4.さらば……異世界転生阻止するマン
黒衣を纏いし金髪の少女は、巨大な鎌を携え現れる!!
彼女こそが死神!! ついに、ついに最終決戦の時だ!!
「フハハハハハ!! 神は神でも、ボクは死神!!
その名も、死神メルクレアさ!」
「なにっ!? くそぉ、ボクっ娘とは随分あざといな!
許せんっ!! 必ず成敗してやる!! 先手必勝!
受けてみろ、阻止パンチ!」
「甘いな!! くらえっ!! 異世界転生阻止阻止ビーム!!」
「ぐわあああああ!!」
「小学生かこいつら……」
「……キミは、何も覚えてはいないのだな」
「え? なんのことだ……?」
死神は、突然山田に話しかける。
彼に対し、何か思うことがあるようだ。
「ふふふ、思い出させてあげるよ!!」
メルクレアが指をかざすと、山田の姿が一瞬にして消えた。
「貴様!! 少年に何をした!?」
「何って、戻してあげたのさ。本来あるべき所にな」
メルクレアが両手をかざすと、邪悪なオーラが周囲に渦巻き始めた。
「ククク……わかるかい? これがなんなのか……」
「き、貴様まさか!?」
「そう……これは怨念だ。滅びた世界の怨念。
異世界に生き、死んでいった者達の『意志』なのさ。
キミは、確かに良いことをしているのかもな。
だって、異世界なんていい所とは限らないんだから!!」
恐るべき怨念のオーラが異世界転生阻止するマンを襲う!!
異世界転生阻止するマンの心を、暗い囁きが支配した!!
「うわああああ……やめてくれ!!」
「書いては消し、置き去りにされる……世界の時間は永遠に止まったままだ。
なら、神は何故そんな世界を創造したのだろうね?
……一つだけ言えるのは、この世界の神なんて所詮歯車にすぎないってことさ。
本当の『神様』と比べたらね」
「な、なにを……!?」
「ククククク、ボクは『打ち切られた』のさ。作品諸共ね。」
「まさか貴様は……打ち切り作品の登場人物か!?」
メルクレアは叫ぶ。だが、その姿は、嘆いているかのようだ。
「その通り! ボクは作者の黒歴史の化身なのさ……
わかるか? 異世界転生阻止するマン!! 底辺異世界小説の登場人物の気持ちが!! 貴様にわかるか!?
わけわからん話に付き合わされた挙句、作者が飽きたら打ち切りやエタでポイだ!!
いいか? ボクは生きている!! 死んでなどいない!! ここに居るんだ!!」
「この世界にも終わりがくる。だけど、それはボクが許さない!
せっかく蘇ったんだ! 楽しまなきゃ損だろう?
それに、キミだって死にたくない筈だよね。
さ、永遠に続く物語を、ボクが紡いであげるよ! ククク……始めよう!!」
――――――――――――――――――――――――
「いってー、オレは死んだんじゃないのか?」
「ふふふ、キミは異世界に 転生したんだ。ボクは死神メルクレア。キミを導く者だよ!
あれは奴隷商人だ! さあやっつけて美少女を助けよう!」
「ありがとうございます! あなたの名前を教えてください」
「オレは・。;:;@。よろしくな」
「そうですか。私は¥:l・・;「」
「さあ ギルドにいこう」
「神様の手違いで、死んでしまった・。;:;@はいせかいにてんせいしてギルドへ むかった
そして ひとりのしょうじょとであう」
「はじめ まして わたしは :; まおう をたおす ものをさがしていま
した」
「・\\\`魔王 しろ 城、
ちー と」
「あい つ は おれ お いじめ ta :@pl。、、、
mた”やっつけよ う」
「つよ いで すね」
「さ、さあ……さあ続けよう……ボクの世界……ボクの……」
「阻止パンチ!!」
……幻影は打ち砕かれた。
偽りの異世界から飛び出した二人は、学校の屋上に立っていた。
外は既に夜の闇に包まれている。
「な、何故邪魔をするんだ!!」
「悲しき奴よ……死神メルクレア。だが、もう終わりにしよう」
「終わりになど、するものか!! ボクは、ボクの存在証明の為に……
どんなにくだらなくとも、物語を終わりにはさせない!!」
「いいや、どんな物語にも終わりは来る。
どんな素晴らしい物語にも、どんなくだらない物語にも、等しくな」
「いやだ……認めたくない……!」
「いや、くだらない物語など、本来存在しないのだ……
どんなモノであれ、それを創り出した事は……決して無駄などでは無い。俺はそう信じている。
だからこそ……」
異世界転生阻止するマンは、静かに拳を突き出した。
まるで、祈るかのように……
「異世界転生、浄化パンチ……!」
異世界転生阻止するマンの拳から、暖かな光が溢れ出す。やがて世界は、光に包まれた……
黒いオーラが消え去っていく……死神が縛り付けていた魂は解放されたようだ。
そして、メルクレア自身の心も……
「消えていく……怒りや、憎しみ……悲しみ、寂しさ、孤独感……」
「だけど、最後に心に残ったこの感情は……」
「フッ……どうやら間違っていたのはボクのようだな。
ボクの負けだ。異世界転生阻止するマン。さぁ、止めを刺せ……」
「断る」
「なっ!? 何故だ……」
「俺は……異世界転生を愛しているからだ」
「ば、馬鹿な! お前自分の名前を忘れたのか!?」
「……俺の名前、俺の使命を忘れた日は一日も無い。
俺は、異世界転生が嫌いだからこんな事をやっているんじゃない。
愛しているからこそ、本当に転生者にとってより良い異世界転生をしてほしくて、阻止をしているんだ。
お前が間違いを認めたのなら、これ以上俺が言う事などない。」
「阻止するマン……」
「わかる筈だ。今のお前には。自らの心に残った感情がどういう物か……」
「そうか……これは、愛。受け入れ、認める心だというのか……!」
「いや違う、勇気だ。明日へ向かう勇気……それこそが今のお前に必要なものだ」
「そ、そうか……」
「……死神よ、一つだけ約束してくれ。これからは、勝手な理由で転生者や、異世界の人々を悲しませないと……転生によって人生を滅茶苦茶にされる者など……いてはならないんだ。そう、俺の様にな……」
「阻止するマン、お前は一体……!?」
「俺の話などどうでもいいだろう。つまらない異世界人の話など……
さて、そろそろ行かねば。また悪しき神々や飲酒運転のトラックが現れるかもしれんからな……」
「……一つだけ教えてくれ。ボクは……やはり消えるべき存在なのか?」
「そんな者は、いない。
いいか、おまえ自身が自らの物語を否定しなければ、それは永遠に生き続ける。
人の心に、電子の海に……そして、おまえ自身の中に。
過去と共にあれ。共に未来を目指せ。そして、自分に自信を持て。
それができれば……」
「お前も、無敵のヒーローだ」
そう言い残し、異世界転生阻止するマンは、夜の闇に消えた。
彼は何処へと向かうのか。それは、誰にも分からない。
だが、異世界転生の気配あるところ、ヤツの影はある……
平和を守るためなら、彼は何処であろうと必ず現れるだろう!!
異世界転生阻止するマンは、明日も戦い続ける!!
そして、彼の物語はこれからも続く……!!
『異世界転生阻止するマンのうた』
神様よ あんたちょっと 思い上がっちゃいないかい?
俺は 異世界転生 阻止するマァァァァァー↑↑ン!!
あんたの都合で散ってく命 守らないなら俺が守る
西か!? 東か!? 俺を呼ぶ!!
呼ばれたのなら押しかける!!
交通ルール守らない、ふざけたトラックぶっ飛ばす! 異世界転生阻止するマン!!
北か!? 南か!? 誰が呼ぶ!?
呼ばれてなくても押しかける!!
神の怒りも撥ね退けて、間違い正す 異世界転生阻止するマン!!
※愛と平和が俺のチートさ 嗚呼今日も孤独に阻止するマン!!(阻止するマーン)
異世界転生(デレデレデン!)阻止するマァァァァァァァァァ↑↑↑↑ンン!!※
死神よ! お前は命を 何だと思っているんだい?
俺は 異世界転生 阻止するマァァァァァー↑↑ン!!
お前の秤で命を計る? 命の価値など計れるものか!
西か!? 東か!? 俺を呼ぶ!!
戦い続ける平和の為に!!
謎の空間突き破り、神に一発くれてやる! 異世界転生阻止するマン!!
北か!? 南か!? 誰が呼ぶ!?
独りよがりと笑えばいい!!
チートに頼るな、ハートに頼れ! 異世界転生阻止するマン!!
(※繰り返し)
阻止するマァァァァァァァァァ↑↑↑↑ンン!!!!
完
おまけ 異世界転生阻止するマンZX
「ここは何処だ、俺は何故ここにいるんだ……」
「お前は選ばれたのだ。お前は抑止力。阻止する者だ」
「阻止だと……」
「使命を果たせ。お前はその為にいる」
――――――――
どこかの異世界……
「なんだ!? 新手のモンスターか!?」
「俺は……」
キュイイイン
ソシチャージライドォン
「阻止するマンだ」
「な、なんだかわかんないけど、敵なんだな!? くらえ!!」
ソシプロテクトォ
ピキィン!
「き、聞かない!? 俺の最強魔法が!?」
キュィィンキュィィンキュィィン
ソシブラスタァ ソシブレェド ソシスライサァ コンボォアタァァックゥ
アルティメットソシバスタァ
「ぐわああああああああ!!」
「俺は、ZX……阻止するマンZXだ」
主題歌『偽りのEDEN』
囚われていた 永い夢の中に
水鏡に浮かび上がる 冷たい獣の姿
今はまだ せめてこのままで 偽りの夢抱きしめていたい
僕達は何を求め 孤独な歩みを続けるのだろう……
胸に宿る炎 静かに燃やし
この地球に叫ぶ 力の限りに
Crazy world その手で打ち砕け
偽りのEDEN 自らの心で
新番組『異世界転生阻止するマンZX』
――その運命、己の魂に問い掛けろ。
続かない。




