No.16 300のブレット①
ある日の昼休み。
営業6課の同期たちはランチを楽しんでいた。
承継と坊主の横太、ロックな颯。
紅一点の結はここ数ヶ月の自分たちの頑張りを話していた。
「私はね、この前、子どもたち用のおもちゃを納入したのよ。水に入れると膨れるおもちゃ」結が楽しそうに言う。
「なんだそれ?水に膨らむおもちゃ?」
「吸水ポリマーとか言うらしいの。スーパープラスチックの勉強の教材とかで使うらしいわ。私、そういう社会の、未来の子どもたちの役に立ってるのが嬉しい!」
結は目を輝かせていた。
「俺は車を納入したぜ。特注のスポーツカーでさ、500万電銭で売れた!」
横太も羽振りが良いらしい。
「あれ。みんなって、もう一人で仕事してるの?」
承継が聞く。自分は乗間先輩について行くだけである。
「え?みんな、そうだろ?」颯が言う。
横太と結も頷いた。
(あれ・・・なんか俺、遅れてるのか?)
承継は焦っていた。
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その日の午後、承継は乗間先輩に話しかける。
「先輩、そろそろ、ひとりで仕事をやらせてください」
「出来んの?」
「やります!」
他の人間には負けていられない。
承継の頭の中は焦りと負けん気で満ちていた。
「大丈夫なのか?」
「やれますよ」
「あんまり無理すんなよ。分からないことがあれば聞いてくれたら教えるから」
ゴーサインが出た。
承継は早速ビジネスネットワークに接続し、案件を探す。
【銃弾300発の納入】と書かれている。
顧客の求める銃弾の種類を検索する。
1発50万電銭。300あれば、、、
1億5000万電銭!?
さらに銃弾について調べると、1発の原価は33万。だいたい合計1億電銭。つまり利益は5,000万出る。
武器などは海外へ高値で売るらしい。何かの情報サイトで読んだ事がある。
500万の車なんて目ではない。
承継はわくわくしていた。
同期や先輩を驚かせるチャンスである。