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カンパニーズ  作者: 大野春
chapter.01 新入社員
19/21

No.18 300のブレット③


じりりと痛む。


首元にたくさんつけられた、爪痕。


個人事業主である、坂山育江さかやまいくえはカーセナルの社長である細田さいだに首を絞められた。昨日の話だ。

細田社長の手の爪が育江の首の皮や肉にめり込んだ。


「おいおい、ツバつけてくれるんだよな?」

「単価が決まってます」と育江。

「だからよ、プラスして何かにして出せや」爪がめり込む。


細田社長は頭が沸いている。


銭化東京は標準単価が決まっている。

それ以上の値段での買取は出来ない。

増してや、不正な入金も出来ない。


細田社長はそれを知らないわけがない。


「うっ、苦しい」育江の意識が薄れてくる。

「明日までに用意しろよ」

手が離れる。


ーーーーーーーーーーーーーーー


育江は構わず日々の業務を続けた。

連絡が入る。武器商店不殺の店主だった。


「おい、バカな虫が一匹入ったようだぞ」

「え?」

「例の件、銃弾を300発、買って行った奴がいる」

「面倒な・・・嘘をついて在庫がない事にしてくれれば。。。」

「そんな事は知らん。うちも商売だ」

通話が途切れた。


細田社長のカーセナル社は、銃弾300発の納入の依頼を出した。

育江は事前に銃弾を保有しており、すぐに納入するのである。常にやってきた流れだ。

依頼を出すということは、各社に競争をさせるということなのだが、それは表向きの話だ。競争をせずに、受注者は競争敗北のリスクなく、金を手にすることができる。だからこそあの細田社長はツバをつけろと言うのだ。

育江は今回も納入する予定だ。


(変な奴が混ざると困るな・・・)


育江は直ぐにカーセナル社に向かう。


ーーーーーーーーーーーーーーー


商業区台場。


輸入会社カーセナル。


小さな倉庫と小さな事務所を構える会社だ。


育江はすぐに細田に面会する。


「予定より早えじゃねえか?」

「虫が入ってくるみたいで」

「あん?そんなバカがいるのか?」

「総合商社ナンデモの人間らしいのですが」

「おバカだねぇ。ところで育江よ。ツバ、つけてきたの?」

「・・・・」

「殺されたいの?」

細田が拳銃を引き出しから取り出す。

もはや何度も見た光景である。これがいつもの脅しのやり方なのだ。撃つことは無いし、おそらく銃弾も入っていない。


「すみません、不正入金もバレてしまいますし、銃弾は標準単価が決まっていて。。決められた額以上は。。。」

「てめぇ。靴磨きしろ。分かってるよな?舌でペロりと汚れを舐めろ」

いつものやり取りだ。育江は細田の黒革の靴を舐め始めた。これで金が入るなら楽なものである。


その時、事務所の扉が開く。


虫が入ってきた。


細田社長はその虫を見る。

若そうな男だ。可愛がり甲斐がありそうだ。


「総合商社ナンデモですが。。。」


細田は銃口をその男に向けた。

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