No.07 第6営業課
会議室。新人4人と、剥離課長。
「じゃあまず、自己紹介を頼むよ」
剥離課長が4人に自己紹介を促す。4人は自己紹介の順番をどうするか迷い、間が空いた。
「じゃあ、ボウズの君から順に」
坊主が立ち上がる。
「私の名前は秋山横太です。出身は銭化神奈川、趣味は野球!スポーツはだいたい好きです」
手短に済ました。
「はい、私の名前は阿久津颯です。あ、この髪の毛は地毛なんです。出身はここ。趣味はロック。ギター弾いたりします。よろしく!」
薄い茶髪の颯はギターを弾く素振りを見せたが、皆の緊張感により、歓迎されなかった。
次は女の子だ。
「はい、あたしの名前は初音結です。名前の通り、髪を結ってまーす。出身は銭化仙台。はるばるきました〜。よろしくー!」
次は承継の番だ。
淡々と自己紹介を行う。
承知する承に、継続の継で、ウケツグ。
この名前紹介でいつも乗り切っていた。
「まぁ、御察しの通りだ。君たち4人が第6営業課に配属になった。仲良くやりなさいな」
承継は仲間を見る。
坊主の横太。
茶髪の颯。
女子の結。
剥離課長は続ける。
「まず、君たちはこの第6課について、1.まず営業って第何課まであるの?とか、2.どういう理由でここに配属されたの?3.この課って何するの?、と思ったであろう」
その通りだった。
「まず、営業課だが、この総合商社ナンデモは全部で9の課がある。次に配属理由。これに限ってはランダム。まぁ、多少の選考はあるが、たまたま4人で、たまたま君たちだった。それだけ。んで、この6課、つーか、何をもって1〜9の課に分かれてるのか。単純明快。エリア分けだよ。まず君たちが担当するのは銭化東京の6エリアだ。あとで地図を渡すけど、基本的にそこで発生する商談は俺たちの管轄内ってこと。はぁ、喋り疲れた」
剥離課長も椅子に座った。
「ところで、君たち、俺たちが日々どんな風に仕事してるとか気になる?なるよね?毎日ジェットボードに乗るわけじゃ無いわけよ」
「たぶん大学で習ったと思うけど、簡単に説明するね」
剥離課長はホワイトボードに書き始めた。
①客が欲しいモノ(物・サービス)について、依頼がネットワークに上がる。
②モノを客に届ける。
③一番最初にモノを届けて、検収してもらえば終わり。
「たったこれだけさ。でも、それは簡単じゃ無い。スピードが伴う。他社も現れる。他者と納品レースになるわけ。すっごい利益が出るような案件は複数社が妨害しながら戦うわけよ。ヤバイよね」
だいたいの話を聞きながら、承継はうとうとしながら、話を聞き流していた。
「とりあえず、各位先輩について仕事やってみなさいな。」
初仕事!
承継は一瞬で目が覚めた。




