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助ける? いや、酷くする第十二話(修正版)

修正を加えたというか、前半のシーンを大幅に削除した結果、話が良く分からなくなっている可能性があります。

何言ってんだこいつと思った方は、原文版を参照のほど、宜しくお願いします。





 第三神官騎士隊入隊試験、通称「強化合宿」。これを経ることで一人前の神官騎士と認められるようになる、神官騎士の間では有名な慣例行事である。数日間、新人の女性神官騎士は街から離れた場所に集められ、英雄レイブン・ヴィージンの下、魔物との実戦訓練を行う。

 この強化合宿での脱落者は後を絶たず、クリアしたものだけが英雄の下でこの街の神官騎士団に配属されるのだ。

 神官騎士の誰もが夢見、そして秘匿された数日間。


 だがその一日目の夜。テントの中の様相は、一言で酷いといって良いものだった。


 

 その場は強化合宿とは名ばかりの、教会の男達の欲の捌け口であった。

 休憩用のテントの中、魔動具を外した所で、彼女らは寝込みを襲われた。

 魔動具ありきで訓練していた女性神官騎士は、魔動具無しでは並みの非力な女と変わりなく、男の身体能力には為すすべもなかった。

 それすらレイブンの思惑である事は、ファナティークの知らぬ話である。


 全てが計画通りであった。……とある一人の男が乱入するまでは。


「──随分とお楽しみなご様子で」


 突然テントの中に声が響く。

 一斉にその声の元へ視線を向けると、そこに立っていたのは真っ黒な服に身を包んだ青年であった。


「混ぜてくれませんかね?」


 にこやかに青年は問いかける。

 一同は混乱した。このテントの周りには、重層の警戒態勢を引いていた筈であり、ネズミ一匹立ち入る余地は無いのだ。

 なにせテントの中で行われていることは、彼ら自身は間違っていないと考えているが、一般的には批判される内容である。この情報を漏らすわけには行かないため、厳戒態勢をとっているのだ。


「どのような理由で入ってこれたのは知らんが、このまま返すわけには行かんな。誰か! こいつを捕らえよ!」


 レイブンはテントの周りを守備しているはずの神官騎士に、大声で命令を下す。

 だが、いくら待とうとも、その声に返事をする者は居なかった。


「……どうなっておるのだ」

「あなたがたや俺の楽しみを邪魔しないように気を配っているのでしょう。……まぁ、それはさておき」


 青年は適当に話を煙に巻くと、テントの外から何かを取り出した。


「このような楽しみ方はどうでしょうか」


 そう言って一同の眼前に差し出したのは──


「な、なにこれ…………ひぃいぃ!?」

「や、イヤァァァ!」

「なんなのだこれは!? 虫か!?」

「気色悪い虫だな」


 手のひらを優に越える大きさの、百足のような黒光りする虫であった。

 その甲殻の黒は全ての光を吸い込む闇が如く、口と思しき場所には十数本の触手のような器官で縁取られている。


「ほら逃げるなよ」

「ち、近寄らないで!」


 青年は脇に転がされるように寝かされていた女の一人を踏みつけ、その動きを封じる。


「そしてこの虫を置く、と」

「イヤ! イヤやめてやめて本当にやめイヤァァァ」


 虫はその白い肌に張り付くと、ここぞとばかりに()に食らいついた。

 ナマコのような触手が肌をなでると、分泌された消化液が表皮からゆっくりとタンパク質を溶かしていく。


「ぁぁ……ぁぁ…ぁ……ぁあ」


 女は口から唾液を垂れ流し、焦点のあわぬ目を上へ向けながら、息を漏らすように声をあげている。

 その凄惨に余る光景を見て、その場にいる誰もが言葉を失う中、青年だけは愉快そうに笑っていた。


「あははは! いや苦しむ様が滑稽滑稽! どうです? 虫にゆっくりと体をかじられていく気分は? 痛いですか? 苦しいですか? いやぁ愉快愉快。……あれ? どうして誰も笑わないのです? 寂しいじゃないですか」


 不思議そうな顔でそう言った青年は、何かを思い出したように手をたたいた。


「そういえばこの()達、まだまだ沢山用意しているんですよ。ほら、入ってきなさい」


 青年の一声と共に、テントの幕のあらゆる隙間から、虫という虫がウゾウゾと現れる。

 虫は近くにいる人間に、老若男女関係なく襲いかかった。


「あ、男女関係なく襲いかかるので、頑張って」

「くそっ! こっちに来るな虫けらが!」

「貴様! さっさとこの虫を引かせないか!!」

「いや! こっちにこないで!」

「いやぁ、こいつら俺の言うこと聞かなくて。虫だから命令聞かないんですかね? あははは」

「笑っている場合か!」


 一瞬にして酒池肉林の場は、阿鼻叫喚の地獄絵事の一途を辿る。

 這いよる虫に、男は喚き、女は泣き、虫は食らう。

 集団パニックとも言える中で、レイブンは立ち上がった。


「舐めるなよ虫けら共が!!」


 どこに隠し持って居たのか、一つの宝石を取り出すと、レイブンはそれに魔力を注ぎ始めた。

 宝石から溢れ出た不定形の光が、剣のようなシルエットに変化し、実体化する。

 英雄として教会から授与された、神具の一つであった。


「ぬぅん!」


 レイブンは自らの体に纏わりつく虫に斬りかかる。

 だが、神具の刃は虫の強固な殻に阻まれる。


「ぬぅ! 堅いな!」

「魔動具ありきでしか考えられないあんたたちじゃ太刀打ちできないさ。お前が望んだ結末だ」

「黙れぃ!! 剣が効かぬならば!」


 レイブンが再び宝石に魔力をこめると、剣の形が曖昧になり、輝くメイスへと変化する。


「ほう、形状変化する武器、か」

「ぬぅんっ!」


 振るわれたメイスは甲殻を砕くには至らなかったが、レイブンに纏わりついていた数匹の虫は叩き飛ばされる事となる。


「この程度でやられるわけが無かろうが! 英雄の名を舐めるなよ!」

「マッチポンプの英雄で良く吠える」

「貴様ぁ!」


 メイスを振りかぶったレイブンは、青年のがら空きの頭部に打ち込む。

 だが頭蓋をかち割るかに思われたメイスは、その軌道の途中で停止する事となる。

 メイスの先端を、青年が意図もたやすく素手で掴んでいた。


「な!? 神具を素手で止めるなど……」

「はぁ……力が足りない。速さが足りない。練度が足りない。思いが足りない。強さが足りない」


 幾つか呟いた青年は、無機質な目をレイブンに向けた。

 まるで豚を見るような? ゴミを見るような目?

 いや、彼はゴミを見ていた。


「まあそれでも数匹じゃ足りないらしい。……ならばこれなら?」


 青年はメイスを止めていた手ではない、もう片方の手を虚空に振る。

 その瞬間、彼の背後から闇のような黒い煙が立ち込める。

 そしてその煙の中から、闇を埋め尽くすような蟲が溢れ出てきた。


「なっ……あっ……あ!」


 海のような虫の大群は、主人を除く最も近い人──レイブンを襲い始める。

 十秒もしない内に、彼の下半身は虫に覆い尽くされた。

 とっさに逃げるため、武器を手放そうとするが、その腕を青年に掴まれ持ち上げられてしまう。


「や、やめろ! 離せ」


 自分の足の皮膚がじっくりと溶かされている感覚に怯えながら、掴んで離さない青年の腕を駄々をこねるよう叩く。

 だが幾ら叩いたところで、その青年の腕は磔の柱のように動じない。


「ぁぁあ! やめろ! 畜生! な、なんで!?」


 虫はもうレイブンの上腹部まで這い上がって来ていた。ナマコのような触手が、レイブンの皮膚や表層の筋繊維を末端神経ごと消化液で溶かしていく。その様が、レイブンの目によく映っていた。


「アャァァアャァアァァッ!!」


 レイブンは生まれてこの方知ったことのない、自身が溶かされる感覚と激痛、そしてにじりよる死から目を背け逃亡するが如く、辺りに響き渡る奇声としか思えない絶叫を上げた。


「……もういいかな」


 青年──高富士 祈里は、《陣の魔眼》の「精神干渉魔法」をレイブンの眼前に発動させた。


「ァァァァ…………あっ………」


 あっさりと催眠にかかったレイブンは、全身の筋肉を突如弛緩させた。

 祈里が手を離せば、脱力したレイブンの体が崩れるように蟲の海に沈んだ。


「レ、レイブン!」「貴様! ただではすまぬぞ!」

「おや、まだ状況が分かってないらしい」


 レイブンに興味をなくした虫達が、一斉にその他の人間達を振り返った。

 その複眼は、明らかに次の獲物を狙っている。

 彼らは、その獲物が何であるのか、瞬時に理解してしまった。


 襲いかかる蟲の波、完全なパニックに陥る神官騎士達。


 その中を、祈里は一人一人催眠しながら歩いていく。


(……ここまでやる必要は無かったかも知れんが、万が一があると面倒だからなぁ)


 祈里は笑っていた先程の様子とは打って変わって、つまらなそうに作業を続ける。


「……キリなのかい?」

「ん? ……ああ、師匠か」


 そういえば強化合宿に参加していたな、と祈里は興味なさげに思い出す。


「この虫達は……君が?」

「そうだな」

「やめなよ……こんなこと、神様の罰が当たるよ」

「その理屈なら、こいつらにも下されるべきだろう。罰とやらを……まあ俺が神罰なら話は別だが」

「それは……」


 あまり状況に困惑していないファナティークに疑問を抱きながら、祈里はそう返答し、ファナティークは曖昧に答える。


「彼らの行為は、教会のため、神のためのものだって……だから……」

「曲解だろう? 解釈と言えば多少聞こえは良いが……お前だってわかっているはずだ」


 祈里は辺りに倒れている教会の重鎮達を指差して、問う。


「こいつらが狂信者に見えるか? 確かに教典を信じようとしているが、こいつらが信じているのは自身にとっての神であり、世界の神ではない」


 一歩一歩近づく。


「結局こいつらは、未知、責任、運、それらをなすりつける都合の良い存在を求めているだけだ。自身の罪咎を神に押し付けたいだけなのさ。神の実在の是非、宗教の由来の如何を問わず、最終的にはこんな風に形骸化する」


 祈里はファナティークの一歩手前で止まると、顔を覗き込みながら言った。


「さて、君はどちらかな?」

「私は……!」

「ちなみに神のために平和を願っているそうだが、あまりにお門違いだ」

「……へ?」


 祈里は薄い笑みを浮かべながら続ける。


「ちょっと調べりゃ分かることだが、魔王と勇者を生み出し、戦争を誘発しているのは神様とやらだ。神はハナから、平和なんて望んじゃいない」

「そんな……わけ……」

「根拠もなく否定するならば、お前は神に理想をなすりつけているだけだ」


 祈里はファナティークの目を見ながら、《陣の魔眼》を発動した。









 テントから外に出る。

 死んだ兵士の血の臭いが混ざっているが、中の淀んだ空気に比べれば随分と澄んでいる。


「……終わりましたか」


 テントの側で待機していたアリーヤが、近づきながら問いかけてきた。


「ああ。全員催眠した。後は台本通りに動かすだけだな」

「……随分とつまらなそうですね」

「つまらないさ。ただの無駄な茶番に、無駄に時間をかけただけだ。作業ゲーだったしな」


 女召喚術士を「魔を操る穢れた女」として教会で捕らえ暴行。実妹を人質にして、魔物を召喚し街を襲わせるように強要。

 マッチポンプで英雄という絶対的存在を生み出し、街での教会の確固たる権力を作り上げる。

 その英雄の威光をもって、神官騎士における制度を改革、刷新。

 レイブンの元に強化合宿で処女を集め、一通り楽しんだ後、その件と教会の圧力で無理矢理に従える。

 そもシスター師匠のように、街の外で活動できるような神官騎士が、強化合宿程度でへばって離脱するのが不自然だ。

 おそらく離脱したのではなく、教会によって飛ばされたか、処分されたかって所だろう。


 ああ。文面から分かるとおりだ。

 茶番。あまりに無駄で滑稽な茶番だ。

 何か読み取れない野望でも有るのかと思って蓋を開けてみれば吃驚、何もない。空っぽだ。

 本当にただただ性欲を浪費しているだけだ。


 そんな茶番を一つ潰しただけ。

 つまらなくない訳がないだろう。


「ま、これから俺も茶番をしなければならない訳だが……。おい、出番だぞ」


 俺の呼びかけに反応したのは、数日前に魔物暴走(スタンピード)を起こし、俺に催眠させられた召喚術士だ。

 先程の話には、まだ続きがある。

 召喚術士は実妹を人質にとられていた訳だが、どうも隔離されていたらしい。

 何度か様子を見る機会があり、妹は無事だと思い込んでいたようだが、ただの見せかけだったわけだ。妹も暴行を受けており、もともと病弱であった彼女は、つい二月前に息絶えたという。

 教会も流石に死んだことは誤魔化せず、さらに召喚術士は妹が暴行を受けていたことを知り、憤る。

 召喚術士は教会への復讐を考えるが、実力も不足しており、立場故コネクションも無い。

 そしてそのタイミングで、甘言を囁いたのが、魔族。

 魔族は、魔人として魔王の配下に下る代わり、強大な力をくれてやろうとそそのかしたわけだ。

 結果として召喚術士は、魔族に催眠契約をし、魔人となったわけだ。

 作戦としては、教会が再び計画しているマッチポンプの中で、彼らが想定している以上の数と質の魔物を召喚し、当日に裏切る予定だったとのこと。

 だが軽い催眠状態になったためか、魔人の命令である「街を潰す」ことのみに執着し、復讐に関しては完全に忘れていたらしい。性格も残念になっていた。


 以上が俺が催眠した状態の彼女から聞き出した話だ。

 そしてその催眠状態は、現在も継続中である。


 仇をとらせてやる? そんなことは一切考慮に入れていない。

 だってそうだろう。催眠された程度で失う恨みなど、弱いにも程がある。余りに脆弱だ。

 そんなことさせてやる価値もない。興味もない。

 全くどいつもこいつも下らない事ばかり。


 さっきのテントの中といい、この召喚術士といい、もう興味もないしどうでもいいし、面倒なことになるなら正直殺してしまって構わない。それで俺の目的も達成できるのだから。


 だが、魔王や魔族が関わっているなら話は別だ。いや、厳密に言えば魔王ではなく魔王代理な訳だが、まあ細かいことは気にせんでもいいだろう。

 催眠契約に絶対の自信があるのか、召喚術士には魔族の監視などはついていなかった。だが、ここで俺が殺してしまえば流石に魔族側も怪しむはずだ。

 魔族。やってみたい。やり合ってみたい。


 だがまだ早い。

 おそらく魔族全体に『魔王の加護』がかかっているはずだ。この効果の程は、そのときの魔王の力に依存し、現魔王は正真正銘の化物。つまり今の魔族や魔王代理はクソ強い。

 おそらく今の俺では負ける。

 だが早いだけだ。準備を整え、万全の姿勢で魔族と事を構えるのは有りだ。非常に有りだ。

 目安は次の爵位になることだな。爵位が上がることで、正に別次元へと至ることが出来る。


 そして、万全の姿勢で後々ぶち壊すならば、今、魔族に目をつけられるべきではない。

 よってこの騒動は、何も俺達の痕跡がなかったように取り繕う必要があるわけだ。

 そのための茶番。そしてシナリオって訳だ。


 俺は催眠状態の傀儡達に、シナリオ通りに動くように指示を出しておく。

 シナリオとは、簡単に言えば相打ちである。

 

 まず昨日までの準備として、催眠した召喚術士を使って教会に虚偽の報告を行う。

 そしてこのタイミングで召喚術士が魔物を召喚し強襲。慌てて装備を調えた英雄(笑)は神官騎士を率いて魔物暴走(スタンピード)と戦う。

 致命的な瞬間をつかれたことで神官騎士は瓦解しており、全滅もすぐに訪れたが、英雄(笑)は死力を尽くして何とか召喚術士に神具を用いて攻撃。

 相打ちでこの場にいる全員が死亡。後から来た教会からの援軍が駆けつけたときには、術者が消えたために魔物は全て消え去っていた。

 めでたしめでたし。チャンチャン。


 ……少々適当というか、投げやりな部分を感じずにはいられないが、この茶番にこれ以上労力を注ぎ込む気になれなかった。端的に言うとめんどくさい。


 まあ、うん。不自然な点もあんま無いと思うし、大丈夫大丈夫。なんか問題出ても後でなんとかしよう(問題の先送り)


 一通り指示し終わったので、次はアリーヤを向いて言う。


「監督というか、何か問題があったときの対処宜しく」

「了解しました……それで、その手は大丈夫ですか?」


 アリーヤが気にした手と言うのは、俺の左手の事だろう。手のひらがすりむけたようになっている。


「大丈夫だ。……これが光魔法って奴かね。銀と同じ効果が有るみたいだな」


 レイブンの神具を掴んだ時の怪我だ。どうも光魔法を纏っていたらしく、掴むだけで結構痛かったのだ。痩せ我慢したが。

 銀と同じ効果、すなわち吸血鬼に備わる血液による再生の妨げだ。それでも自然治癒はするため、この程度なら何の問題もない。


「ですが、避けるのも容易かったはず。リスクを避けるためにはそうした方が良かったのでは?」

「演出だ。絶対に敵わないという、絶望を与えるための」


 シナリオを円滑に進めるために、催眠をスムーズに行わなければならなかった。エラーが起きては困るのだ。

 「精神干渉魔法」は、対象の精神状態でかかりやすさが左右される。つまり確実に催眠するためには、精神状態を乱してやればいい。

 簡単に言えば、相手を大きく動揺させるか、深く絶望させるか、だ。

 そしてそのためには、過剰とも言える演出が必要だったのだ。

 「精神干渉魔法」を確実にかけるために、絶望を誘う演出は大事なのである。


「……俺、主人公に滅ぼされる中ボスみたいなキャラじゃ無かったか? 大丈夫かね? フラグ立ってない?」

「自称フラグクラッシャーが何言ってるんですか」


 いやしかし先程の自身の言動を思い出すと、痛いというか、中ボスっぽいというか。凄く中盤にあっさり殺されそうであった。


 まあ、必要なことだったから、しょうがない。


「といっても、結局エラーが起こった訳だが」

「そうなんですか?」

「ああ、実は」


 と、テントの中の先程の出来事を説明しようとしたところで、シルフが飛んできた。


「イノリ。来るわよ」

「お、ということは?」

「もぬけの殻。チャンスね」


 よし、これで目的が達成できそうである。

 とりあえずアリーヤにエラーを含めた諸々を説明した後に、俺はすぐさま出発することにする。この作戦はスピードが大切だ。


「いってらっしゃい、イノリ。気をつけて下さい」

「あいよ」


 アリーヤの声を後に、俺は《陣の魔眼》を使って、街に転移した。



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[気になる点] シスター師匠は死んじゃったのかな? [一言] 主人公のこの狂気な姿がほんとに読んでて面白い。
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