..·………·..──.


朝方に魔界に帰った一行。

門番を任せているゴーレムを確認した後、魔王城に入る。


「一日ぶりっていうのに久しい感じがするな…」


起きたロアはそんなことを言いながら

魔王の間に入る。


「あっ! やっほぉ! 魔王様、いや…久しぶり()()()といったほうが正しいカナ?」


そこには来訪者が玉座に座っていた



さて、突然の来訪者は誰だったんでしょうかね?

帝国編って言ったって1話完結でしたがすいません! ロア君達最強過ぎんだもん

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