プロローグ
魔王はやっぱりカッコイイですよね。
勇者と魔王。
その関係は魔王というものがこの世に誕生したときから始まる。
勇者は魔王を倒すために、魔王は世界を支配するために。
しかし、勇者一人では魔王とは渡り合えない。
勇者には仲間が必要だ、何があっても“裏切らない”家族同然の仲間が。
ここで一人の少年の話をしよう。
極平凡な村の極平凡な家庭に生まれた少年。
しかし、彼には武の才と知の才があった。
僅か5歳にして木刀を使いこなし、村を脅かしていた森の主を倒し、10歳ともなると魔法が自在に使えるようになった。
その噂は瞬く間に広がり、王都は彼を軍に取り入れようとした。
しかし、彼の両親は強く拒んだ。
息子を死地に向かわせるようなことはしては親失格だと、確固たる意思を見せた。
それから五日後、彼の両親は教会から異端者としてリストに入れられ、処刑された。
当時15歳のことだった。
そのまま流されるが如く、少年は軍に入れられた。
少年は才を活かし、軍の中では負け無しであった。
そんなときである。一つの情報が軍に舞い込んできた。
──魔王が降臨した、と。
そこからは早かった。
世界中に魔物が蔓延り、人々を理不尽に殺していった。
教会はこの状況を脱するために聖書にある、勇者の発掘に乗り出した。
そこで白羽の矢がたったのが少年である。
少年は勇者として魔王に挑めと王から命令された。 勇者はパーティーを作った。
戦士、魔法使い、賢者を連れ、数々の冒険を乗り越え、笑い合い、励まし合い、魔王に挑む。
これがのちに人類の救世主から人類の敵になる者のシナリオだった。
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