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カンパニーズ  作者: 大野春
chapter.01 新入社員
13/21

No.12 生命線、最前線①


ーーー特区世田谷公共病院


「先生!大変です!」

看護師が慌ただしくノックし、返事を待たずにドアを開ける。担当医の川上かわかみは気を緩めていたのでびっくりした。


「ど、どうした?」

「薬品L2Dが明日までに必要なのですが、システムトラブルで発注漏れがあったようです」

「はぁ!?システムトラブル?いやいや、今は発注漏れの原因より、L2Dだ」

「メーカーに問い合わせましたが。。。現在L2Dを切らしているようで」

「どうすんだ!」

川上は怒ったが、看護師が悪いわけでもない、また、システムトラブルを今、非難する時間はない。


川上は即座にデバイスを立ち上げる。


【L2Dの調達】という案件をビジネスネットワークに依頼した。


ーーーーーーーーーーーーーーー


「おい、ウケツグ!早くついてこい!」

乗間先輩が言う。承継はすぐに支度した。

「なんですか?」

「説明は後からだ、2人乗りのジェットボードで世田谷公共病院へ向かう!」


総合商社ナンデモの自社ビルの最上階から、ジェットボードは発進する。

2人乗りタイプの操縦を乗間が行う。承継は乗間の腰を持ちながら立つ。

客観視するとマヌケだ。


空を切り、移動しながら乗間は承継に話しかける。


「病院で薬が必要になった。L2Dというものだ。薬品メーカーはすべて品切れだ。明日までに用意しなければならない」

「えー?無理じゃないですか」

「なんとかするんだよ!人の命がかかってんだ!」

乗間は少し慌てていた。


すぐに病院に到着する。


依頼主の川上先生の部屋には既に先客がいた。


「どうも。医療商社ゲールの澤口です」

「総合商社ナンデモの乗間です」

承継は何故か緊張し、挨拶をしなかった。


「L2Dは調合でも作れますが。。。銭化札幌のメーカーで出している薬と銭化大阪にある薬がなければなりません。明日までに。。。」


どうしたものか、遠いな、と承継は思った。


「澤口さん」乗間が名を呼ぶ。

「はい?」

「我々で手分けして、調合薬を入手しましょう。これなら1日で充分だ」

「私も同じ事を考えていましたよ」

「どちらが銭化札幌に向かいましょうか?」

「私が向かいましょう」

「では私は銭化大阪に向かいます。移動中、薬剤師を派遣しておきましょう」

「ありがたい。よろしく頼みますよ」


川上は安堵の表情を浮かべている。


澤口と乗間と承継は即座に病院を出た。


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