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カンパニーズ  作者: 大野春
chapter.01 新入社員
5/21

No.04 職種選定テスト②

プレミア緑茶。


本日発売の比較的高価な緑茶。

先着50名。


スピード勝負なのだ。ただ、店に行き、お茶を買い、戻る。それだけの事。


ジェットボードに乗れば、空中を移動し、すぐにコンビニエンスストアに向かえる。


そのジェットボードに乗れるのが70名。


ざっと目測で200名が自分よりジェットボードに近い位置にいる。

この会社の近くに、飲料品を扱う店舗がいくつあるのか。

一店舗に何本売っているのか?

果たして、一人一本買うのだろうか?

妨害目的で大量購入する人間がいるかもしれない。いや、それを奪えばチャンスはあるか?でも、奪うなんて事、簡単に出来るのか?


どう考えても、難しい。


(あっ・・・)


承継は、ある事を思い出し、エレベーターホールへ向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーー


同時刻。


灰城はいじょうはジェットボードに乗る。

ビルの30階、エアゲートから勢い良く上空へ飛び出す。

春風が心地よい。


身体のバランスを取る。


大体はGBAグラビティ・バランス・アシストにより、水平を保ちながら空を飛べるのだ。


ジェットボードは感覚的に乗れる。

灰城は指定のコンビニに向かった。


「おっ、いたいた」


先客が緑茶を買っている。灰城はそれを奪った。恵まれた身体能力が役に立つ。

「悪いね」

即座にジェットボードを飛ばす。

「待てっ!」

奪われた者は灰城を追いかけてきた。


灰城はジェットボードに乗りながら、デバイスを操作し始めた。


(うーん。これかな?)


灰城はナンデモのサーバーにアクセスし始めた。

(さすがにセキュリティは厳しいな・・・)

即座に、タイピングを行う。


(あったあった。)

ナンデモのビルを管理するサーバーだ。

ビル管理サーバーから、運行管理のシステムにアクセスし始めた。


(これこれ、このタイプのジェットボード70機が今この街中の上空を飛んでるな・・・)


灰城含め、ジェットボードの現在位置を含めた運行履歴が地図にプロットされている。


(えーと、俺の乗っている奴がID36番か)


(ID36番以外、セーフモードに変更!)


この操作、僅か82秒。

灰城以外のジェットボードはみるみる推力が衰え、地上に降りてった。

ひとりだけ優雅にジェットボードでエアゲートに戻る。


(間違いなく一等賞だな)



ホールに戻る。

なんと、既に1名、緑茶を持った人間がいたのだ。

青いシャツに赤いネクタイ。


「はい、第2位おめでとう!」

人事田が灰城を祝福するが、嬉しくはなかった。一番乗りでは無かったのだ。

灰城は1位の男に理由を尋ねる。


「ど・・・どうやって?」

「いやーフツーにこのビルに売店があったから」

「はぁ?」


灰城はあっけにとられた。

承継はジェットボードに乗らずに、1位を勝ち取っていた。

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