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カンパニーズ  作者: 大野春
chapter.01 新入社員
14/21

No.13 生命線、最前線②


銭化東京から銭化大阪へは、最速の飛行機で移動する事になった。


「ライバル会社と手を組む事もあるんですね?」

「まぁな、理由はいくつかある」

乗間は語り始める。


「ひとつは、銭化東京では評価点と言うものがある。例えば食品を売れば食品販売の評価点がつく。今回は医療だ。医薬品販売の評価点がつく。お前は新人だから、まだ知らなかっただろうが、総合商社ナンデモはそのうち、自社の医療技術製品を販売する予定だ。製品の販売には、ある一定の評価点を貯めなければならない。今、会社的に優先して医療の案件を進めている」

「医療技術製品?そんなものを販売するんですか?」

「社長が役職も無い時代から研究開発を続けていた技術だ」

「どんな技術ですか?まさか、不老不死とか!?」


記憶消去手術デリート・オペだな」


承継は、なぜか寒気がした。記憶を消去する技術?

人の思い出や過去を、消す?

そんな、ものに意味があるのだろうか。


「まぁ、ここらへんは社外秘だ。他言無用。いいな」


それ以上、乗間は語らなかった。

承継は他の理由も聞きたかったが、そこで会話が途切れる。


銭化大阪。


ここ、銭日本ゼ・ニッポン国において、銭化東京に次いで経済活動が活発な都市である。

2人は薬品メーカーに赴き、80万電銭で薬品を購入した。


「結構高いですね」

「武器や薬は高く売れる。仕入額は80万だが、販売額は150万だ」

「なるほど」

「いいか、利益を優先しろよ。利益は会社を潤し、会社を動かす源になる」

「メモしときます」

そのまま、銭化東京へとんぼ返りだ。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「遅くなりました!」

医療商社ゲールの澤口が1時間ほど遅れて病院に着いた。

「あとは調合しましょう」


調合師が薬品を適量混ぜ、L2Dを精製した。

「これで間に合いました。ありがとう」

川上は澤口と乗間のNBCを読み取り、検収を行った。

総額450万電銭は半分ずつ、各社に渡った。


ーーーーーーーーーーーーーーー


その日の帰り道。


「乗間先輩、あの会社と協力した理由って他に何かあるんですか?」

「ああ、話忘れてたな」乗間は続ける。

「とにかく、急がないといけない状況だったからだ。命が関わっている現場だろう?もしあの薬が手に入らなくて、誰かが死んだら、って考えたら嫌なんだ。そういう時は、競争社会と言えども、人命が第一だからな」


後ほど、社員の誰かから聞いた話だが、乗間は昔、スピードを優先するがあまり不具合のあった医療器具を販売した経緯があったという。大事に至ったかどうかまでは、教えてもらえなかった。


競争社会においても、なぜその仕事をするのか、人として何が大切なのかをしっかり確認したい承継であった。


その事はメモをせず、心にしまっておいた。


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